いっちょ行きますかっ!
「じゃあまた君をぶっ飛ばしてやるよ『フェルシ』!」
瑞村がまた悟にフェルシをぶつけようとすると悟はいとも簡単にその風を避けた。あの動き、確実に今までの悟るじゃない。
「そのフェルシって魔法は相手に直接当てないと意味がないみたいだね」
「そ、それがどうしたんだ!まだ僕には他の魔法だって…」
瑞村が悟の反応にうろたえていると悟は更に瑞村をあおった。
「じゃあやってみなよその魔法を、僕は何も邪魔しないからさ」
「は?何言ってんだよお前。調子に乗んなよ!『風牢』!」
呪文を唱えた瑞村の手から現れた。ダメだ!あれは避けないと。そう言っているうちに悟の周りを風が回転しながら包み込んだ。
「この魔法は捕われたら最後だ。出ようとすると鋭い風が触れた部分から切り裂いていくぞ。そうしなくてもこの風はそのうちお前を傷つけるけどな」
見ると悟を囲んでいる風の球体が徐々に小さくなっていく。マズイ、早く何とかしないと。……え?悟何してんのよ?
悟はゆっくりと左手を上げて風に触れようとした。ダメよ。いくらあんたでもそれは!
「大丈夫だよシュレイナ。それに魔力も弱めるし……『スパレド』」
「何?……うわ!」
悟が呪文を唱えた瞬間に瑞村の肩が撃ちぬかれた。嘘!?全然見えなかった。それ本当に魔力を弱めてるの?
撃ちぬかれた肩を必死で抑えてもがいている瑞村。集中力が切れたおかげで悟の周りの風が消えた。
「じゃあ今度はこっちから行くよ。…『水鞭』」
それってたしか水の第二魔法。使用者の手を水が覆い長い鞭のように形状を変化させる魔法、やっぱり初級だから普通の人間界にあるような鞭になるけど悟のは……
「な、なんだよこの魔法。やめろ!はなせ!」
体全身を巻きつけるほどに大きくて長い。一度捕まってしまえばあとはこっちのもの。そのまま高いところに上げて落とせば普通の人間なら気を失う。
「いくよ。……それ!」
しかし悟はその腕をそのまま振り下ろし瑞村を地面へ叩き付けた。そんな悟がそんな事をするなんて。しかも一度や二度じゃなく…何度も。
「や……やめてくれ。僕の負けでいいから」
瑞村はかなりのダメージを負いほとんど喋れない状態だった。そんな状態を見てか悟はつまらなそうに
「そろそろかな?」
瑞村を地面へと降ろし彼のそばまで行った。
「僕の負けだけど。けどバイザンとシェリアがやってくれる」
「まだ口が開けるんだね。じゃあトドメだ。」
「い、いやだ」
「さっき君は僕に中途半端な攻撃をしたから、今こうなってるんじゃないか、だから僕は君のようにはしない。雷の第五魔法……『スフォイル・」
「ちょっと待ちなさいよ悟!ホントにその子死んじゃうじゃない!」
それだけは嫌だって言ってた悟がなんの躊躇もなくここまでするなんて。絶対悟じゃない。
「邪魔しないでよシュレイナ。あと少しなんだから。さぁいくよ」
ここであたしが止めないと。悟は……もう。あたしはとっさに走り出し悟を捕まえてこっちを向かせた。
「やめなさいって……言ってるでしょ!」
~ここから悟の視点~
気が付くと目の前には涙目のシュレイナが僕の肩を掴んでいた……痛っ。右の頬がじんじんする。
「こんなの、悟じゃない。どうしたのよ……グスッ」
「泣いてるの?シュレイナ」
シュレイナが泣くなんて。まだこの人とは会って少ししか経ってないけど、シュレイナが泣くなんて想像がつかなかった。
「なんで泣いてるの?」
「……悟?あなた、悟よね?」
おかしな質問をする。何でこんなことに。
「僕は悟だよ」
「何よ、最初にあったばかりの悟じゃない。ビックリさせないでよ!さっきまでのあんた、ホントに怖かった」
涙をぬぐいながらシュレイナがこたえる。さっきまで?それっていつの話だ?
「ったくいつまで泣いてんだ?シュレイナ」
そこへクロードがやってきた。
「敵はあと二人いるんだ。しっかり腰入れろって!」
そう言ってシュレイナの背中を軽く叩いた。それに反応するようにシュレイナが顔を上げた。
「そ、そうね、さっあんたはもういいから、そこにいなさい!」
シュレイナからもう涙は出てなかった。クロードともに立ち上がり敵に向かい直した。
「それじゃあ、いっちょ行きますかっ!」
悟君が暴走してシュレイナがそれを止める。この構図は最初に決めてあったのですが結構序盤で出してしまいました。(汗)でもなんだかいい感じに出来たと思います。次回はシュレイナとクロードの活躍です!
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