あなたは……誰ですか?
そして日も暮れ僕らは宿に戻った。宿では修行を終えた皆が楽しく談笑をしていた。きっと皆は自分の武器と魔法の組み合わせの成功したんだろうなぁ、それなのに僕は………
そこへ陸斗が僕に気づき近づいてきた。
「どうした?悟、そんな暗い顔して」
自分ではそんな顔をしたつもりは無かったけど……やっぱりわかるのかな。
「大丈夫だよ陸斗、何とも…無いから」
「そうか?それならいいけど」
そのときシュレイナが皆へむかって話し始めた。
「みんな!お疲れ様。今日はゆっくり休んでね、明日もほぼ一日修行だから今のうちに寝ておきなさいって言ってもみんなクタクタか。男子はあっち女子はこっちの部屋ね」
「「「は~い!!」」」
シュレイナの指示にみんなが応える。と、そこへ葵さんが手を上げた。
「シュレイナさん、ウチらお風呂とかはまだやねんけど……」
そういえば、この世界に来てからあまり意識してなかったけどそういえばお風呂ってこの世界にもあるのかなぁ。
「ん~やっぱり人間界の子たちは入りたいわよねぇ。あたしも最近は入ってないし、造りましょうか」
え、造る?それって……
シュレイナは外へ出て、だいたいこの辺かと呟きながら長方形に線を引いた
「マレーサは地の魔法でここに土台、コミルは水、ネルザは火を着けて。あたしは薪を調達してくるわ、クロードも付いてきて」
「はいよ~」
シュレイナが次々に指示を出していってみんながそれを始めた。
『ドルニス・造形!』
一人がそう唱えるとシュレイナが線を引いた地面から土が盛り上がってきてあっという間にフタの無い箱になりそれはまさしくお風呂の形だった。しかもかなり大き目の。
そこへもう一人が手から水を出し、そこへシュレイナが木を切って作った薪をお風呂の下に置きそこへ火を着けて……お風呂が完成した。
「すぐ温かくなるからね~ちょっとまってて!どうしたのみんな、せっかく造ったのに入らないの?」
それをみて僕らはポカンとしていた。こんなに簡単にお風呂って造れるんだ、やっぱり魔法って凄いや
「あ、じゃあウチ入る!って言いたいんやけども……服を……」
葵さんが話してるうちに声が小さくなっていく。
「それもそうね、ほらっ男子は一旦宿に戻る!」
そう言われ僕らは小走りに宿へともどった。そっか、葵さんも普通の女の子だもんね。
それから一時間ほどして女性陣たちが宿へと戻ってきた。
「あ~すっきりしたわ~、ホンマにおおきになシュレイナさん」
頭から湯気を出しながら葵さんが気持ち良さそうな顔をしていた。
「男子も入りたい人は入っていいわよ。火を着ければいつでも温かいから」
「ん~そうだな、俺達もはいるか」
クロードが伸びをしながらそう言って部屋を出ようとした。それに続き僕らも外へ出てお風呂に入った。
そして全員が宿へと戻ったとき女性陣は談笑をしていた。パートナーたちは魔法学院を卒業してからの事、葵さんとアリシアさんは自分達の世界の事などの話をしていた。
「さて、明日も早いし寝ましょうか。明日は属性に分かれてするからみんなそのつもりでね」
「「「は~い!」」」
「それと、クロード」
「ん、なんだ?」
「明日はあたしは城に行ってるから、あんたがまとめといてね」
「なんだ、城に用があるのか?」
「うん、ちょっとね」
そういい残しシュレイナは女子部屋に行き女性陣たちも後に続いた。僕らも自分達の部屋へ行き就寝した。僕は明日の修行についていけるのかな、不安だった。
「明日も頑張ろうな!」
「お前には期待してるぞ」
陸斗と大介さんが寝る前にそんな事を言ってくれて少し自信がもてた。
「うん、頑張るよ」
その日の夜、僕は不思議な夢を見た。あたり一面が闇一色に染まり僕一人だけだった。そして向こうから唸り声が聞えてくる。人じゃない、獣?その瞬間、闇の中から二つの黄色く光る丸いものが浮かび上がった。これって……目?黄色い目に黒い瞳のそれはこっちを見ながら何かを言っている。
「---ぞう、---まごと---しを--める」
うまく聞きとれない。これって一体なんなんだ?何故僕の前に。
「あなたは……誰ですか?」
「グオオオオォ!」
獣がいきなり叫びだし、僕は目を覚ました。窓の外を見るとまだ夜だった。あれは一体……
自分で言うのもあれですがホントに魔法ってのは何でもアリですね(笑)ついにお風呂まで造ってしまいました。そして葵は何だかんだで女の子なんですね、さて次回は悟君の修行第二弾!ここでも悟君は何かやってくれます!
感想待ってます!!