・・・すまんかったな、悟君
引き続きクロードの視点から始まります。
シュレイナはクレウスをくらったがすぐに受身をとり体勢を持ち直した。
「何よいきなり、しかも詠唱なしってどこで覚えたのよ」
シュレイナもいきなりの出来事に焦っていた。
「いやぁシュレイナたちもやってたから、僕にも出来るかなぁってやってみたらできたんだ」
やってみたら出来たって……詠唱なしを身に着けるにはどれだけかかると思ってんだ。
「こんな悟、まさかあの時の!」
シュレイナも気づいたか、瑞村にやられて目が覚めたときの暴走した悟だ、こいつはちょっとやそっとじゃ出来ないぞ。ここは。
「気をつけろよシュレイナ!これはいつもの悟じゃないぞ、お前も全力でやれ!」
「いつもの悟じゃないって何よ!?でもさっきの詠唱なしのこの威力、とても力をセーブしてたとは思えない、こうなったらあたしも!」
シュレイナもやる気になったか……ん、やべっ。
「余所見はダメなんでしょ?クロード」
あの構えはスパレドだ、今の悟のをくらったらやばいな。
「ドルニス・剛 !」
俺の前を地面から盛り上がった土の壁を造ったが、それも束の間、徐々にひびが入り……雷の矢が飛び出してきた。
「あぶねっ」
俺は間一髪で避けたが肩にかすった。こんなにも違うのもんか。そこへシュレイナがやってきた。
「どういう事よクロード、あんた何か知ってるんでしょ?」
ん~ここで説明するには……まだ早すぎるな。
「俺にもわからねぇ、ただ今の悟は何かが違う、魔力とかそんなんじゃなねえ何か根本的に」
「こうなったら、あたしも水の上級魔法使うしかないわね」
「メルガを出すのか?」
シュレイナはもう詠唱に入っていた。
「大いなる水の下部よ『汝』その姿を神聖なる龍の姿に変えここに降臨せよ!水龍メルガ・ポセイドン!」
詠唱を終えると同時に土壁が崩れた。
「行って!メルガ!」
シュレイナは悟を差しメルガは悟に突進していった。しかし。
「効かないよ」
そう言うと悟を覆うように雷の盾が悟を守った。それに突撃したメルガは砕け散って声だけ聞こえた。
「ごめんよ、シュレイナ」
そしてその砕け散った水が再び龍の姿に戻るがシュレイナの手の中へ戻っていく。
「ちょ、ちょっとメルガ!」
こりゃ本格的にやばいな……すると悟が片手を上に上げた。おい、まさかあの構えは。
「おい、シュレイナ、すぐに最大級のバリアを張れ!水の第五魔法が来るぞ!」
「え、それって」
「あぁ、『水の竜巻』だ。しかも悟のは……」
水の竜巻、言葉の通りだがその竜巻はせいぜい俺達の背丈くらいの小さな竜巻。だが悟のは本物の竜巻のようにでかい、しかもコントロールが効かない、不規則に暴れまわる竜巻だ。
「こうなりゃ、俺も……」
と、言ってる間に悟の手からは竜巻が現れた、しかし、その瞬間に悟はその場に倒れた。やっぱ悟にはあの人の力は重すぎたか。なにより、助かったな。俺も…もう少しで……。
「悟!」
シュレイナが悟に駆け寄った。もう大丈夫だろう。
~悟の視点~
どうなったんだろう、気を失って…誰かに話しかけられて…覚えてないや。
目が覚めると、またシュレイナの顔がそこにあった。
「あ、シュレイナ」
「悟……何も…覚えてないの?」
「えっと、気を失って……誰かの声が聞えて……」
「誰かって…」
シュレイナが次の言葉を言おうとしたそのときクロードが割って入った。
「お、おいっ、いつまでも喋ってないで、葵を起こしに行くぞ」
僕らは葵さんの方を見ると彼女はすでに自分で起きていた。そして何故かキョトンとしていた。僕が近づいていくと。
「自分、ホンマにあの悟君か?」
その声は何故か震えていた……まさか、また僕、何かやってしまったのかな。
「葵さん?」
「・・・すまんかったな、悟君」
今回二度目の悟君の暴走は自滅という形で止まりました。悟君の秘めたる力の根源はなんなのか?クロードの真意とは?そして葵の心情は?いろいろ織り交ざってきました!感想待ってます!!