13.誠意ってナニ?
「そもそも、俺は誰ともヤッてないってば」
「じゃあ、どうして玉の中身が減っているんですか?」
「なんでそんなことが分かるんだよ?」
「気配で分かります! その女性としたんでしょ?」
「してないってば。ちょっと、セルフ処理して来ただけで……」
「セ○レ処理ですって? いったい誰がセフ○なんですか? そこの女ですか? この私を差し置いて!」
「○フレじゃなくて、セルフだってば。あと、この人は、魔王軍大七星の一人で、さっき戦って来たんだってば」
「戦いって、Hバトルですか?」
「だから、Hはしていないってば。大七星を全員倒したんだけど、この人だけ魂を二つ持っているってヤツで」
「玉を二つって……。その人は女性の恰好をした男性なんですか? そう言うのが趣味なんですか?」
「ちょっと落ち着いて聞いてくれ。先ず、玉じゃなくて魂な。あと、俺は誰ともヤッってない。俺は、転移魔法でちょっと外に出てだな……」
一人Hして来たなんて話は、普通はしたくない。
しかし、ことを正しく理解してもらうためには仕方が無い。
タクトは、さっきまでのことをアルカに順を追って話した。
結界を張って一人で処理をして来たこと。
処理が終わった後、大七星達と出くわしたこと。
それで、大七星達と戦うことになったが、魔法攻撃で大七星を一気に片付けたこと。
そうしたら、大七星の一人ミザールが、何故か魂を二つ持っていて、アルコルとして復活したこと。
ところが、アルコルは六ハラと奴隷契約させられていて、彼女から、
『一人で六ハラの相手をするのはイヤなので殺してくれ』
と言われたこと。
しかし、六ハラはタクトが倒す相手なので、自分達に同行してはどうかと提案し、取り敢えずここにアルコルを連れて来たこと。
ただ、これを聞いても、アルカは納得し切っていない様子だった。
「一先ず、その性奴隷女とヤッてないと弁解していることだけは理解しました。それが本当かどうかは分かりませんが」
「だから本当だって」
「だって、性奴隷女でしょ? タクト様がヤッていないと言う証拠は、何処にもありませんが?」
「マジで、天に誓ってヤッてないから」
「じゃあ、今から私に誠意を見せてください。当然、性意ですよ。ここで、私にタクトさんの逞しいタクトを突っ込んで、私への性意を証明してください」
「だから、それはダメだって」
「どうして、その女とはヤれて私とはヤれないんですか?」
「だからヤッてないってば。とにかく、魔王を倒すまでは出来ない」
「じゃあ、魔王を倒したらヤッてくれるんですね?」
一瞬、沈黙の時が流れた。
タクトだって、別に本心からアルカを拒絶しているわけではない。
ただ、大賢者の能力を維持するために、アルカの誘いに乗らないよう、頑張っているだけである。
それに、本心としてはヤリたい。
タクトは、顔を赤らめながら、
「あ……ああ……」
とだけ小さな声で答えた。
すると、アルカは、急に機嫌を取り戻したのか、
「言質取りましたよ! じゃあ、明日からもっとハイペースで魔王軍の連中をやっつけましょう!」
とタクトに言いながら、さっきまでの鬼のような形相から、普段の、
『エロ接近して来るだけの美女』
の顔に戻っていた。
「でも、タクト様。それって、願掛けですか?」
「まあ、そんなところかな、うん」
まさか、自分が大賢者とは言えない。
そう言って、何とかタクトは誤魔化した……つもりだ。
「あと、アルコルと言いましたね」
「ああ」
「同行を許可するのは、タクト様が六ハラを倒すまでです。それ以降は、タクト様から半径百メートル以上離れることを要求します!」
「ええと、アルカと言ったね? アナタは、タクトさんの何なんだ?」
「子種を予約している者です」
「じゃあ、恋人とか奥さんってわけじゃないんだろ?」
「今は、そうです」
「でも、だったら、どうしてそこまでタクトさんに干渉するんだ?」
こう言われて、アルカは何やらアルコルに耳打ちした。
すると、アルコルは、
「し……失礼しました!」
と言いながら、アルカに急に土下座した。
しかも、この時のアルコルは、顔中冷や汗だらけだった。
アルカへの言葉も、これ以降は敬語に変わっていたし。
どうやら、アルカには、とんでもない秘密が隠されているようだ。
少なくとも、ただ、タクトにHを迫るだけの美女と言うわけでは無さそうだ。




