9.大七星はどうなるんだろう?
「四天王、三大龍王、大七星の上には何がいるんですか?」
「たしか、六ハラ、十三倶楽部、十二死だったかしら?」
「六波羅? 十二支?」
「いいえ。六ハラと十二死です。たしか、六ハラはパワハラ、セクハラ、アルハラ、スモハラ、マタハラ、テクハラの六人衆で……」
「なんだそりゃ?」
タクトは、六波羅とは全然関係が無いことを瞬時に理解した。
異世界だし、京都の地名と関係がある方が、むしろおかしいだろう。
もっとも、タクトとしては、
『ソイツ等の名前……。それってハラスメントの種類だろ!』
と言いたくなったが……(ハラスメントの種類は他にもあります)。
「あと、十二死は、たしかシリアルキラーとも呼ばれていて、ガラビト、ロペス、イクバル、ポプコフ、バルボサ、フィリオ、シャンカリヤ、シンハイ、チカティロ、オノプリエンコ、リトル、オリベイラの十二人だったと思います」
「それで、十二死の上は?」
「魔界ナンバーツーのアシッド。その上が魔王です」
「そうなんだ」
「そんなことよりも、タクト様の股に装備されたエクス・カリ高バーで、ひと思いに私の股間を貫いて、死ぬほどの快楽を与えてください!」
「あのですね……」
そんな話をしているうちに、タクト達は、オナーホの街まで、あと数百メートルのところまで来ていた。
もう、目と鼻の先である。
突然、二時の方向からタクトを目掛けてファイヤーボールが撃ち込まれて来た。
タクトは、一先ずシールドを張ってファイヤーボールの直撃を回避した。
「誰だ?」
「このファイヤーボールを防ぐとはな」
「だから誰だ?」
「さすが、四天王を倒しただけのことはある」
「だから、誰だって聞いているだろ?」
「だが、お前は、ここで我々の手によって亡き者になるのだ!」
順番からして、三大龍王が攻撃して来たのだろう。
しかし、こっちの話を全然聞こうとしない、悪い意味で超マイペースな連中だと言うことだけは間違いなさそうだ。
タクトの前に、三人の全身タイツ男達が現れた。
一人は真っ白、一人は緑色、そして、最後の一人は真っ赤な全身タイツを身にまとっていた。
「俺の名はホワイトドラゴン!」
「俺はグリーンドラゴン!」
「俺はレッドドラゴン!」
「三人合わせて、三大龍王だ!」
つまり、白發中か……。
とタクトは思った。
それと同時に、
『大七星は東南西北白發中の七対子じゃなかったっけ? ここで白發中が出て来ちゃうと、大七星はどうなるんだろう?』
とも思ったが、どうせコイツ等に聞いたところで、コッチの話を聞きはしないだろう
なので、大七星と対峙する時の楽しみに取っておくことにした。
「大三元バースト!」
三大龍王達が、タクトに向けて一斉にファイヤーランスを放った。
それらは、合体して巨大な一本の矢に姿を変えると、猛スピードでタクトを襲って来た。
「反射……」
タクトは、大三元バーストを三大龍王に跳ね返した。
もっとも、恥ずかしいのでタクトは小声で呟いていたため、三大龍王達には、
『ゴニョゴニョゴニョ』
としか聞こえなかったようだが……。
それは、さて置き、三大龍王は四天王より身体能力は優れているようだ。跳ね返された大三元バーストを避けると、
「大三元バースト!」
再び巨大なファイヤーランスを撃ち込んで来た。
タクトにとって、これを避けることは簡単だ。
しかし、避けたら後ろにいるアルカに当たってしまう。
タクトは、今回も、
「反射……」
反射魔法で大三元バーストを打ち返した。
勿論、恥ずかしいのでタクトは小声で呟いていたのは言うまでもない。
続いてタクトは、三大龍王に向けて光の弾丸を撃ち放った。
しかし、三大龍王は難なく光の弾丸を避けた。
やはり、四天王よりも各上なだけはある。
超簡単には終わらせてくれないようだ。