俺に、お前の力を貸してくれ
三つの属性を持ってるだと?それも内二つが俺と相性の悪い風と火だなんて……。
「クロードさんがお前らの属性を教えてくれてな、そんでゼノム様が俺らの魔力を上げてくれたうえに属性の追加もしてくれた、これでな」
そう言うと相手は首にかけた黒く光る石のペンダントを見せ付けてきた、
「これはな地獄界の石で、身につけた者の魔力を上げるらしいんだ。すげえだろ」
「それが何だよ、自分の魔力でもないくせにいばんな!」
「勝てりゃいいんだよ!おら、行くぞ!」
俺だって…やるんだ!俺は武器を構えた。
この武器を最初に見つけたとき、何か魅かれるものがあった。クロードさんが言うにはこの武器の名は『破壊球』と言うらしい。
~回想~
俺とクロードさんは宿の外に出た。もちろんクラッシャーの使い方を教わるためだ。
「このクラッシャーはな、見た目はシンプルだがこの鎖が魔力の具合でこんな風に伸び縮みするんだ」
クロードさんは鎖の遠心力で鉄球を回転させながら徐々に鎖を伸ばしていった。
「そんで、魔力を弱めると……」
鎖は縮んでいき持っている棒にくっついた。
「こんな感じで鈍器にも使える」
「…すげえ」
「驚くのはまだだ、大介は風と地を使うんだろ?」
「はい」
「今やったのはただの魔力を込めただけだが、風の魔力を込めると……」
クロードさんはもう一度鎖を伸ばし、ある程度まで伸ばすと大きく回し始めた。すると。
「うわっ何だこれ?」
強い風が生まれた、風はどんどん強くなっていきついには立っているのがやっとだった。次第に風は止み鎖も縮んでいた。
「これがこの武器の使い方だ、これをしながら風の魔法を使うとその威力が数段あがる」
「もう一つの、地の魔法は……どんなのですか!?」
俺はどちらかと言えば地の魔法を多く使っていたから、早く見てみたい。
「まぁ慌てんな、じゃあ次は地の魔力を込めるぞ」
そう言うとクロードさんはもう一度、鎖を伸ばしてから回転させた、ここまでは一緒だ、すると。
「おうらっ!」
クロードさんが地面に鉄球を叩きつけた。一体何を……。そして今度は反対方向に叩きつける。そして鉄球を宙に上げると……。
「これはクラッシャー自体を強化する魔法だ」
鉄球の周りに砕けた岩がくっつき塊になっていた。
「鉄球に地の魔力を込めることで磁気が発生し砕いた岩をくっつけるんだ、魔力を込めただけこれは大きくなる、どちらの魔法を使うかはお前の自由だ。しっかりやれよ!」
「はい!」
~そして現在~
今こそ修行の成果を試す時だ。
「ぼさっと、突っ立てるだけか?『爆炎弾』!」
男の手からでかい火の玉が飛んできた。俺は防御呪文を唱える。
『土壁!』
壁に衝突した火の玉は爆発して消えた、同時に土壁も崩れた。
「おりゃあ!」
鉄球の鎖を一定の長さにして相手に振り回す。
「おっと、危ねえな!これでも食らえ!『雷槍』」
男が雷の槍を投げてきた、雷属性なら。
「そんなもん、効くか!」
そのままクラッシャーで弾いた、地属性の魔力を込めている今なら雷は効かねえ。俺はそのまま鉄球を振り下ろした。相手には当てずに。
「っけ、どこ狙ってんだよ」
「まだまだ!」
もう一度振り下ろす、鉄球に岩がくっつきある程度大きくなった。
「これでっ」
それを上で振り回し遠心力を付け加え兵士が居ないことを確認してから横向きになぎ払った。
「くーらーえー!」
「わわっちょっと待った!!」
男は向かってくる鉄球に慌てていた、しかし…。
「な~んちゃって」
不適に笑うと、素手で鉄球を受け止めようとした、馬鹿な、止められるわけないだろ。
『風滅』
男が唱えると左手から風の塊が出てそれに衝突した鉄球の岩が崩れていった。
「んな!?」
「お前、バカだろ?言ったじゃんよ、俺は風の魔法も使うって、それに忘れたか?お前の戦い方なんてクロードさんがとっくに教えてくれてんだよ」
俺の攻撃が通じない?っくそ、これが効かないなら風の魔法を。俺はクラッシャーに風の魔力を込めて振り回した。
『暴風』
それに風魔法を加えて男に放った。
「だから効かねえって、『炎滅』」
今度は右手から火の塊がでて風魔法を吸収しそれをそのまま放ってきた。
「っく、ドルニ…ぐあっ!」
防御呪文を唱えようとしたが間に合わなかった。
「何をやっても無駄だ、お前じゃ俺には勝てねえよ」
っくそ、このままじゃ、地の魔法じゃ風に止められるし、風の魔法じゃ火に止められる。どうすれば……俺にも出来るかな、いや、やってやる!
「俺に、お前の力を貸してくれ」
戦いの途中ですが次回は陸斗の戦いになります。いえ、別に時間稼ぎとかじゃなくちゃんとした理由があるんですよ。ということで次は陸斗パートです!