楽しくなってきたぁ!
~アリシアの視点~
私は赤い光の下へ向かった。あの属性はおそらく『火』それなら私が倒さないと。
「へぇ俺の相手は君か……可愛いじゃん」
そこには私より少し背の高い男の人がいた。
「わ、私があなたの相手です!」
「ははっ!そんなに意気込まなくてもいいって。もう結果は見えてるんだから、できれば君は傷つけたくないんだけどなぁ」
男の人はポケットに手を突っ込みながら笑っていた。
「けど仕方ない、ゼノム様の言うとおりにしないとなぁ『炎廻』」
男の人の手から炎がでてそれが円を描くように広がった。やっぱり属性は火だ。
「く、『水壁』!」
呪文を唱え手から出た水を私が守った。けど周りで戦ってた牙獣族や兵士の人たちにも広がってしまった。
「ぐあっ熱い!助けてくれ!」
兵士の一人が炎に包まれてしまい、私は右手に魔力を込め水を出して消化した。
「大丈夫ですか?」
「あ、あぁ助かったよ」
よかった……私が避けても周りの人たちに当たってしまう。なんとかしなくちゃ。
「人を助けてる余裕なんてあるのかい?『岩弾』」
地面にひびが入り複数の岩の塊が宙に浮き私に向かってきた。これって地属性!?
『風網!』
呪文を唱え、風を私が包み込み岩の塊を防いでくれた。
「さっきから防御魔法ばっかりだね、戦う気はあるの?」
「あ、ありますよ!私だって」
私は持っていた弓矢を構えた。この弓矢は、自分の魔力を矢にして放つもの。私はまず水の魔力を込めた。
弦を引くと青い矢が表れる。私はそれを放った。
「ほぉ、そんな武器も持ってたんだね……ま、知ってるけど。『雷膜』」
男の人の手から雷の膜が広がって矢が消えてしまった。
「そんな!あなたは火と地の属性のはずじゃ…」
「誰が二つしかないって言ったかな?俺の属性は『火』・『地』・『雷』だ。だから言ったろ?もう結果は見えてるって」
私の属性が全て効かない!?これじゃあ攻撃が通じない……どうしたら。そう思うと足が震えてきた。やだ、怖い……。
「震えちゃって、さっさと降参しなって。今降参したら助けてあげるよ、ほら」
男の人が私に手を差し伸べてきた。震える手で私もその手を……。
「私……」
「ん、素直ないい子だね」
その人の手をはたき。
「それでも私は、戦う!『水撃』!」
目の前で水を暴発させて攻撃した。
「ぐっ!何だお前!?」
「私は約束したんです!必ずみんなで勝って、帰るんだって、あなたには負けません!」
私は更に弓矢に風の魔力を込めた。弦を引くと白い矢が現れ私はすぐに放ち追撃した。
「くっ、なめんな!『炎撃』!」
火のの魔法で矢は消された、けど。
「まだです!『水滅撃』!」
火の魔法を使ってる間に私の水の一番強い魔法を放った。
「何!?……くそっ!」
火が消され少しの間、煙が立ち上る。
「これで……」
徐々に煙が薄れてきて……そこにたっていたのは。
「ふ~今のはちょっと危なかったかな、ありがとよ、盾さん」
男の人が牙獣族を盾にしてほとんどダメージが無い状態で立っていた。
「……酷い」
「別にいいじゃんか、獣の一匹や二匹、そこらじゅうにいるんだから」
男の人が牙獣族を投げ捨てる。
「けど…ちょっと調子に乗りすぎかなぁ。もう君は許さないよ、『黒炎暴破』!」
男の人が叫ぶと私の周りに大きな黒い火の玉が次々に現れた。
「これで一気に終わらせてやるよ、言っとくけどこの炎は特別でな水の魔法でも消えないんだよ」
男の人が言う前に私は水の魔法を当ててみたがやはり効果は無かった、何んで?
「ゼノム様がくれた特別な魔力の炎だ、簡単には消えないさ」
そんな……ごめんなさい悟さん。ごめんなさいみんな、私…勝てなかった。
「そんじゃあ……終わりだ」
その声を合図のように黒い火の玉が私に向かってきた、私は目を瞑った、すると何故か体が浮き上がりその場からすぐに離れた。
「え、何!?」
目を開けるとそこには雷を帯びた何かが私の服をを……銜えてる?けどすぐにそれは消えてしまった。
「ふ~何とか間に合ったかな?大丈夫かい?俺っちが助けに来てやったぞ!」
「あ、あなたはたしか……」
目の前には二回戦で悟さんと戦ってた…。
「えっと、名前は?」
「あれ、まだ名乗ってなかったっけ?そうま、『村瀬奏魔』だ」
「奏魔さん……ありがとう…ございます」
「いいって、俺っちもまたこの世界で戦えてうれしいし、カルマってのが連れてきてくれたんだ」
カルマさんが?
「さぁ本番はこっからだよ!楽しくなってきたぁ!」
アリシアちゃんに意外な助っ人登場です!彼は二回戦の後も登場させようと思って特徴のある喋りかにしてみました。次回は最初の方で奏魔が天界に来たいきさつを書いてからアリシアちゃんの戦いを決着させます。