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列車にて。

何者。

 中ノ湾から東潮へと向かう列車の中で、男が一人ぼんやりと外を眺めていた。所々に僅かに見える緑以外はなんの面白味もない平原に見るべきものなどありはしないが、男にとってはそれで十分だった。口の動きさえ周りに悟られなければよかったのだ。

「……渡鳥です。ええ、今の所は。対面での回答から判断して指示通りにろ号文書を渡してあります。……叢雲と黒狐の姿は確認出来ませんでした。ですが相手の出方から見ても五櫻についたのは恐らく間違い無いと思います。後は動き次第、ですがね。」

 身じろぎをした隣の客を警戒したのか、渡鳥というらしい男は口を閉じた。その仕草が単なる寝相である事に十分な確信を得てから、彼はようやく独り言を続けた。

「いえ、何でもありません。ただの用心ですよ。……土産?ふざけないで下さい。私にその様な人間的な情緒を求められても困ります。欲しければご自分でどうぞ。」

 僅かにうんざりした響きを声に纏わせ、男は溜息をついた。その独り言を聞いている人間は、少なくともこの列車内には一人もいないのだった。

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