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8.赤青黄色

 タクトとアルカは、オナーホの街まで、あと数キロのところまで来た。

 ただ、アルカは、飽きもせずに、

「そのタクト様の逞しいタクトで、私の穴掃除をしてください。もう、蜘蛛の巣が張っちゃいますよ!」

 と訳の分からないことをほざいていた。



 突然、一陣の風が吹き、身長二メートルくらいの三人の鬼娘が現れた。

 肌の色は、それぞれ赤、青、黄色。


 しかも、黄色鬼の肌の色は、まるでカレー粉を全身に塗りたくったような感じの色をしていた。

 少なくとも黄色人種がそのまま鬼と化したモノとは全然違っていた。


 赤鬼、青鬼は聞いたことがあるが、さすがに黄色鬼と言うのはタクトも聞いたことが無かった。

 異世界故の存在だろうか?

 タクトは、非常に珍しいモノを見て、ちょっと得をしたような気がした。



 いきなり、その黄色鬼が、

「ブラックホール!」

 と叫んで黒い球体を発生させ、それをタクトに向けて放って来た。


 タクトは、

「(ブラックホールとか言うなら黒鬼にすれば良かったのに)」

 とか思いながら、

「反射」

 と呟いた。

 試しとばかりに、神様に付与された反射魔法を発動してみたのだ。

 ただ、恥ずかしいので大声は出さなかった。

 なので、多分、周りには、

『ゴニョゴニョゴニョ……』

 としか聞こえなかっただろう。



 ただ、それでもキチンと反射魔法は発動していた。

 そして、その黒い球体は軌道を180度反転して黄色鬼に向かって突き進んでいった。

 勿論、黒い球体は黄色鬼に命中。


「ギャー!」

 黄色鬼は、その黒い球体に吸い込まれて消えてしまった。


 さらに、黒い球体は高速回転しながら回転軸に向かって高エネルギー波を放ち、蒸発してしまった。

 どうやら、黄色鬼が放って来たのは、本当にミニブラックホールだったようだ。



「まさか、黄色鬼がやられるとは」

「ならば、これならどうだ。ファイヤーランス!」

「アイスランス!」


 タクトに向けて、赤鬼がファイヤーランスを、青鬼がアイスランスを撃ち込んで来た。

 まさに合成魔法……と思ったのだが……。


 ただ、アイスランスはファイヤーランスに触れると溶けて、さらに沸騰して水蒸気と化して消えてしまった。

 加えてファイヤーランスの方も、アイスランスの融解・沸騰・蒸発で大幅に熱量を奪われて威力が大幅に低下していた。

 そのため、タクトのところに到達した時には、マッチの火くらいになっていた。


 当然、この程度のモノにタクトがやられるはずが無い。

 タクトは、水魔法で弱体化ファイヤーランスを簡単に消し去った。



 それにしても、バカげた合体魔法だ。

 合体して相殺するとは……。


「くそっ!」

「おのれ~!」


 赤鬼と青鬼から怒りのオーラがバリバリに伝わってきた。

 しかし、タクトからすれば、コイツらが単にアホなだけである。

 ハッキリ言って、逆恨みと言うヤツではなかろうか?


「お前達、何故、俺を攻撃して来る?」

「知れたこと! アヌナスと黄色鬼の敵討ちだ!」

「もしかして、アヌナスの仲間か?」

「そうだ。俺達は魔王軍四天王のナンバー2赤鬼とナンバー3青鬼だ!」

「じゃあ、逝け!」


 タクトが俺っ娘赤鬼と俺っ娘青鬼を指さすと、彼の指から光の弾丸が放たれ、赤鬼と青鬼の眉間を見事撃ち抜いた。

 基本的に、タクトは魔王の倍強いのだ。

 こんなところで鬼達の攻撃ごときに苦戦するはずが無い。



 しかし、アルカの口撃は別である。

 彼女は飽きもせずに、

「さすがタクト様。では、是非、タクト様の銃を私の鞘に差し込んで白い弾丸を撃ち放ってください!」

 と訳の分からないことを言っていた。


 タクトにとっては、こっちの口撃をかわすことの方が大変なようだ。

 彼は、アルカに背を向けると、

「次の街に急ぎましょう」

 と言って足早に……と言うか逃げるように、次の街オナーホに向けて移動を再開した。

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