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本当に最後なんだ

あれから6日が経った。その間に僕らはシュレイナや他のパートナーの人たちと修行をしてついにシュレイナたちと互角に戦えるくらいに強くなった。そして今は昼、みんなでミーティングをしていた。



「みんな、ここまでよくやってくれたわ、明日の日暮れが最後の戦いよ」



明日で全てが終わるんだ。大丈夫、みんなで強くなったんだ。



「絶対に…勝てるよ」



そんなときアリシアさんが口を開いた。



「この戦いが終わったら、私たちはどうなるんですか?」



そっか、ずっとそんなことなんて考えてなかった。この戦いが終わったら…僕らがここに居る意味はなくなる、そうなると。



「みんなには悪いんだけど本来なら人間は長く天界には居てはならないの、年に一度、この大会が行われる数日しか居られないんだけど、今は特例でみんなに居てもらっているから」



「ほんなら、ウチらは地獄人を倒したらみんなでさいならってことですか?」



「残念だけど…そうなるわね、同時に天界にいた頃の記憶も消さなければならない、みんなには普通の生活を人間界ですごしてもらうわ」



みんなといたときの記憶が無くなる……それは嫌だけど…それが天界の掟なら仕方ないよね。もっとみんなと話がしたかったんだけどなぁ。みんなが少し暗い顔になる。



「悩んでても仕方ないわ!あたしらはあなた達のことは忘れないからって言っても気休めにもならないわね」



それなら……。



「今は……自分に出来ることをしよう、悔いの残らないように最後はみんなで楽しもうよ」



僕の提案にシュレイナが閃いたという顔をした。



「じゃあ今日はあたしが天界のいろんなところを案内するわ!ここのところずっと修行ばっかりだったから最後くらいは羽を伸ばしましょ!」



そう言って僕らを城の外へ連れ出してシュレイナは天界を案内してくれた。城下の町や大自然の中などいろんな所に連れてってくれた。そして数時間後……。日はもう沈みかけていた。僕らはシュレイナの魔法で山の頂上まで連れてもらい夕日を見ていた。



「ここがあたしのお気に入りの場所、しばらく忙しかったから来れなかったけど……ここで見る夕日がすきなんだぁ」



それは今まで見てきたどんな景色よりも綺麗だった。



「本当に綺麗だな、嫌なこと全部忘れちまいそうだよ」



「けど、明日にはそうも言っていられませんね」



「明日の今頃には天界人の、そんでウチらのこれからがかかっとるんや」



「俺達のこの手で天界を地獄人から守るんだ」



みんなが思い思いに口にした。そうだ、うかうかしちゃいられないんだ。明日で最後。もう思い残すようなことは……。



「クロード……」



僕はいつの間にかクロードの名を口にしていた。今、どうしてるんだろ、もう僕らの前には敵としてしか来ないのかな。



「明日はクロードも来るのよ、言っとくけど、あいつは強いわ。それに今のクロードは敵なんだからそこの所は悟も覚悟決めなさいよ」



「それはわかってるよ、けど……」



「後で詳しく説明するけど…クロードとはあたしが戦うわ、あいつを一番知ってるのはあたしだしね」



シュレイナがクロードと?一体どんな戦いになるんだろ、あの二人が。



「さ、日も暮れたし、帰ってから最後の作戦会議よ」



僕らが夕日に背を向けて山を下ろうとしたそのとき。



「へぇ、僕もその会議に参加したいなぁ」



『………!?』



後ろを振り向いた瞬間にあいつがいた。



「ゼノム、何しに来たんだ」



僕達が身構える。



「やだなぁ、戦いは明日って言ったじゃないか、僕だってルールくらいは守るよ、そのほうが面白いだろ?それに今の僕は実物じゃない、幻だよ。本物の僕はまだ地獄界だよ」



それでも僕らは緊張を解かなかった。こいつは何をしてくるか分からない。すると地獄人がため息をついた。



「はぁ、僕も信用されてないなぁ。別にいいけど、明日は楽しみにしてるよ」



そういい残すとゼノムは霧のように消えた。ここで初めてみんなが安心する。



「あいつ、油断もスキもないわね、さぁ今度こそ下りましょ」



そう言って僕らは山を下りて城へ戻りみんなで集まって作戦会議を開いた。



「さっきも言ったけど……クロードはあたしが引き受けるわ、牙獣族はカルマを先頭にが城の兵士たちが相手をする、ゼノムは悟よ」



それぞれの役割分担が決まった……けど、陸斗や他のみんなは?



「シュレイナさん、ウチらは?」



「葵たちには牙獣族の相手に加勢してもらうんだけど……もう一つ、それはゼノムが入っていたチームの人間たちよ」



そっかその問題がまだだった。



「そうだ、他の子供達はどうなってるのかな、やっぱりゼノムに洗脳されてて…」



「そう、その可能性も捨てきれないの、だから葵たちは子供達の相手よ」



「わかりましたっ」



葵さんを筆頭にみんなが頷く。



「みんな、自分のやるべきことは分かった?じゃあ今日はもう解散よ、明日は厳しい戦いになると思うから十分に体をやすめてね」



その言葉を最後にみんながそれぞれの部屋に戻る。僕も自分の部屋に行きベッドで横になった。そこへシュレイナがやってきた。



「悟、ずっと忙しくて言えなかったけど……ごめんね、こんな戦いに巻き込んじゃって、最初はあんなに嫌だって言ってたのにね」



確かに最初はひたすらに人間界に帰りたいって思ってた、けど今は…。



「けど今は、僕はこの世界に来てよかったと思ってるよ、シュレイナと……クロードに出会えて僕はこんなに強くなれた。弱い自分が嫌だったけど、今はこの力を誰かのために使いたい」



「ホントにありがとね、悟、明日は頑張りましょ」



「うん、おやすみ、シュレイナ」



「おやすみ、悟」



シュレイナが出て行くと僕は再びベッドに入り明日の事を考えてた。



(明日で、全てが終わって、天界に居るのも最後なんだ、けど…もう少し、天界(ここ)にいたかったな、けど……本当に最後なんだ)

みんなの決意が固まったとこで次回いよいよ最終章です。今までの伏線がすべて回収されます、忘れてしまった方のために次回は本編の前にこれまでの伏線をまとめた回を作ります。そこで思い出してください。感想待ってます!!

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