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俺にブサイクと言われたら学年一位の美少女がなぜか懐いてきた  作者: 雪方ハヤ


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第二十四話 約束だよ

『四時五十八分』


 公園前に着いた。微かな橙色の日が降り注ぐ。周りは静寂に包まれて、誰もいない。


 この前座っていたベンチに一人の女が座っている。ナイフを、持っている!!


 ――見間違えるはずがない、何度も見た横顔だ。


『四時五十九分』


 ピカッと日差しがナイフに反射し、俺の目に届く。


「最上さん!!」


 俺は矢のようにその姿へ駆けつける。


「…………!」


 彼女は不可解な目でまるで『なんでここにいるの?』と訴えているみたい。


 公園に入り、最上さんの涙ぐむ顔が目に映る。彼女との距離があと数十メートルくらい。


『五時零分』


 しかしナイフをにぎる手は、まっすぐ彼女自身の首に向かう――。


 残り、三メートルほど。


「やめてくれ!」


 彼女の手が一瞬だけ止まる。しかし最上さんは笑顔をしぼり出して、俺に見せる。


 ナイフが、首の肌に触れる。


「最上さん!!」


 パタ。


 飛び出した俺はナイフを叩き落とした。


「ち、さ、と……くん……」


 俺は地面に座り、はあ、はあ、と俺は息を吐く。


 家から何キロも走ってきたうえに、今のダッシュのせいで、足が痛いし重い。


 最上さんの嗚咽おえつだけが、やけに大きく耳に響く。


「千里くん……なん、で」


「最上さん!」


 俺はゆっくり立ち上がる。涙に濡れた最上さんの顔を見て、奥歯を噛みしめる。


「最上さん……なんで一人で全部を背負おうとしているんですか?」


「ご、ごめん……でも、私、千里くんに……」


 彼女は嗚咽混じりに声を絞り出す。


「そっちが勝手に成立した恋人関係なのに……最上さんが先に逃げないでくださいよ!」


「ごめん……千里くんに迷惑かけたことも……」


「もー、ほんとわがままですね。ここ一週間の俺の苦労を償ってくださいね」


 思い返せば、今週の授業はなにも聞いてなかったし、最上さんのことでいっぱいだった。


 まじでふざけるな、と怒鳴りたかったけど……今の彼女に吐くような言葉じゃないな。


「逃げて終わりとか、許さないですよ……最上さんとの借りもあるし、俺への償いってことで…………」


「……んん!」


 俺は彼女の顔に近づけた。


 そして唇と唇が触れ合い、柔らかい感触が口から伝わる。


 最上さんも目を大きく開く。俺の袖を掴み、俺の目を見つめる。


 しばらく時間が経ち、俺はそっと彼女から離れる。


「最上さん――俺は君を傷つかせないって約束したもんね」


「う、うん……!」


「話は後で聞きますので、いっしょに帰りましょう」


 ぺこりと最上さんはうなずき、俺といっしょに帰り道を歩く。


 ――同時刻、金沢の視点――


 ある小さな道の交差点の信号機の下。二人の男はにらみ合っていた。


「諦めろ、川口。もう泉さんは気づいた。そして君のくだらない作戦も崩れたよ」


「金沢……なんで」


「泉さんから今朝、連絡が来た。短い一文の『最上さんが自殺しようとしてる』だが、そのおかげで俺も気づいた。君は公園に行き、咲良さんが死んでるか確かめるために、ここの道を通らなきゃいけない。だから僕はここで君をさえぎった」


 川口は目の光を失い、軽く息を吐いた。


「さすが探偵さんの息子だわ」


「僕も、君の目的は単に咲良さんと恋人になるということに違和感を感じたが、泉さんのおかげでピンときた」


「あっそ。もういい。僕の負けだ。この件は警察に伝えられ、僕は社会の制裁を受けることになるだろう」


 川口はたましいを失った人のように背を向けた。朝日の光が彼の背中を照らし、黙々と歩道を歩く。


「川口……君、いさぎよい恋のライバルだったよ」


 すると川口が足を止めた。


「金沢、最後に一つだけお願いしてもいい?」


「なんだ?」


「『咲良ちゃん』に、ごめんって言っておいて」


 と言い残し、川口は目的もなく街をさまよう。金沢もスマホを取り出し、泉千里と書かれたアカウントに電話をした。


 ――川口の少し前の話――


「僕、咲良ちゃんとずっと遊んでても飽きない!」


「そうかなー。一日中、二人で鬼ごっこしてたけど? 面白くないでしょ」


「そう言っている咲良ちゃんだって、僕と一日も遊んでるじゃん」


「まあ、ずっと遊ぶ約束をしてたもんねー。『約束やぶったら、お互いに敵として殺しあおう!』」


 その約束は、もしかしたら僕だけが本気だったかもしれないね。


みなさまここまで読んでいただきありがとうございます!! 最上ちゃんが助かりましたね(泣)!! ぜひ好きになった方は評価、感想のほうよろしくお願いします!

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