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僕らの気持ちは一つだった

僕は昨日の事を二人に話した。クロードのこともグロッツ様のことも、地獄人のことも。



「クロードが……嘘だろ?」



カルマさんは驚きを隠せないでいた。シュレイナは……。



「本当に地獄人は一週間後って言ったの?」



やけに冷静だった。



「うん、自分の体力の回復と兵を準備するためにって」



兵を準備するってなんなんだろう、それにどうやって。



「それなら、残りの一週間が勝負よ、みんなの力も必要だから早い段階で修行を進めていくわよ、それから城の兵士達にも知らせなきゃ」



そう言うとシュレイナは足早に部屋を出て行った。僕はまだ聞きたいことがあって後を追った。



「おい、悟!」



後ろでカルマさんの声が聞えたけど僕はシュレイナの方へ向かった、けどシュレイナは自分の部屋に入って行った。僕が部屋の前まで来ると中から声が聞えた。



「グスッ、おじいちゃん……クロード……何でよ?…グスッ」



シュレイナは泣いていた、すると後を着いて来たカルマさんに肩に手を置かれ静かな声で言われた。



「一番辛いのはシュレイナなんだ、今はそっとしておいてやれ」



そうだ、グロッツ様の消息はまだ分からないけどクロードは自分の意思で地獄人の所に行った。それは完全に僕達を裏切ったっていう証拠だ。シュレイナだって辛くないわけが無い。



「カルマさん僕、みんなにこの事を知らせてきます」



僕は急いでみんなの部屋を回って一箇所に集めて、事を全て話した。



「そんな事があったんか」



「クロードさんが地獄人?」



「グロッツ様もやられてしまうなんて」



「クロードさん……何で…」



みんなの空気が沈んでいたけど特に落ち込んでいたのが大介さんだった。そうだ、大介さんはクロードに魔法や武器などいろんな事を教わってたんだ、ショックだろうな。けどそんな空気を変えてくれたのが……。



「何ションボリしとんねん!今はウチらに出来ること考えるのが先やろ!?」



葵さんだった。



「大介!いつまでもそうやって落ち込んでても何にも解決でけへんで?今ウチらがすることはなんや?」



大介さんが顔を上げる、僕らにやれること、それは……。



「みんなで協力して強くなるんや!地獄人がなんぼのもんや!どっからでもかかってきたらええ、戦争?上等や、地獄人なんていてこましたったらええ!」



そう言うと葵さんは立ち上がり、僕に拳を突き出した。



「もう一度言う、みんなで強くなるんや」



「うん!」



僕も立ち上がり拳をくっつけた。そこから陸斗もアリシアさんも同じようにして最後に。



「あぁ、やってやるよ!」



大介さんも立ち上がり全員の拳をくっ付け合った。



「ほら、大将、何か言うたれ」



大将って…僕?ええっと……。



「みんなで強くなって……地獄人を倒そう!」



「「「「オォー!」」」」



みんなで拳を突き上げ声が重なった。みんなの気持ちが一つになったそのとき。



「みんな!ここにいたのか、急いで城の外に来てくれ!」



勢いよくドアを開けたカルマさんが息を切らしていた。僕らは何が起こっているのかもわからずとにかく走って城の外へ出てようやく事態を把握した。



「やぁ天界人の皆さんそれに悟君たちも、初めまして、僕が地獄人のゼノムだ、よろしく」



まだ朝なのに空が暗くなっていてゼノムの顔が空に半透明で映っていた。



「突然だけどみんなにお知らせ、一週間後の日暮れに僕は天界人(きみたち)に戦争を仕掛ける事にしたよ。これを見てほしい」



ゼノムがその場を離れて後ろの状況を見せた、そこには無数の大きな卵があった。



「それは、牙獣族の卵か!?」



「よく知ってるねカルマ君、そう、これは君の言うとおり牙獣族の卵だ」



「カルマさん、牙獣族って?」



「あぁ、地獄人が独自に配合させ新たに生み出した生物だ。とても凶暴な奴らだが自分たちの主人に従いそれよりも弱いものには容赦はしない、しかし数百年前に地獄人と共に絶滅したんだ、それが…」



「僕は地獄人の生き残りなんだよ?こいつらの卵が残っていたって不思議じゃないだろ?こいつらは後一週間もしないうちに孵化(ふか)するんだ、君たちにこいつらが倒せるかな?」



すると、シュレイナがやってきた。



「ふんっそれがなによ!こっちにだって城の兵達がいるのよ?甘く見てもらっちゃ困るわ!それにあたし達だっている」



そうだ、僕らは一人じゃないんだ。



「それでも君たちは僕には勝てない、これを見なよ」



そこにはグロッツ様が縛られていた。



「おじいちゃん!」



「天界最強と謳われたグロッツ様もこのざまだ、まぁ残りの一週間で足掻くがいいさ、楽しみにしてるよ、それじゃあ」



そう言うと、ゼノムは消えて空も明るくなった、するとシュレイナが。



「みんないい!?残りの一週間で全てを叩き込むわよ!地獄人なんかに負けるもんですか!」



僕らの気持ちは一つだった。後、一週間。この一週間が勝負だ。

さぁ物語りもいよいよ最終章的なものにやってきました。次回は戦いの前の小休止です、戦いの前日まで時は過ぎます。悟たちは一体どうなるのでしょうか?

感想待ってます!!

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