第十七話 最上さんの隠し事
◇
彼氏としたいこと
・彼氏を助け、感動させる ◯
・カフェに行く ◯
・間接キスをする ◯
・気づかないふりして、彼氏にエッチなとこを見せる
・彼氏とキスをする
・彼氏の試合を応援、ジュースを渡す ◯
・「一緒に帰れてよかった」と言う ◯
・
『メモ』
最近は千里くんとやりたいことをやって、言いたいことを言ってほんと楽しかった。間接キスは第三位でしたかったこと。「一緒に帰れてよかった」は二番目で、言えてよかった!
母さんに怒られたけど、千里くんのポンコツな姿見れてよかった。千里くんとやりたいこと第一位……恥ずかしいから書くのやめよう。きっと喜んでくれるはず。
三月九日
◇
最上さんってこういうの書いているんだ。でもやりたいことくらいなら、メモする必要あるかな。勝手に見える俺が言えることじゃないけど、後で謝ろう。
今日は三月の二日。最後に書いてあった日と一週間空いている。やりたいことリストの最後、書かれていない。
それによりも気になったのは……『気づかないふりして、彼氏にエッチなとこを見せる』なんなんだよ、これ。
「千里くん、それ見ないで!!」
「最上さん!?」
ノートに夢中にしていると、最上さんはすでに帰ってきた。彼女は足を不器用に動かせ、俺のほうに駆けつけてノートを奪い返す。
「ど、どこまで読んだの?」
「まだ、一ページ目までしか……」
「もー!!」
最上さんの表情は崩れたとまではいかないが、頬はバラ色に染まり、口がパカンと開く。
「千里くんへの罰として、私のほっぺにチューして」
「ちょ! なんでですか?」
「ノート見たでしょ? 書いてあったじゃん。彼氏くんとキスしたいなーって」
「勘弁してくださいよ! まだそんな早くキスする関係じゃないですよね?」
最上さんはいたずらの笑みが浮かぶ。顔を俺のほうに寄せて、声のボリュームを下げた。
「じゃあ、このキスはいつか返してもらうからね」
「は、はい……」
俺はごくりとつばを飲む。深く考えれば考えるほど、心の拍動が加速する。
「千里くんの料理も食べれたし、ここの公園は――私たちの秘密基地ってことで! 覚えてね。そろそろ帰ろっか」
※
帰り道、ほんらい一週間前の俺なら、絶対に聞かなかった質問をしてみよ。
「最上さんが、彼氏にしたいこと第一位って、なんですか?」
彼女の目が一瞬、固まってしまった。
「最上さん?」
「ご、ごめんね。知りたいの?」
「知りたいですよ! 俺でいいのなら、今、できる限り……」
「でもそれだとサプライズ感がないよね。また今度にしよう」
そしてへへ、と笑い、明らかに最上さんはなにか隠している。
「そうですか……」
気づけば俺たちは駅前に着いていた。まだ問いたいことがあったけど、最上さんは「じゃあね」と言い、まっすぐ駅に入る。
彼女と別れた後、俺は一人で帰り道を歩く。
十字路を通り、信号の下で待つ。
「よぉ、泉くん」
この声は――。
「川口?」




