19.イクだから全19話なんだよ!
リリアンにある魔王城に向けて出発!
ただ、アルカは、胸を張って堂々と歩いていたが、タクトは前屈みになっていた。
さすがに今のアルカの恰好は、余りにも煽情的過ぎて、健康な青年男子に平静でいろと言う方が無理難題であろう。
一応、二人が魔王城の前まで来る頃には、タクトの股間も何とか落ち着いていた。
タクトは、
「アルカ。本当に君の姉を討伐してイイんだね?」
と改めて聞いた。
血を分けた姉妹が討伐対象なのだ。
普通は、心中穏やかではないだろう。
ところがアルカは、
「はい。お願いします」
と、特に迷う様子も無く平然と答えた。
「(やっぱり、この姉妹、仲悪い?)」
とタクトは思ったが、相手がアルカの姉であろうとなかろうと、魔王討伐はタクトに課せられた使命である。
それに、魔王を討伐せずに、今後死ぬまで童貞を守り抜くのはイヤだ。
とにかく、さっさと片付けたい。
タクトは、
「エクスプローション!」
魔力量最大で、魔王城に向けて超爆裂魔法を放った。
激しい轟音と共に上がるきのこ雲。
まさに、その凄まじい破壊力を物語っているかのようだ。
これは城内にいる魔族達の全滅は免れないだろう。
タクトもアルカも、そう思っていた。
しかし、超爆裂魔法の発動直後に、
「シールド!」
誰かが強力な結界魔法を発動した。
その爆炎が治まると、そこには半径二メートルくらいのドーム型の半透明バリヤーが張られており、その中に、一人の女性が立っていた。
ただ、彼女としても、この強大なパワーを誇るタクトの超爆裂魔法から自分の身を守ることだけで精一杯の様だ。
周りの魔族達は完全に絶滅していた。
ちなみに、タクトの性欲がアルカの煽情的な格好で上昇していても、
『精一杯』
とは、
『精』が『いっぱい』タプンタプン溜まっている……、
と言う意味ではない。
そのバリヤーの中にいた女性は、アルカに勝るとも劣らぬ超美女で、しかも、彼女もまた、アルカと同じ『全裸ニアイコール』な煽情的格好をしていた。
コイツが、魔王リリスだ。
「貴様何奴? ここが魔王リリスの居城と知ってのことか?」
「俺の名はタクト。お前が魔王だな?」
「そうだ。ただ、何故、城を爆撃したヤツと一緒にアシッドがいる?」
するとアルカは、
「私は、魔王の妹アシッドではありません。アルカです!」
と否定した。
もっとも、リリスにはバレバレであるが。
「アシッドだろ!」
「そんなヤツは知りません。私は大賢者タクト様の性奴隷アルカです!」
「……」
これには、リリスも一瞬、言葉を失った。
勿論、タクトも同様だ。
大賢者であり続けていると言うことは、少なくともタクトはHをしていない。
それでいて、何故、大賢者の性奴隷が成立する?
一瞬、沈黙の時が流れた。
しかし、リリスは、ふと我に返ると、
「何が性奴隷じゃー! ファイヤーアロー!」
タクトとアルカを目掛けて炎の矢を放って来た。
これをタクトは、
「シールド!」
魔法障壁で防御した。
そして、
「ファイヤーラン……」
炎の槍をリリスに向けてタクトが放とうとした、その時だった。
「魔力変換エロオーラ全開! &秘儀、Y字バランス!」
リリスは、自らの膨大な魔力を、全てエロオーラに変換した。
しかも、彼女はアルカと同様、乳首と陰部を黒い絆創膏みたいなもので隠しているだけの恰好をしている。
その彼女が、まさに大事なところをタクトに見せ付けるかのようにY字バランスを披露したのだ。
これにはタクトも手が止まる。
そして、同時に彼の手に現れていた炎の槍が消え、代わりに股間の槍の準備が整った。
さらにリリスは、
「M字開脚!」
まさに、
『受け入れOK状態』
をタクトに見せ付けた。
この時、リリスは、
「(本当にコイツが大賢者なら、今までのヤツ等と同じで私の魔力を増大してくれるはず。アシッドが性奴隷と言うのは気になるが……。だったら、実際に味見(勿論性的に)してみれば分かるはず)」
と思っていた。
案の定、タクトは理性が飛んだ上に意識もぶっ飛んでおり、まるで吸い寄せられるようにリリスの方へと近づいて行った。
このままでは、確実にタクトはリリスにホールインワンする。
すると、これを見ていたアルカが、
「タクト様、ナニしてるんですか!」
と言いながらドロップキックをタクトに食らわそうとしたが、奴隷契約しているため、そんな動きは取れなかった。
それで仕方なく彼女は、タクトを背後から抱き締めた。
「タクト様がホールインワンするのは私のでしょ! 約束を破っては困ります!」
「えっ? あっ!」
タクトは意識を取り戻した。
「済まない、アルカ」
「全くもう」
「でも、君の姉さんだろ? 本当に討伐してイイのか?」
「この世界のためです。それに、今まで長い間、魔王として君臨して美味しいところを独り占めしていたわけですから、そろそろ私と交代してくれてもイイと思います」
「そうか。分かった。じゃあ、やっつけるぞ」
「お願いします」
タクトは、リリスの方を指さすと、
「変則ファイヤースピア!」
と唱えた。
リリスは、タクトの手から指から矢の形をした炎が飛び出してくると予想して、
「シールド!」
自分の前に魔法障壁を展開した。
ところが、タクトは、さらに、
「ジャーミネーション!」
と唱えた。
すると、炎で出来た無数の槍が地面から飛び出してきて、リリスの身体のアチコチを串刺しにした。
まさに炎の槍の大量発芽であった。
リリスのHPが急降下して行く。
タクトは、そこにすかさず、
「魔力最大! エクスプローション!」
超爆裂魔法をリリスに向けて放った。
結界魔法ごと吹き飛ばす。
それと同時に、
「転移!」
タクトはアルカを連れて、爆心地から離れるよう後方に空間移動した。
そのままその場に留まっていたら、自分達の身も危ない。
このことは、セクロースの街で経験済みだ!
本日二つ目のきのこ雲が上がった。
タクトが魔力探知を発動したが、リリスの魔力反応は無い。
討伐完了だ。
「アルカ。姉を殺して済まない」
「いいえ。これも天命です。それより、約束を覚えてますよね?」
「えっ?」
「私と一発!」
「あ……ああ……」
「じゃあ、私の家に急ぎましょう。転移魔法で移動できますでしょ?」
「まあ……」
「じゃあ、レッツゴー!」
この時、タクトは、
「(これって、俺が思っている以上に姉妹仲は最悪だったんだろうな)」
と心の中で呟いた。
普通は、姉の死を目前にして、
『これからHしよう!』
なんて言葉は出てこないだろう。
…
…
…
と言うわけで、この日、タクトは無事、脱童貞を果たした。
勿論、それと同時に、大賢者の能力はアルカに吸収されてしまったが、アルカはタクトの奴隷……自称性奴隷である。
タクトの監視下で、アルカは大賢者の力を悪用せず、人類との共存に向けて、キチンと行動しながらも、日夜、タクトとのHに奮闘したとのことであった。
何とか完結出来ました。
こんなアホな作品にお付き合いいただき、まことに有難うございます。