停電
最初におゆるし頂きたいことを書いておきます。
以前はよくブログを書いていました。
でも気が付くと、どうも愚痴めいて行く傾向にあって、それを気遣いながら書いて行くと疲れるのでやめました。
ところが、面白いと言って下さる方もあるので図に乗ってしまい、また書こうかと思い立ったわけです。
「美迷道」なんていう言葉はありません。
でも、どうせ迷うなら美しく迷いたいな、とふと思ったのです。
こんな思いで書き始めますので、もしかすると、いえきっと、また愚痴めいてしまうことがあるかもしれません。
でも、それをおゆるし頂きたいのです。
それから文体も含めて、ルールを無視します。
好きな時に改行をして、好きなところに好きな大きさの記号を使います。
なので、どうか気にしないでください。
私は、決してどなたかに当てこすったり、意地悪をしようと思って書いたりは致しません。
出来るだけ、人を傷つけるようなことのないように生きたいと思っていますが、それは不可能です。
もう随分前のことですが、ご家族を亡くされた方から、「生きている」ということで叱られたことがありますし、「病気が治った」と書いたら、それも叱られたことがあります。
でも、インターネットで公開するということは、不特定多数の方が対象になりますので、決してご自分のことを指して書いたのではないと思って下さい。
最後に、子供の年齢の方にも理解出来る方はあるかもしれませんが、対象としてとして書かせて頂いているわけではないので、15歳未満の方にお読みいただいても面白くないと思います。
そういう勝手なルールで書きますが、もしも、それでもお付き合い頂けると幸いに思います^^
かしこ
秋野みか
昨日は、何も書く事ができなかった。
何故なら午前中の長い停電。
食器洗い機も洗濯機も、掃除機も使えない。
それにパンも焼けない。
日曜日で、お店はお休みなのに、どうしよう....
という訳で、電気の回復した(まさにライフラインだ!)午後はバタバタ。
今回の停電は夏場のことで、長くても、そんなに問題ではない。
でも、欧州の天井は高く、ひと部屋が広い。
これが冬場でマイナス気温になったら、薪ストーブでも部屋全体は暖まらない。
お陰で、ずっとストーブの前で薪をくべながら、電気が通るのを待ったことがある。
私の住んでいる家は元農家なので、あちこちに家畜小屋が残っていて、ガレージや物置として使っている。
何でも昔の農家を買い取って、改造して暮らすのがお洒落なようで、この通りに暮らす殆どの人が、都会からやって来た農業とは関係のない人たちなのだ。
なので昼間の通りは、ほぼ空っぽ。
男女同権で同義務のここでは、女性もフルタイムで働く人が多い。
見かけるのはリタイアを果たしたお年寄りか、ハウスキーパーさん、、ベビーシッターさん、植木職人さん、そして家にいる外国人というわけだ。
一番多いのは、人間よりも、多分牛の数だと思う。
よく斜め向かいのお宅から、飼っておられる子羊たちが脱走して通りを駆けまわっているけれど、柵の修理をされないのか、それとも羊さんの知恵が飼い主を上回っているのかのどちらかだろう。
野良ではなく、多頭飼いする人もあるので、猫や犬の数も多い。
少し歩けば、馬牧場と小麦やジャガイモの畑が広がり、野兎がたくさん住んでいる。
時折、林では鹿を見かけるし、農業用水路には鴨、雉なら庭にも降り立って来る。
車を運転していて怖いのは、放し飼いの鶏と七面鳥。
鶏は、まだ大人しいのでいいけれど、七面鳥のオスは威嚇して車の前に立ちはだかるなどし、タイヤを突いて来ることもあるので要注意だ。
こう書くと環境のいい暮らしやすい土地のようだけれど、実際には難しい。
数年前に、よく停電した時期があった。
いくらここが九州ほどの小国だと言っても、この村で停電したくらいではニュースにはならない。
だから、どうして停電したのか理由は分からないまま、復旧するのを待つのが普通のことだ。
ある夜のこと、村の中のビストロへ食事に出かけると、農家のご家族で食事をしておられるテーブルの隣に案内された。
ここは、フランス国境からみると北西方向に20㎞くらい?
フランス語に強い訛りがある上、寒い国の特徴か、口を開けないで話をされるので聞き取りにくい。
後ろのテーブルの男性が、話しかけて来た。
「あぁ、こないだよう、停電したっぺ?
あれさぁ、家の息子がまだ慣れねえもんでよう、農業機械を操作していた誤って電線を引っ掛けたんだべな。
オラ、あんたん家から真直ぐ南に下った突き当たりの家に住んでるっぺ。
な?見覚えあんだろう?
悪かったなぁ、あん時は」
かなり苦労して聞き取ったのは、こんな感じだったろうと思う。
ともかく停電の理由は、そんなところなのだと分かった。
これじゃあ、怒っても仕方がない。
以来、停電の理由は探らない事にしている。
その代わり、きっとどこかで「悪かったなぁ」と言っている誰かの存在を想像するのだ。
ここで暮らして、一番に学ぶのは気を長くすること。
その割には、憤慨してしまうことも多いのだけれど……。