16.爆裂!
タクトとアルカは、次の目的地、セクロースに到着した。
勿論、ここセクロースで一発……ではなく一泊する。
珍しく今夜は、アルカからタクトへの性的アプローチは無かった。
魔王討伐後にヤるとタクトから言質を取れたからだろう。
しかし、この日の夜は、十三倶楽部の恰好が目に焼き付いていて、タクトはなかなか寝付けなかった。
結局、
「転移!」
夜中に宿を抜け出して、広々とした大平原に結界を張り、その中で今夜も自己処理するのであった。
…
…
…
翌日、タクトとアルカはセクロースを出発し、次の目的地インジュウに向かった。
相変わらず、しょうもない地名である。
移動中、特に何者かが襲って来るとか言うことは無く、ある意味平和だった。
しかし、
「早く魔王を倒してタクト様のタクトで私の蜜壺をかき回して欲しいです。早く魔王との戦いが終わりませんかねぇ。そうしたら、種付けしてもらえるのに!」
と、毎度の如くアルカはうるさかった。
宿を出発して数時間後。
時刻は既に昼過ぎとなった。
そろそろタクトも腹が減った。
昼食は、セクロースで買った弁当。
一応、アルカがいるので、タクトはアンドウサンの定食を出すのを控えていた。
そのような能力があるのを、他人に知られない方が良いと思っていたためだ。
「今日はホットドッグですね。やっぱり、ホットドッグはウインナーを外して、このウインナーを……」
アルカは、ウインナーをエロい表情で咥え始めた。
これは、絶対にワザとやっているに違いない……とタクトは思った。
しかし、ワザとであろうとなかろうと、こう言うことをされると妙に意識してしまう。
勿論、彼の身体は正直で、何気に下半身が反応している。
「(俺、魔王討伐まで我慢する自信が、ますます無くなって来たんだけど?)」
しかし、まだタクトは大賢者であり続けなければならない。
彼は、
「パシッ!」
と両手で両頬を叩くと、気合いを入れようと全身に力を入れた。
しかし、そんなことでテントは解体されないわけだが……。
この辺りには、タクトとアルカ以外に通行人がいなかったのが、ある意味救いだろう。
いたら、タクトは絶対に指をさされて、
『アイツ、昼間からモッコリさせてる』
とか言われること必至だろう。
…
…
…
タクトとアルカは、その後、再び移動を開始。
そして、午後三時くらいには、次の目的地、インジュウに到着した。
この辺りは魔獣が出るのか、インジュウは防壁で覆われた街だった。
しかし、ゲートをくぐってタクトは絶句した。
彼の目に飛び込んで来たのは、血で真っ赤に染まった道路や壁。
大量に転がる人間の死体。
街は全滅に追い込まれていた。
「やっと来たな」
何処からともなく、男性の声が聞こえて来た。
そして、その辺りの、アチコチの建物の屋根の上に、合計十二人の男達が姿を現した。
彼等は、
「トウ!」
と、まるで特撮戦隊ものの主人公達のようにジャンプすると、タクトの前に降り立った。
タクトは、
「もしかして、お前達が十二死か?」
と聞いた。
すると、彼等の一人が、
「そうだ。如何にも俺達が十二死のメンバーだ!」
とナイフを舐めながら答えた。
この時、タクトは、
『それで、よく舌を切ったりしないものだなぁ。それにしても、中身は、完全なド悪党のくせに、戦隊ヒーローみたいに登場して来るって、どういう神経しているんだろ?』
と思っていた。
「この街の人達をヤッたのはお前達か?」
「そうだ。楽しかったぜ」
「人質とかは居るのか?」
「はぁ? そんなのはいねえが?」
「いや、普通は人質を取ったりして、コイツを殺されたくなかったら言うことを聞けとか、俺に言うのが定番じゃないか?」
「ナニ、わけの分かんねこと言ってんだぁ? 俺達は人を殺すのが楽しくてやってんだ。人質を取るなんて、端から考えていねえよ」
つまり、戦いの有利不利とかは関係ないと言うことだ。
その一瞬一瞬の自分の欲だけで生きているタイプだろう。
加えて、完全に目がイっちゃっていたし、絶対に関わりたくないレベルの危ない人種であることだけは間違いない。
ここは、下手に時間をかけずに一気に行く。
そうでないと、一緒にいるアルカの身が危険だ。
それに、コイツ等は魔王軍ナンバー2のアシッドの次に位置する連中だ。
頭がイカレていても、かなりの実力者達だろう。
タクトは、自らの魔力の完全放出した。
それ、即ち魔王の倍のパワーである。
普段なら、街中で、これほどまでのパワーは放出しない。
しかし、どうせこの街は、もう誰もいない。
思い切り街を破壊しても、多分、誰も文句を言わないだろう。
タクトは、
「エクスプローション(爆裂)!」
十二死達に向けて最上級の超爆裂魔法を放った。