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俺にブサイクと言われたら学年一位の美少女がなぜか懐いてきた  作者: 雪方ハヤ


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第二十五話 二人の罪人、また会えるよね?

「おい! またアンタかよ。いい加減私の娘から離れてよ。朝からうちの娘を……」


「母さん! 千里くんは悪くない……」


 俺は最上さんと帰っているとき、彼女を探していた最上さんの母に出会った。


 最上さんが突如とつじょいなくなったからか、今回は拳をにぎって声が震えている。


「咲良! アンタも反抗心しかなくなったわけね、早く帰りなさい」


 そして俺に向かって一瞬、目を鋭くした。


「はい……ごめん、千里くん、また会おう」


 ※


「というわけで、最上さんの詳しい事情は聞き取れなかったけど、なんとなくもうわかったわ」


 今日は休日。

 昼間に俺と白井は駅前のカフェに座る。最上さんの件について振り返ってみるか。


「とりまお疲れ。まじで朝からおまえにあんなメールが送られるとは思わんかったわ」


「すまん……急いでたから、自殺のことを直接言っちゃったわ」


「今回の件だけど、俺も調べてみたらやっぱ最上さんと川口はかつて親しい友達だったわけだわ。それについては、金沢も教えてくれたね」


「ああ」


「最上さんが最初に泉と付き合った理由として、言わなくてもいいよね」


 厳しい家庭と、端正な美少女設定を保つ学校生活。


 本来、恋愛がしたい最上さんにとって大きなストレスだったし、それを一年も続いてたからな。


「その後、俺、最上さんから『キスしたい』と突然言われたのも、川口の出現のせいだったね」


「そうだな。かつて友達を裏切った記憶を思い出し、ストレスが一気に上がったんでしょうね」


 白井のまとめに俺はうなずいた。

 自殺なんかの考えを持ち、今のうちに早く俺とやり残したいことをしたかったんだろう……。川口もそれを狙ってこの時期に学校に復活したんでしょう。


「それにしても、泉ナイス気づきだったわ。まじそんな発想まで思いつくんだ」


「いや……金沢ってやつのおかげだよ。あいつの情報がなきゃ、俺はいまだにちんぷんかんぷんだったもん」


 話しているうちに、俺は今回の主犯のことを思い出す。そして白井に聞いた。


「そういえば、川口はどうなるの?」


 彼は一口、カフェオレを飲み、意外を感じたように目を小さく開く。


「とりあえず持ってた情報を警察に渡し、おそらく少年刑務所行きだろうね……でもさっき、最上家から連絡が来たんだけど、刑を減らしてもいいっていう」


「なんで?」


「じつはさ、泉が最上さんを助けた後、川口は君たちを追ってたの。でも最後は金沢に止められて、完全に諦めたらしい。本来なら刃物を持って人気ひとけのない公園で殺すのもできたのに」


 白井はもう一口、カフェオレを飲み、話を続ける。


「おかしいよね……人を追い込ませる人間なのに、最後は中途半端に殺さずにおいたそうだよ」


「いや……まず人を自殺に追い込むだけでも、この十六歳の少年にとって大きかったでしょう。彼がしたことは決して許されない。でも、最後に彼の優しさが見えたね」


 おそらく、かつての彼が、今の彼の怨念おんねんを止めたんでしょうね。


 ――一方、最上さんの視点――


 私は、ある少年とともに、街をさまよっている。


「なんで君は君を殺そうとしてた僕と歩いているんでしょうね」


 隣の少年が問いかけてくる。


「私、君のことは許してないよ。でも、約束をやぶった私のことも、私は許してない。もうこの景色はしばらく見えないと思うから、今のうちに見ててね」


「そうだね。僕ら……いや、僕は本当に罪を犯してしまったね。最上さんは、なにも悪くない。僕がただ勝手に」


「ううん。昔みたいに『咲良ちゃん』って呼んでよ。それに私だって、罪を犯したもん」


 淡々と歩いていくと、私たちはカフェの前につく。窓ガラスを越えて千里くんの姿も見えた。


「――私たち、またカフェに行けるよね?」


「どっかで聞いたようなクソ話だな。君の千里くんと会いに行きな」


「……そうだね。ありがとう」


 彼は私と逆方向の道に進む。


 太陽に照らされる姿がだんだん影に沈んでいく。


 なんでだろう。頬から熱いしずくが垂れる。


「バイバイ。また会えるよね?」


 彼には聞こえない声でささやいた。


 この言葉は、私自身に吐いたものだから。


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