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黒い人の黒と、黒くない人の黒

 もう随分前のことだけれど、ちびくろサンボのような可愛いお話も、差別ということでダメになったので、肌の色のお話を書くのはとても難しいことになってしまった。


白い人は小麦色の肌に憧れている。

なので、こちらでは日焼けサロンなんかも結構流行っていて、晴れた日には、お庭で水着姿になって焼いている人も多いようだ。

時折、どこかで車をターンさせるのに狭い道に入って見かけることがある。

この夏は、久し振りに暑いので尚更だろう。

放っておくと、芝生が枯れそうになるのは珍しいことだ。

まぁ、田舎のことだし、庭には樹木も多く、外からは見えないので問題はないと思う。


私はと言えば、5月末にエジプトへバカンスに出かけて来たので日に焼けて、まだかなり黒い。

元の顔立ちが南方系というか、フィリピーナにそっくりだそうなので、それらしいメイクをして楽しんでいる。

最近は、ゴールド系やブルー系のシャドーを使う事が多いし、ファンデーションの色も変えた。

小麦色になると、健康的に見えるのがいい。


 白い肌のスカンジナビアン女性が、日焼けをしたいのだと言う。

でも彼女の肌は、透けて中が見えてしまうのではないかと思うほど白い。

なので、日焼けをしても真っ赤になるだけで、すぐに戻ってしまい、そばかすだけが残る。

気の毒に思うけれど、焼かない方がいいのだろう。

彼女には彼女の美しさがある。


 黒い肌のインド人女性が、5歳の子供の作文を見せてくれた。

「僕のお母さんは白い」

私は吃驚した。

彼女の肌は褐色だったから。

すると、彼女が笑いながら私に言った。

「あら、私の故郷では白い方なのよ」

あぁ、そういうことなんだと思った。

彼女は日本にいた頃の友人で、残念ながら事故で亡くなってしまったのだけれど。


 こちらへ来てからコンゴ人の友人ができた。

彼女は、やはり褐色の肌の色をしている。

先日のパーティーでは、ルワンダの人やカメルーンの人もいた。

コンゴ人の友人が私に、

「焼けたでしょう?」

と言うので、私はてっきり私の肌のことを言っているのだと思った。

すると、彼女は自分の腕を指差して、

「ブロンズはいいんだけどね、それ以上焼いて、真っ黒になるのはきれいじゃないわ」

と言うのだ。

私は、今度は驚かずに、そんなものかと思った。

 その時、私には彼女たちが何語を話しているのかよくわからなかった。

隣にいた友人とは別のコンゴ人女性が、英語教師の資格を持っているらしく、いろいろ教えてもらったのだけれど、そうでなければ彼女たちがフランス語を話しているとは分からなかったかもしれない。

そのくらい、アクセントが強かったから。

やがて、少し耳が慣れて来ると、彼女たちの会話が少し理解できた。

どうやら、そこにいたお金持ちのルワンダ人女性たちは、アジア人が好きではないようだ。

理由は分からない。

でも、友人が私のことを特別だと話しているのが聞こえた。

彼女のフランス語だけは、私も慣れて来たので、何とか聞き取れる。

 まぁ、こんなことでいちいち目くじらを立てていては外国では生きて行けない。

理解の低い人は、どこにでもいるものだ。

それよりもみんなで踊って楽しく過ごせたら、いい時間にすることが出来る。


 オバマが大統領になった時、これで米国人の人種差別が緩やかになるのでは?と言う人がいた。

米国に住む日本人が暮らしやすくなるのではないかと。

一瞬、頷いたものの、理屈がよくわからなかった。

つまり有色人種と白人という関係で、人種差別があると思っている人があるらしい。

実は、そうではないと私は思う。

白い人の中には、有色人種を差別して考える人もあるのは事実だ。

でも、黒い人と黄色い人の順番は、色の薄い順ではない。

差別をする人たちの頭の中では、要するにお金を持っているかどうかという所に基準があるのだろうと思う。

黒い人の中では、黄色い人は同じではないし、中には黄色い人を差別する人たちがあるのだ。

勿論、黒い人の中には白い人を嫌う人もあるから、(別に私がそう思っていなくても)敵の敵は味方という構図で黄色い人に親しみを覚える人もあるらしい。

それは、戦争などの歴史にも関係があるようで、簡単には相手を理解出来ないと思う。


日本語には「真っ黒に日焼けをした」という表現がある。

でも、それは日本人の思う黒で黒い肌の人たちの黒とは違う。

私は、そこに気が付かないで吃驚してしまった経験から、ここに書いておこうと思った。

まさか私みたいに、子供のような反応をしてしまう人がたくさんいるわけではないと思うけれど。


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