僕らの前から姿を消したんだ
僕はみんなが眠った後も寝られなかった。誰かが部屋に入ってきたような気がしたけど寝たふりをしていた。あれは一体誰だったんだろう。ふと窓の外を見てみると夜なのに明かりが見えていた。
「なんだろ?あそこだけやけに明るい」
ぼやけた目をこすりながら凝視するとそれは明かりではなく炎だった。
「森が……燃えてる!?大変だ!行かないと!」
僕は無我夢中で部屋を出て一人で城の外を出てから森へ向かった。
「ハァ、ハァ…一体なんで……森が」
けど変だ、確かに炎が上がっているのにそこから広がらない、それに木や植物が燃えてるはずなのに焦げた臭いがしない。
「あの炎…さっきより小さくなってる」
誰かが僕より先に気付いて消してくれてるのか?
炎が上がっていた場所まで来るとそこには黒い何かと炎がぶつかって徐々に小さくなっていた。
「一体……これは!?」
「悟っ何でこんなとこにっ」
すぐ近くで声がした、その方向を見ると。
「……クロード?僕は窓の外から森が燃えてるのが見えたから、クロードこそ何でここに?それにこの炎は……」
「アレは……地獄人とグロッツ様が戦ってるんだ」
なんだって!?地獄人があの中に、それじゃああの炎はグロッツ様?
「もうすぐ終わる」
クロードはやけに冷静だった。こんな状況で?どちらが勝ってるのか分からない。
「クロード僕達も戦おう!あの黒い方が地獄人なんだよね?よしっ」
「いや、いいんだ、悟」
「え?何で………っう!」
振り向いた瞬間にお腹に激痛が走った。見るとクロードの拳が僕の腹に押し込まれていた。
「クロード?なん……で」
必死にお腹を押さえてうずくまる、膝を着いたときにクロードが一言だけ言った。
「悪いな、悟。お前といたときも…結構楽しかったよ」
そう聞えた後に今度は首筋に衝撃があった、そして少しずつ意識が遠のいていく、僕はすぐに茂みに放り投げられて、見ると黒い何かと炎は互いに消えていてそこには一人の少年が立っていた。
「ふ~さすがだなぁグロッツ様、僕にこれほどのダメージを与えるなんて、っつ!」
あれは地獄人?グロッツ様は……いない!?嘘だグロッツ様がやられるなんて。
「仕方ない、一旦地獄界に引き返しましょう、行こうかクロード君」
「はい、ゼノム様」
ゼノム様?あの地獄人の名前?それに『様』をつけるなんてまさか。
「ついでに地獄界の兵も揃えておかないと、ちょうどよかったかな、兵力と僕の回復の時間を特別に天界人に与えてあげよう、どうせ結末は変わらないけどね、直に戦争が始まるよ。それよりクロード君、きみ、誰かと喋ってなかった?」
「気のせいですよゼノム様、さぁ行きましょう」
そしてゼノムは何も無い場所に手をかざすとそこに黒い穴が開いた。
「そうだなぁ一週間ってところかな、それまで天界人を遊ばせておこう、君も今は天界に残っていて良いんだよ?」
ゼノムがクロードに言うと。
「いいですよ、もう天界にはなんの未練もないあなたについて行きますよ」
「そっか、じゃあ来なよ、君も久しぶりの地獄界だろ?」
「そうですね、地獄人には地獄界がやはり居心地がいいかもしれません」
地獄人には地獄界?それってクロードも地獄人ってこと?嘘だ、そんな、クロードが僕達を裏切って、嘘だ、嘘だ!
「く、クロー………」
そこで完全に意識は失った。最後にクロードがじゃあな、と言ったのが聞えたような気がした。
そして気が付くと朝で、僕はベッドの中にいた。周りを見渡すとそこは僕の部屋だった………夢?あれは夢だったのか…よかった、そうだよねクロードが地獄人で僕達を裏切るなんてないよね。
すると、向こうからコンコンッとドアをノックする音が聞えた。
「悟~!起きてる?」
シュレイナの声だ。
「うん!起きてるよ!」
「入るわよ~」
と言って扉が開くとそこには二人いた。シュレイナと隣にはクロード……ではなくカルマさんだった。
「大丈夫か?悟」
「大丈夫って…何が?」
「何がって、お前朝方に森の中で城の兵に倒れているのを見つけれられ城まで運ばれたんだぞ、何があった?」
森の中で……倒れてて?
「それに、朝からクロードの姿が見えないのよ、悟、何か知らない?」
クロードの姿が見えない?それって……。
そう僕の見たのは夢ではなく現実で……クロードは僕らの前から姿を消したんだ。
物語りもいよいよ佳境に入ってきました、クロードは地獄人だった。そして悟たちの前から姿を消した。ゼノムの言う戦争とは?悟たちはこれからどうなっていくのでしょうか?私にも分かりません!感想待ってます!!