第四話 ガリ勉危機
「なんでカナ?? 私じゃだめカナ??」
「オジサンかよ。その口調やめてください。べつに付き合ってないじゃないですか」
最上さんは変わらず笑顔が満開した自信のある表情と口調だ。それよりも今、周りの人から変な目が寄せられる。
「最上ちゃん……最近、どうしたの?」
クラスの女子がチョンチョン、と最上さんの肩をさす。
「へへ。ごめんね、今更だけど、千里くんは私の彼氏になっちゃったのノ!」
なっちゃったノ、はなんなんだよ。さっきから口調が変だし、ウソしか吐かないし!
まずい、このままだとクラスの人からの視線に殺される……最上さんと一対一で話そ。
「最上さん、ちょっと来てください」
「んん?? デートプランの作成カナ」
「その『カナ』やめて」
俺は彼女を連れて、教室の外で話し合うことにした。なるべく人通りの少ない角の位置で、俺は最上さんをにらむ。
「最上さん、俺、オッケーしてないはずなんだけど」
「むりー! 後悔なし。放課後楽しみにしてるよ、じゃ私は授業の準備しにいくよ」
「ちょっと……!」
最上さんは俺の話を無視し、悠々と俺の視界から消えた。
最上さん、ほんと傲慢だし、マイペースだし、気遣いも下手じゃん。でも……な。
かわいいよ。顔だけじゃない、言動とかも。少々めいわくだなって思うけど、嫌っていう感じはしない。でもなんで最上さんは俺を。
「おっ、白井……」
教室に戻ると、俺の席のそばに白井が立っていた。
「おっはー、泉。最上さんと仲良くなってる?」
「そんなことねえよ……それよりも、なんで俺のつくえの隣でうろうろしてんだ? なにしてるの?」
「なんでもないよ……そういえば、英語のノートやった? 今日提出日だよ」
最上さんと関わってきてから、白井の状況もおかしくなっているじゃん。
英語のノートか。教科書の本文を写して、ただ提出するだけの簡単な宿題。昨日やったはずだし、多分ノートはリュックにある。
「白井はもうノート終わった?」
「終わってねえよ、今からがんばって追い込むわ」
「がんばれよ、一時間目でしょ」
白井は俺と違って、いつも提出ギリギリまで追い込んでノートを書いている。まあ、人それぞれだし。
俺はリュックを開き、ノートを探す。
「……あれ」
中に例のノートはなかった。学校に置いているのか? ロッカーも探してこよ。
後ろ側のロッカーを開く。しかし、やはり俺のノートはなかった。
視線を白井の方に向ける。しかし彼は今、必死にペンを動かしている。
「おかしいな……」
席に戻り、つくえの中を確認する。しかしノートの姿はない。
まずい、背中がヒリヒリする。やってきたはずのノートが……ない。家に置き忘れてしまったのか。
英語の評定を取るのは厳しいと言われているほど、先生が細かい誤字とかで大減点する鬼畜。……俺は英語が得意なんだけど、もしノートを提出できなかったら成績が下がってしまう。
「ねえ、白井……俺のノート見た?」
「ん? 知らないよ。ちょっと忙しいから自分で探して」
やっぱそうか……まずい、本当にまずい。英語の評価が下がると、間違いなく親に。
しかしそう考えているうちに、中年の男の姿が教室の中に入る。
「英語の授業始めるぞ、号令を」
先生が、来た。「お願いします」と挨拶したのち、先生はこう言う。
「じゃあ、宿題回収するぞ」
終わった。
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