第八話 最上さんを問い詰めてみた
『千里くんはひどいな。頑張ってる人に対して無理ですとか言って』
『頑張ってる人なら今頃スマホではなくペンを動かしてます……』
『ぴえん』
最上さん、スマホ越しでもふざけているな。でも俺もスマホをいじっている場合じゃないし。
そういえば、最上さんになぜ俺のノートの事情を知っているか、聞いていなかった。
まあ、今は勉強しよ、と俺は勉強机に向かった――。
次の日の学校。俺は自主的に最上さんがいる四組に足を運ぶ。大勢の人の話し声が聞こえ、俺は一人で座っている最上さんを見つける。
「最上さん」
「千里くん! おはよ」
俺が急に現れるのを想定していないのかな、彼女の目はちょろちょろと泳いでいる。
「あの、昨日のノートの件なんですけど」
「あーそれね……気にしなくていいのよ」
「いや、気になるんですけど」
怪しい。俺は昨日、家で自分のノートを探しても見つからなかった。無くした、はありえない。
最上さん、怪しい。盗まれたとしか想像できない。でも、なんで俺のを盗んで、また新しいノートを書くのか。ひますぎだろ、最上さん。
「へへ。隠しても千里くんにバレちゃうか」
「バレるに決まってるじゃないですか!」
「ぴえーん。レディーにもう少しやさしめの口調でしゃべってよ」
「それは悪かったです……」
最上さんは「ふん」と頬を膨らませ、両手を組んで俺をジーッとにらむ。
「最上さん、おねがいですから言ってください」
「今日、うちに来て。隠れても仕方ないし」
こわ。なんで家に行く必要があるんだよ。
「なんでですか!」
「いいじゃん! 君の彼女の家にいくことだぞー」
でも俺は真実を知りたすぎたから、うん、と頭を下げて自分の教室にもどった。
最上さんって、一見すると単純だけどミステリアスな人なんだな。
「おっはー、泉」
「おはよう、白井」
白井はまた今日の提出物に必死のようだ。昨日みたいなアクシデントを発生させないために、今日はリュックをしっかり確認した。
「泉さ、最上さんのこと、どー思ってる?」
白井はこそこそと俺に声をかけた。俺も顔を彼のほうに近づき、声のボリュームを下げた。
「最上さんかー。ぶっちゃけ顔は……かわいいけど、ちょっと傲慢っていうか」
「へー。でも上品な感じしない?」
それは表の姿に過ぎないよ、と返したいが最上さんの秘密を晒すと彼女が可哀想だから、軽くうなずいた。まあ、白井も盗み聞きしていたし、そんくらいはいいっか。
「泉があの最上さんと付き合うって考えると、不思議だな」
「べつに付き合ってるわけ……」
「まあまあ、俺は応援してるよ。おまえが諦めたら……俺が代わりに最上さんを狙っちゃおっかな」
俺は鼻で笑い、ポンと白井の頭を叩いた。
一日の授業が終わり、今日もまた最上さんと帰ることにした。なにせ今日は彼女の家にいくし。
電車で数十分くらい乗り、淡々と道に歩く。そして別荘が俺の目に映った。
とても壮大で、童話に出てくるような家。小さなガーデンもあって整備も整ってて、言葉を忘れるくらい唖然となる。
「これが私の家だよ。千里くんも自分の家だと思っていいよー」
「はい……」
あまりにも素晴らしい別荘だから、俺の目が離せなかった。
最上さんってもしかして、隠れ富豪だったのか?? 上品なお嬢様的な方とか。
最上さんはポケットから鍵を取り出し、扉を開く。
「ただいまー。今日は私の彼氏つれてきたよー」
「お邪魔します」
しかし俺たちを出迎えた人、あまりにも驚きの人物だったというよりも、なんでおまえが??




