12.奴隷契約?
「魔法障壁!」
タクトは、強大な魔力で作り出した壁を自分の周りに張り巡らし、大七星達が放って来た魔法攻撃を跳ね返した。
そして、
「スーパー・グラビティ&プレス!」
大七星達に超重力魔法と超圧力魔法を放った。
これを受けて、大七星達の身体が急激に地面にめり込んで行った。
超重力によって地面にめり込み、さらに上からは魔法で圧力がかかっている。
なので、めり込み方が半端ではない。
もはや、彼女達は自力で動くことができない。
さらにタクトは、
「アンチグラビティ!」
重力魔法を、反重力魔法に切り替えた。
これによって、大七星達の身体は重力に逆らって地面から上に上がろうとする。
しかし、圧力魔法で上から強烈な力で押し付けられたままだ。
当然、この二つの魔法で身体は押し潰され……大七星達は派手に血反吐を吐いて呆気なく圧死……絶命した。
ちなみに、魔石は出てこなかった。
化石は、大三元……ではなく三大龍王限定のようだ。
つまり、役満御祝儀みたいなものだ。
しかし、この直後、大七星の一人……ミザールの身体がうっすらと光を放ったかと思うと、ゆっくりと立ち上がった。
死んだはずなのに、復活しやがった。
「この強烈な魔法。そこの自慰男! お前は何者だ?」
「そう言うお前こそ何者だよ? 生き返るなんて有り得ないだろ?」
「私の名はアルコル。ミザールの中に隠れていたもう一つの人格」
「その身体には、二つの命が宿っていたと言うことか?」
「そうだ。しかし、何故、この身体を爆発四散させるとか完全焼却するとかして、この世から消滅させなかった?」
「七人一気に倒すには、さっきの方法が一番手っ取り早いと思っただけだ」
「そうか」
アルコルが、タクトに背を向けて座った。
しかも、殺気が無い。
完全に背後から殺してくださいと言わんばかりだ。
「タクトと言ったな。よろしく頼む」
「何のマネだ?」
「一思いにサッサと殺せ。私一人生き残っても生き地獄だからな。さすがに一人で六ハラ全員を相手にするのはキツイ」
「だったら魔王軍から足を洗って逃げればイイんじゃないか?」
「ムリだ。ヤツラに奉仕するよう契約させられているからな。まあ、一種の奴隷契約みたいなものだ」
ハラスメント軍団である六ハラが相手だから、多分、性奴隷契約ってところだろう。
さすがに、タクトも死にたい気持ちが理解できた。
しかし、敵意が無い相手にトドメを刺すのは気が乗らない。
「もし、六ハラが全員死ねば、お前は自由になれるのか?」
「なれるが……」
「じゃあ、俺についてこい。俺の目的は魔王軍の完全崩壊だし、どうせ、六ハラも倒すことになるだろう。お前を自由にしてやる」
「たしかに、お前なら倒せるかもしれないな」
「ただ、魔王軍から足を洗うことと、俺の邪魔をしないことが条件だ」
「分かった」
「一先ず、宿に戻る。アルコルだったな。お前を入れて三人相部屋になるがイイか?」
「もしかして、男二人に女一人で3Pか?」
「いやいや。女二人に男一人で、Hはしない」
そもそも、タクトはHしたくてもするわけには行かない。
だから、結界を張って処理していたのだ。
「そうか。しかし、女連れでH無しと言うことは、一緒に泊まっているのは姉か妹と言ったところか?」
「いや、旅の途中で知り合った女性だ」
「もしかして老人とか?」
「若い娘だけど」
「それでH無しって……。別に、タクトは生殖機能に問題がある訳じゃなさそうだし。ってことは、その女性って!」
アルコルは、タクトに同行する女性……アルカが、この世のモノとは思えないレベルのヒドイ容姿なのではないかと勝手に推察した。
だから、その女性とヤルくらいなら、一人Hの方がマシだと。
取り敢えず、アルコルはタクトに同行することに決めた。
大七星を一瞬で葬り去った男だ。
六ハラを倒すのも屁ではないだろう。
…
…
…
宿に到着。
タクトは、アルコルを連れて部屋に戻った。
すると、
「その女性は誰ですか?」
とアルカの不機嫌な声が。
さらにアルカは、
「あと、玉の中が軽くなってるじゃないですか! もしかして、その女とヤッたんですか? 私を差し置いて……」
と言うと、ワナワナと小刻みに震え出した。
相当お怒りの様子だ。
ただ、アルカが何故、タクトの玉の中の液体量が減っているのを判定出来ているのかは謎である。
一方のアルコルは、アルカを見て、
「(あれっ? なんで? 美人なんだけど?)」
と心の中で叫び声を上げながら驚いていた。
どう考えても、タクトがアルカほどの美女とヤルのを拒否して、一人Hに走るのは意味不明だ。
普通なら、ソッコーで合体していること間違いないだろう。




