僕らの力をお前に見せてやる!
とある洞窟、そこには無数の人型の獣がいた。
「さぁ君たちも待ちくたびれてるだろうね。そろそろ行こうか、悟君たちの元へ」
そこへクロードがやってきた。
「お待ちください!本当に今から行くんですか?」
「あぁそうだよ?何を慌てる必要があるんだい?こっちの準備は整ったんだ」
「確かにそうですが……」
クロードはどこか腑に落ちない表情だった。
「君は行くの、止めておく?まだ未練が残ってるんじゃないかな」
クロードは、はっと向き直る。
「いえ、そんな事は」
「それじゃあ、行こうか」
「わかりました………ゼノム様」
~時は悟たちへ~
(あと、数時間もしないうちに、地獄人がくるのか)
僕は自分の部屋で窓の外を見ながら考えていた。
「そして、クロードが」
クロードも来るんだ、僕らの敵として。今度は手加減なしで。
そのときドアがノックされた。
「どうぞ」
扉を開けたのは葵さんだった。
「悟、みんなで大部屋集まって最後のミーティングするから来いやって」
「わかった、今行くよ」
僕は葵さんと共に部屋を出ようとした。すると部屋を出る前にもう一度窓の外を見てしまった。分からないけど、何か嫌な予感がする。なんだろ。
「悟~!どうかしたんか?」
葵さんが少し離れたところから僕を呼んでいた。
「うん、今いきます!」
気のせいだなと思って僕は葵さんの後に続き大部屋に向かった。中に入るとみんながもう床に座っていた。
「みんなそろったわね、最後の作戦会議よ。まぁ会議って言ってもみんなの気持ちを確認したかっただけなんだけどね、けどこれだけは先に言っておくわ!」
その言葉にみんなの顔がシュレイナ向けられる。
「あたし達天界人は、何があっても悟たちを守るわ、もともとこの世界の人間じゃないあなた達だもん、あたしたちの都合で死なせるわけには行かない、だから、万が一の時はあたしがあなた達を人間界へ戻すわ」
これにはみんなが驚いていた。けどすぐにいつもの表情に戻った。
「何言うてるんですか?シュレイナさん」
「私たちはもう覚悟は出来てます」
「万が一なんて事は起こさせねえよ」
「俺達が人間界へ帰るのは地獄人に勝手からだ」
今度はシュレイナの顔が驚いていた。
「……みんな」
「シュレイナ、僕らはもうこの世界に関係ない人間じゃない、シュレイナたちがいるこの世界を絶対に守るって決めたんだ」
「……そうね、こんなこと聞いたあたしがどうかしてたわ、ありがとね、みんな、あたしも全力で戦うから、みんなも負けないでね」
改めてみんなの気持ちが一つになった。この戦いが怖くないなんて人は誰も居ない。けどそれ以上にこの世界を守りたいのはみんな一緒なんだ。絶対に勝って帰るんだ。
バァン!!
いきなり部屋のドアが開き一人の兵士が慌てていた。
「どうしたの!?」
「ほ、報告します!たった今入ってきた情報によりますと、地獄人の軍隊が現在こちらの城に向かってきております!」
「何ですって!?」
そんなっ、日暮れにはまだ随分と時間があるはずだ。それなのに…。
「急いで城の全兵に伝えなさい!戦闘準備に入れ!と」
シュレイナが兵士に命令すると一目散に城の外へ出た。僕らも後に続く。
「っく、あいつら」
しろの外へ出ると城下の町を荒らしながら進んでくる黒い塊が見えた。アレ全部が牙獣族?ざっと数えても500人以上はいる。
「シュレイナ、この城の兵は何人居るの?」
「千人の兵士がいるわ、けど力では向こうが少し上でしょうね」
徐々に黒い塊が城の方へと近づいてくる。その戦闘には………ゼノムだ。
~ここは城下の町を抜けた城へつながる森~
「僕は約束は守ると言ったけど、約束を変えないとはいってないよ、フフッ」
次々に周りの木々を牙獣族に倒させて道を切り開いていく。
「さぁ、戦争の始まりだ、君たちの最後の宴だよ」
~再び時は悟たちへ~
「みんな!予定変更よ!これから戦闘準備よ。すぐに用意して!」
シュレイナはみんなに武器や魔服の用意を促したがその必要はなかった。
「みんな、もうできてるよ、シュレイナ」
みんなは自分の武器、魔服をすでに身に着けていつでも戦闘準備は万端だった。
「よし!それじゃあ行くわよ!最後の戦いに」
行くぞゼノム!僕らの力をお前に見せてやる!
始まりました、次回から本格的な戦闘シーンに入ります。この物語はあまり戦闘描写が無いんですよね、久しぶりに書くので少し時間がかかると思います(汗)けど書ける時はすぐに書くのでお楽しみに!感想待ってます!!