これもあの人の力か
突然ですが、この話で二回戦の開始まで書こうと思っていたのですが、話が長くなってしまいできませんでした。今回はシュレイナ、クロードVS悟、葵のタッグ戦です。
僕らはそれぞれに分かれて修行を開始した。そして僕と葵さんはというと。
「じゃあ早速始めましょうか、軽い模擬戦だからあたし達だってそこまで本気では行かないから」
シュレイナの言葉が葵さんのどこかに引っかかったようだ。葵さんは……。
「ほ~ずいぶん余裕なんやなぁシュレイナさん、万が一でもウチらは勝たれへんと」
「当たり前でしょ?仮にも天界人と人間なんだから魔力も肉弾戦も天界人の方が上に決まってるじゃない」
昨日の話し合いからこの二人仲が悪くなっているような気がする。それはクロードも分かっていた。
「おいシュレイナ、あんまり挑発すんなよ。模擬戦だろ?」
クロードがシュレイナを抑えようとしていたけど、それでもシュレイナは葵さんをさらに挑発した。
「とにかくあたし達は半分も力を出すつもりは無いから、頑張ってね」
とどめの言葉についに我慢の限界がきたのか、葵さんがキレた。
「もおぉぉぉ絶対に許さん!悟!何が何でもあの二人倒して分からせたるで!」
「は……はい」
葵さんは凄く燃えていた。
「ルールは無し、どっちかが戦闘不能になるか参ったと言うまで、それじゃあ…開始!」
シュレイナの掛け声と共に葵さんが刀を構えて飛び出していった。
「おらあぁぁぁぁ!」
それに対してシュレイナはそこから一歩も動かずに葵さんが向かってくるのを待っていた。そして葵さんが刀を振り下ろすと……。
「……遅いわよ」
ひょいっと軽く避けられた、振り下ろした刀を葵さんはすぐに持ち替えてそのまま横になぎ払ったが、それも避けられる。
「何でや!?」
何度も振り回していたが刀はシュレイナにはかすりもしなかった。そんな二人をみていた僕のところへクロードがやってきた。
「あれじゃあ一生かかってもシュレイナにはあたらないな、葵のやつ、完全に熱くなってる。シュレイナの思うつぼだ」
「え、じゃあシュレイナはわざと葵さんを挑発したの?」
「あぁ、葵の性格をみれば簡単に弱点なんて分かっちまうんだ、そんでな悟……お前も……油断し過ぎだよ!」
瞬間にクロードの手のひらから爆発が起きた。僕は簡単に吹っ飛ばされてしまい芝生に倒れた。
「お前の弱点はその甘さだ、いくら模擬戦とはいえ俺らは今敵同士なんだ、俺が力を弱めなかったら悟お前は今頃、戦闘不能だ」
「う、う~」
僕はゆっくりと立ち上がりクロードの方を見た。そうだ、明日の敵は力を弱めてなんかくれない。全力で来るんだ。僕も向かわなきゃ。
「目つきが変わったな、さぁこっからだ悟、来い!」
そこから僕も自分で戦おうとした。ただ全力ではなかった、僕の魔法が葵さんにも当たるかもしれない、それだけが気がかりで全力を出せなかった。クロードも全力では無いにしろやっぱり強かった。そして徐々に僕の方が押されてきた。
「どうした?悟、魔法の威力がまた弱まったぞ?」
その声が葵さんにも聞えたのか、葵さんがこっちを見て……。
「何しとんねん悟!ちゃんと戦わんかい!」
そのときシュレイナが初めて魔法を使った。
「そんな事してていいの?『風輪』!」
「しまった!」
魔法をもろに食らった葵さんは回転しながら風に飛ばされた。そしてそれを見ていた僕も。
「葵さん!」
「どこ見てんだよ、『炎爆』!」
さっきよりも大きい爆発を食らい僕も飛ばされた、そして地面に頭を打ち、気が遠くなっていく。そしてまたあの声が聞えた。
『また、やられてしまったのですか?悟……まぁ良いでしょう、また私の力を解放しなさい。私はいつでもあなたの味方ですから』
~クロードの視点~
悟が気を失ったまま起き上がらない、あちゃ~ちょっとやりすぎたか?頭打ってたみたいだし……またあの人が出てくんのかなぁ……お、起き上がった。
「余所見なんてしてる暇無いぞ悟、仲間を気遣うのは大事だがなぁそれで自分がやられてたら、本末転倒ってやつだ」
「ははっおもしろい人間界の言葉知ってるんだねクロード、大丈夫、僕も今からは……本気で行くよ」
やべっまさか出ちまったか?まいったなぁ。こうなりゃ俺も全力で行くか。
「後ろががら空きよ、悟」
と、そこへ葵を倒したシュレイナがそのまま悟の近くまでやってきて魔法を出そうとした、だが悟は。
「分かってるよ、シュレイナ」
そのまま後ろへ手をやり、ゼロ距離でシュレイナにクレウスを浴びせた。
「うわっ!」
まさか、詠唱なしでやるとはな。これもあの人の力か。
悟君がまた変な力に目覚めてしまいました、その真相は物語の後半で分かります。次回も悟君が暴走します。そして葵は?感想待ってます!!