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絶対何か隠してるよな

「あたしとクロードはあなた達を選ぶ時に一つ決めていたの。それは、さっきも言ったように最後まで勝ち残った者が願いを叶えられるってのを言わないでおく事」



「それは何でやったんですか?」



シュレイナは静かに応えた。



「……自分の意思で戦ってほしかった、願いが叶うっていう目的がなくてもただ純粋に勝ちたいちいう気持ちで戦ってほしかったの」



たいていの人間なら絶対勝てないような相手でも願いが叶うっていう気持ちがあったら無茶をしてでも挑もうとしてしまう、あたしはそれが嫌だった。けど悟は違った。



「あたしは……うれしかった。自分の損得も考えずにただ人の役に立ちたいとか仲間を守りたいとか、そんなことを考えて戦ってくれる悟が」



それだけ言い終えるとシュレイナは僕に『ごめんね』と言った。そんな考えがあったなんて、僕はただシュレイナやクロードと一緒に居る時間がいつの間にか楽しかった。負けたら人間界へ戻されて記憶を消される、それなら少しでも二人の…いや今はみんなと一緒に居たかった。だから僕は頑張れた。



「僕の方こそ…ごめん」



「おい、いいのか?そんなので」



陸斗が僕に聞いてきた。自分でも納得がいかないのかな、けど僕は。



「いいんだよ陸斗、それに願いが叶うって言われても僕はいまいちピンと来ないんだ。一体何をお願いすればいいか」



「それじゃあ今からでも遅くないから考えておきなさい」



願い事……あれ、でも…。僕は一つも疑問が浮かんだ。



「でもシュレイナ、チーム戦なのにどうやって最後の一人を決めるの?」



まさか、最後にみんなで戦わないといけないんじゃ。



「それなら大丈夫よ、あたし達のチームが勝ったらあんた達五人の中から一番成長した者を選ぶの、つまり天界に来てから最後の戦いが終わるまでの間に一番魔力の伸びが多かった人が選ばれるって事」



「じゃあ、俺達にもまだチャンスはあるんですか?」



大介さんが立ち上がった。



「そういうこと、みんなもう少ししたら食事の用意が出来るから、もう少し待っててね」



そう言うとシュレイナは部屋から出て行った。



「は~よかったわ、ウチはてっきり悟が一番になる思うてたから半分諦めとったんや」



「これで、俺にもチャンスが……」



大介さんは拳を握っていた、よっぽどうれしかったのかな。



「そういやあ自分の願いって何なん?」



思い出したように葵さんが大介さんに聞いた。



「あぁ俺か?…俺の家は親父が柔道の道場をやってるんだ、門下生もそれなりに居たんだがな最近その数が減ってきて、真剣に柔道を習いたいって奴も居るのに道場の維持に限界がきてるんだ。だから俺の願いは門下生を増やして親父の道場を復興させるんだ」



「ほ~体格どおりのごっつい夢やなぁ、ほな陸斗は?」



「俺?特にこれと言って願いとかはなかったけど…しいて言うなら宇宙へ行ってみたいかな、そういう経験ってほとんどできないからさ」



「宇宙かぁそれもええかもなぁ、アリシアちゃんは?」



「わ、私ですかっ?」



アリシアさんは驚いたように返事をした。



「私は……母を捜しているんです、私が物心付く頃にはもう居なくて、写真でしか見たこと無いんです、それが原因で小さい頃はいじめられて……それで……私…いじめられるのが怖かった、一人になるのが怖かった……だから…グスッ」



言っているうちにアリシアさんが泣き出してしまった。慌てて葵さんが慰めた。



「わわわわ!泣かんといて~やアリシアちゃん、スマンかったな嫌なこと思い出させて、お母さん、見つかるとええな」



「はい、ありがとうございます。けど……」



葵さんが顔を覗き込む。



「けど…何や?」



「今はこんなに仲間に囲まれて幸せです!」



そう言って涙を浮かべながら万面の笑みだった。そこには初めて会ったときのような寂しそうな顔は一つも感じられなかった。



「さよかっ、それはよかったわ」



そして暫く沈黙があった。そして……。



「ん?どないしたんや?みんな、そないウチの顔見て」



「いや、葵さんの願いって何なのかなーって、みんなもそうだよな?」



僕も合わせて葵さん意外みんな頷いた。



「う、ウチ?そんなええよ!ウチの夢なんて!」



葵さんは必死に何かを隠そうとしていた、怪しい……。



「そんな事言ったって後、言ってないのはお前と…悟だけだぞ?悟はさっき聞いたばっかりだからまだ無いと思うけど…お前はあるだろ?」



「ウチは………」



葵さんは目をそらして何かを考えてた。



「う、ウチかてただ純粋に勝ちたかっただけやで!?願いなんてな~んも」



「嘘だな」



「うん、嘘だ」



「僕もそう思う」



「私もです」



みんなの意見が一致した、こういうのって初めてかも。葵さんは更に焦っていた、そこへ。



「みんな~食事の用意ができたわよ~!一階に来て~」



シュレイナの声が聞えると葵さんはすぐにドアに駆け寄り。



「ほらっ、シュレイナさんも呼んでる事だし、い、行こうよ!」



そう言うと葵さんは一目散に逃亡を図った。



(ウチの夢なんて!あんたらのに比べたら……)



「最後、葵さん標準語だったね」



「そうだな、絶対何か隠してるよな」



僕と陸斗は互いにそんな事を言いながら部屋を出て食堂へ向かった。

以上がシュレイナの本音とみんなの願いでした。葵の願いはまた後ほど…ついでにアリシアの過去も少しだけでしたが書いてみました。今回でシュレイナと悟の距離がまた少し縮まったと思います。あ、別にここから恋愛には持っていきませんからファンタジー一筋です(笑)次回の内容は書きながら決めていきますす。感想待ってます!!

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