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こんなわしを許してくれ

僕らは食事を済ませてから大広間で話し合いをしていた、もちろん地獄人についてだ。



「あたしたちの目的はあくまでも地獄人を倒すこと。あと、これはあたしの憶測でしかないんだけど残りの四人の人間は多分地獄人に洗脳されてると思う」



「洗脳って自分の意思を持ってないってことですか?」



「じゃないと、今日の戦いであいつ一人で出られるわけがない、きっと誰かが止めてるはずよ」



「それやったらみんなバラバラで戦うことになるっちゅうことやな、地獄人は……」



葵さんが言葉に詰まった。そしてみんなが僕を見る、けど僕の決意はもう決まっていた。



「地獄人は……僕が引き受けます、みんなは他の人間界の人たちと戦ってください」



「まぁそれが一番いい選択だよな、俺たちは少しでも早く自分の相手を倒して悟の加勢に行けばいいんだな」



「いや、地獄人は僕一人で戦うよ」



それを聞くと陸斗はすこし表情が沈んだ。



「悟、俺達のことなら心配すんよ、お前がなんと言おうと俺は助けに行く、そう簡単に倒せる相手じゃないんだろ?」



それはそうだけど、そこへシュレイナが提案した。



「じゃあ、各自自分の相手を倒したら、悟じゃなくて他の誰かの加勢に行くってのはどう?地獄人は一人や二人増えたからって倒せる相手でもないのは確かよ、だからみんなで倒す、これならいいでしょ?」



「シュレイナさんがそこまで言うなら」



それでみんなの意見がまとまった。



「さぁ決勝は明日よ、みんな、気を入れるのもいいけど今日はもう寝ましょう」



そして僕らは自分の部屋に戻りベッドに入った。明日はいよいよ最後の戦いだ、僕は…勝てるのかな。そんな事を考えてたけどやっぱり戦いの疲れもあり僕はすぐに寝てしまった。



そして全員がが寝静まったのを確認すると一人の男が城を出て森へ向かった。しばらくするとそこには小柄な少年がいた。



「来ましたか、さぁ行きましょうか悟君の元へ」



「そうですね、あなたの一族の復讐をするために、そしてこの世界すべてを地獄界に変えるために」



「そうなったら僕もそろそろ自分の名前くらい決めないといけないなぁ」



地獄人はしばらく考えるとパッと思いついたように自らの名前を命名した。



「そうだ、ゼノムにしよう!」



「え!それって…」



「そ、僕のご先祖様の名前だよ!考えるのも面倒だしこれからは君も僕の事をそう呼んでね」



「わかりました、ゼノム様」



「あなたもそう呼んでくださいね、グロッツ様。隠れてないで出てきたらどうですか?」



ゼノムが茂みの方へ向けて喋る、そこからグロッツが現れた。



「気付いておったか地獄人……そして」



グロッツがもう一人の男の方へ目をやる。



「まさか君がそっちの人間だったとはね」



「ええ、私も地獄人なんですよ、もっともゼノム様と知り合ったのは最近ですがね」



「……そうか、残念だよ」



ゼノムはグロッツに近づいた。



「では、そこを通してくれませんか?今からあなたの城へ用があるんです」



しかしグロッツがゼノムの行く手を阻んだ。



「お前を行かせるつもりは無い、ここは通さんぞ」



「は~やれやれ、君たち、グロッツ様の相手をしてやりなさい」



ゼノムが命令すると突然茂みの中から四人の子供達がグロッツに飛び掛った。



「うっ!」



「気付きませんでしたか?まぁ僕の魔法で気配を消させましたから無理も無いか」



子供達がグロッツにしがみ付いて抑えていた。



「ふんっこの程度でわしを止めようなどとは甘く見られたもんじゃな、子供達には悪いが……ハッ!」



グロッツの足元から風が吹き出し子供達を吹き飛ばした。



「ほぅ、やっぱりファリッサ最強の名はまだ健在でしたか、一筋縄ではいきませんね」



「お前の目的はなんじゃ?一族の復讐か?」



「それもありますが……僕の野望のためにはあなたの神器が必要なんです」



「神器じゃと?お前にオルセス様の神器を使いこなせると思うとるのか?」



グロッツの言葉にゼノムは少しも動揺しなかった。



「いえ、僕が欲しいのは二つだけ、一つは神器の中でも一際異質の黒天の腕輪。そしてもう一つは……それを着けている悟君ですよ」



グロッツの顔が一変した。



「何!?貴様、なぜそんなものを」



ゼノムは当たり前のように答える。



「なぜって?決まってるじゃないですか、あの力は素晴らしいそしてそれを着けている悟君の魔力も、僕はその両方を手に入れたいのですよ」



「……どうやら孫達だけには任せられないようじゃの……ここでわしがお前を倒す!」



次の瞬間グロッツの体が炎に包まれた。



「大いなる火の下部よ『汝』、その身を我に宿し全てを葬り去る火の化身に変えよ!」



グロッツの周りの炎が本人を包み込んだまま姿を変えていった。



「これは……」



「これで貴様は終わりじゃ!降臨せよっ『火の神・鳳凰(ラグマ・フェニックス)』!」



そこには大きな火の鳥が現れた。ゼノムが少し焦りの表情を見せるがすぐに平静に戻す。



「これはこれは、さすがに僕もマズイかなぁ、仕方ない、君は下がっていなさい」



ゼノムは手から黒い塊を出しそれは姿を変えていった。



「ふ~……すまんのぉシュレイナ、後の事はお前に任せる。こんなわしを許してくれ」



黒い何かと火の鳥がぶつかり合い互いに小さくなっていく。

物語は大きく動きました、この後地獄人ゼノムはどうなるのでしょうか?そしてグロッツは?もう一人の男とは?次回もまた大きく動きます。感想待ってます!!

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