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俺にブサイクと言われたら学年一位の美少女がなぜか懐いてきた  作者: 雪方ハヤ


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第三十五話 最上さんvs玉緒さん

 ――最上さんの視点――


 私ったら……また千里くんを誘っちゃった。三月九日以来、私は彼といる時間が短く感じるんだよー!


 私を助けた恩人だし……私、簡単に人に身を捧げるような軽々しい女の子に思われないかな……!!


 いや、千里くんのやさしさなら許してくれるはず。


 駅前で心をドキドキさせながら、腕の肌をギュッと摘んで、彼の登場を待つ。


 待ち遠しいよー、と思った次の瞬間、私の目の前にめがねをかけた女の子が出てきた。


 私を、にらんでいるの? めがねにポニーテール、小柄で小動物みたいな子なのに、にらむって似合わない。


「最上咲良」


 いきなり氷点下の声で私を呼び捨て、私はうっ、と声が漏れる。


「私のこと、知ってるの? ふふ、お初にお目にかかります」


 ヨシ! ここはパシッと端正なお嬢様の口調でいった!


 しかし目の前の女の子はプスッと冷笑し、口を手で隠す。苛立つ笑いをするけど、彼女のふるまいは異常に美しい。私、よりも。


「これで学年一位の美少女か……生で見ると普通って感じですわ。あら、ダメダメ。泉くんは優雅な女の子が好きだから、そんな言葉を発しちゃダメ」


「えっ……」


「まあ……優雅な女の子って言っても、君は泉くんが言うほどふるまいが美しいわけでもないわよね。まあ、所詮は演技かぁ」


 な、なにこの子、すっごく口が悪いじゃん。ていうか、泉くんって……千里くんとなにか関係している人なの??


「最上咲良、そんな君に伝えたいことがある」


「はい??」


「これから泉くんの世話は、私がする。君は泉くんに近づかなければいい」


「は?」


 千里くんから離れろって?? 無理だ、絶対。

 以前ならまだお遊びの気持ちで付き合っていたから、まだ受け入れられる範疇だが、今は千里くんがいないと。


「ダメ。君の名前とか知らないし、いきなり千里くんから離れろって、できないよ」


「私は玉緒雪っていうの。最上咲良……君はほんとうに幸運だね」


「え?」


「学年の有名人で、軽々と泉くんを弄んで、感情が薄くなればどうせ別れるし。私は泉くんのことが毎日頭の中にあって、彼と作る未来を想像して……彼がいないと私はとっくに生きてられなかったの。なのに君は、私から彼を奪って……」


 急になに!? この子……千里くんとなにかあったのか? 私、この子と会ったこともないし、いきなり言われても。


「最上咲良、私は君より何千何万倍も、泉くんのこと愛しているわ。お願いだから、もう人の恋に干渉しないでちょうだい」


「それ……こっちのセリフなんだけど」


「……!?」


 私をなんだと思っているの、この子は。


 私が、この子よりも『千里くんを愛せてない』? 冗談はやめてほしい。


「玉緒、雪でしたっけ? 君、千里くんとなんの関係なのかわからないけど、私だって毎日千里くんのことで頭がいっぱいだわ。いっしょに彼とお風呂に入ったり、いっしょに一夜を過ごしたり、いっしょに子どもをつくったり、逆に雪ちゃんはなにをしようとしてるのかな?」


「チッ……」


 私は目を尖らせて、目の前の生意気に舌打ちをする女の子をにらむ。


「私に対抗しない方が、将来のためになるよ?」


「は?」


 いや、語弊があるかもしれない。千里くんの脅威になる存在だし、彼を守らないと。


「もう私を怒らせちゃったから――手遅れだよ」

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