ちょっと待っててくれ
「勝者!シュレイナチーム!」
司会者が叫ぶと会場に拍手や歓声が起こった。
「さ、行くわよ、悟、葵」
シュレイナに続き僕らは会場から出ようとした。
「あ、あのっ」
司会者が何かを伝えようとしてたけど、シュレイナが何も言わなかったので僕らも無視して門を開き会場を出た。
そんな中王の御座では、またグロッツが高笑いをしていた。
「は~はっはっは!やっぱりわしの孫が勝ったのう」
グロッツの言葉に納得のいかないような顔をしているダグロス。
「っく、しかし何なのだあの少年は女の方も強かったがあの少年の使う魔法はほとんどが初級の…それも最下級の呪文ばかりではないか、かと思ってみれば我々天界人の使うそれとは全く別物、更にそこへ魔力混合に上級魔法とは……デタラメな強さだ」
「シュレイナの教え方が良かったんじゃろう、気にすることではない」
(とは言ったものの、確かにあの強さは異常じゃ、どれ、後でシュレイナに問いただしてみるか)
グロッツが心の中で呟くと急に真剣な顔になり周りには聞えないように呟いた。
「ダグロスよ、本当に見なければならんのは次の戦いじゃ、お主もとうに気付いておるじゃろうに」
その言葉にダグロスの顔も真面目になる。
「あぁ気付いておるさ、奴らめ今さら何をしようと言うのだ」
「理由は分からんが、奴らがこの戦いに紛れているのは確かじゃ、一回戦の脱落者が以上に多かったのもそのためじゃろう」
「それを知っていながら何故中止にしなかったのだ?」
グロッツは口元だけ笑った。
「試しておるのじゃよ、わしの孫をな」
「ふんっ、後で後悔しても知らぬぞ」
「なぁにそのときはわしが何とかする」
そこへグロッツの部下がやってきた。
「グロッツ様、二戦目の準備が整いました」
「んむ、では始めてくれ」
しばらくすると司会者が進行を進めた。
「それでは、二戦目に移りたいと思います!」
司会者の声に会場がまた盛り上がった。
「こちらは毎年決勝に進出しているもう一つの注目株、ルディアチーム!そして対するは……ってあれ?君……一人なのかい?パートナーは……」
そこには小柄な少年が一人だけだった。
「はい、僕一人だけですが……何か問題でも?」
「い、いえ……さぁ!今回は面白いぞ!またしても片方のチームが五人で戦わない更に今回は一人と言う前代未聞の戦いだ!」
司会者の言葉に会場は盛り上がるというよりざわめきが起こった。
「仲間ばかりじゃなくて、パートナーが居ないなんて……大丈夫なの?君」
チームの代表のルディアが少年に話しかけた。
「ええ問題ありません、それより早く始めませんか?僕こういう人の集まる所はあまり好まないんです。すぐに終わりますから、フフッ」
「もう勝った気でいるのね、私たちはそう甘くはないのよ?」
「え~それでは両者の会話を終えたところで……二戦目、始め!」
開始を宣言してからも両者は動かなかった、会場は静寂に包まれている。
「どうしたんですか?僕は一人ですよ、来ないんですか?
「こっちから仕掛けて何か罠があってもおかしく無いからね、まずは様子見って事よ」
「なるほど、こちらが一人なのは単に諦めているのか、罠かどちらかを考えるのが普通ですからね、でも残念……その考えは間違いですよ」
少年が不適に微笑んだ。
「間違いって何よ」
「僕が一人でいるのは別に諦めたわけでも何か策があるわけでもありません……戦う必要が無いからですよ」
そういい終えるうちに、ルディアのチームの一人がもう一人に攻撃をした。そして攻撃を受けた側も反撃をした。
「ちょっとあなた達!何やってるのよ!?」
そして五人全員がそれぞれを攻撃し始めた。その目は何か恐ろしいものに対する恐怖の眼差しだった。
「ちょっと!やめなさいよ!どうしたって言うのよ!?」
その声に反応するように一人がルディアに近づいて剣を振り上げた。
「きゃあっ!」
剣が振り下ろされた瞬間に男が現れその剣を受け止めた。
「あっぶね~、大丈夫か?ルディア…だっけ?」
「は、はい、あなたは?」
ルディアが閉じていた目をゆっくり開けて男に問いた。
「俺は、カルマだ。ルディア、後は俺がやるから……君は棄権でいいか?」
「わ、わかったわ、でも……」
「話は後だ、ちょっと待っててくれ」
そういうとカルマは一瞬で男の後ろに回り込み首筋を手の甲で軽く殴って気絶させた。
特にこれと言って書くことはありませんが、ここではカルマが凄く格好よくできてます(笑)次回はいよいよ悟とグロッツ様の対面です。感想待ってます!!