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7.ヤれない理由

 次の日、タクトは宿を出発した。

 当然、アルカも同行している。


「どうして昨夜は、私としてくれないんですか?」

「いや、さすがに知り合ったばかりでそう言うのは……」

「世の中には、出会い系を使って、日替わりメニューで後腐れ無くなんて人もいるんじゃないですか?」

「知りませんよ、そんなこと」

「それに、女の私に恥をかかせる気ですか?」

「そう言うわけではありませんって……」


 異世界で美女に懇願されたら、普通はホイホイ誘いに乗ってしまうだろう。

 しかし、昨夜、タクトが拒否したのは、単に、一歩先に進まずに現状維持することで安心したかった……わけではなかった。

 もっと大きな理由があったのだ。



 タクトは、この世界に来て最初に、ステータス画面の中に記載されている『大賢者の注意事項』を全部読んでいた。

 それによると、童貞を失うと大賢者でいる資格を失うとのことだ。

 つまり、タクトは大賢者であり続けるために、美女の誘いを断っていたのだ。


 言い換えれば、この世界に送り込まれた先輩大賢者達は、美女(魔王)の誘いにホイホイ乗ってしまったと言うことだ。


 性的に清い身体で長年い続けたからこそ大賢者になれた。

 その逆も真なりと言うことなのだろう。



 しかし、

『大賢者なのでHできません!』

 とは、さすがに言えない。

 そもそも、大賢者であることを口に出したくない。


 それでタクトは、アルカに抑え込まれた時に、下手なことを言わずに転移魔法で逃げたのだった。

 彼としても、一応、彼なりに頑張って純潔を守ったと言うことだ。



 オナドルの街を離れ、次に目指すところはオナーホと言う街だった。

 この危ないネーミングから、タクトは、

『絶対に、この世界は頭が壊れている!』

 と思った。



「それで、結局、タクトさんは何処を目指しているんですか?」

「リリアンと言うところです」

「もしかして魔王城のある?」

「知っているんですか?」

「はい。実は、私の家の近くです」

「(やっぱりか)」

「なので、しばらくご一緒ですね?」


 目的地に着くまでアルカと一緒とは……。

 かなりベタな展開だが……、いや、ベタな展開故に、タクトは、そうなるような気がしていた。



 ただ、同時にタクトは、純潔を守り切る自信がドンドン無くなっていた。

 Hを要求してくる美女との二人旅である。

 一般論からして性的に何もなく終わらせる方が困難であろう。



 突然、タクトの前に、空から巨人が降り立った。

 恐らく、身長は57メートルくらいあるだろう。

 体重は、もしかすると550tに達するかも知れない。


「俺は魔王軍四天王の一人、アヌナス。転生者はお前か?」

「そうだが?」


 そう答えながら、タクトはアヌナスの顔を指さし、光の弾丸を放った。

 光の弾丸は、見事、アヌナスの眉間を貫いた。

 まさに一瞬で、タクトはアヌナスに勝利した。



 豪快に倒れ込むアヌナスの死体。

 アヌナスには、命が二つあるとか三つあるとか言うムチャクチャな設定は、特に無いようだ。

 完全にアヌナスの生体反応は消えていた。


 この時、タクトは、

「(額に埋め込まれた反射魔法って必要無いんじゃ?)」

 と思っていた。


 そもそも、魔王の倍の魔力を持っているのだ。

 滅多なことでは、是が非でも反射魔法を発動しなければ負けるなんてことには、ならないだろう。



「さすがですね、タクトさん」

「これくらいなら、別に大したことでは」

「一発で倒したんですよ! どうせなら私と一発!」

「だから、それはダメですって。それに、どうせ、最初に倒したのは四天王の中でも最弱とか言うのがお決まりのパターンでしょ?」

「いいえ。アヌナスは四天王のトップですよ!」

「はぁ?」

「もっとも、四天王の上に三大龍王なんてのがいますけど」

「……」

「その上には大七星と呼ばれる者達がいて、そのさらにずっと上に魔王がいるって感じですかね?」


 いずれにしても、

『まだ戦いは始まったばかりだ!』

 と言うパターンに、違いなさそうだ。

2021年6月11日です。

予言好きな方々は、今日が来るのを楽しみにしていたのではないでしょうか?

さて、本当に何か起こるのでしょうか?

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