11.結界を張っているけど大自然が見守る中で大放出!
部屋に入ると、アルカが、
「タクト様の爆発寸前のモノを是非とも私の然るべきところに注入してください!」
と言いながらタクトに抱き付いて来た。
タクトは、
「転移!」
大急ぎで転移魔法を発動し、オナーホの街を出た辺りに単独で姿を現した。
アルカは宿で留守番である。
そして、
「結界!」
誰からも彼の姿が見えないよう、彼は自分の周りに結界を張り巡らせた。
ただ、今回の結界は自分からも周りが見えないようにしたい。
周りが見えると気が散るためだ。
それで、真っ白で不透明なドーム型のモノにした。
ちなみに、臭いも音も周りには漏れないようになっている。
タクトは、結界内でズボンとパンツを脱いだ。
不要なモノは自らの手でキチンと出しておこうと思ったのだ。
…
…
…
処理終了。
すると、タクトは、
「ファイヤーボール!」
火炎魔法で拭ったティッシュを跡形もなく燃やした。
証拠隠滅だ。
そして、結界解除。
ただ、何故かこの時、タクトは七人の女性達に囲まれていた。
「変な結界から出て来たよ!」
「多分、イヤらしいことを一人でやってたんじゃない?」
「焼きイカみたいな臭いがするし!」
「いくら結界を張っていてもねぇ」
「大自然の中でするモノじゃないよね?」
「多分童貞だね」
「右手以外に彼女はいないってか?」
もしかして全てバレてた?
さすがに、タクトとしても恥ずかしい限りであった。
タクトは、転移魔法でこの場から逃げようとした。
すると、この七人の女性の一人が、
「四天王と三大龍王を倒したのはアンタでしょ?」
と聞いて来た。
「そうだけど、アンタ達は?」
「大七星って呼ばれてる」
「じゃあ、魔王に命じられて来たのか?」
「いや、魔王は関係ない。そもそも、魔王はアンタみたいな強いヤツがいることを知らないと思う」
「だったら何故ここに?」
「私達の身の回りの世話をする七人が倒されたんで仕返しにね」
「七人?」
「そう! 四天王と三大龍王のことよ!」
「つまり、アイツらに雑用全部押し付けてたってこと?」
「別にそう言う訳じゃ……。そう言う私達も六ハラのヤツ等のシモの面倒を見なきゃいけないんだけどさ」
「はっ?」
つまり、コイツ等は上司達に好きなようにヤラれていると言うことか?
さすが、六ハラ……六つのハラスメントと言うだけある。
「アンタの名は?」
「俺はタクト」
「タクトね。一応、覚えておくわ。ちなみに私達は、右から順にドゥーベ、メラク、フェクダ、メグルズ、アリオト、ミザール。そして、私はアルカイドと言う。まあ、どうせ私達に殺されるんだから覚えてもムダだけどね」
タクトは、これを聞いて、
『北斗七星じゃん!』
と思った。
実は、中学生の頃、タクトは友人から、
「北斗七星って、一つ伴星を持つのがあるって知ってた?」
と聞かれて、
「それってマンガの見過ぎだろ!」
と言ったら、
「それって、見えたら死ぬ星のことと勘違いしてねえか? お前こそマンガの見過ぎだろ! 俺が言ってるのは、一つ二重星が存在するってことだぞ!」
とバカにしたような口調で言い返された。
それで、家に帰ってからネットで北斗七星のことを調べ、それがきっかけで北斗七星を構成する星の名前を知ることになったのだ。
ちなみに二重星なのは柄の端から二番目の星ミザールで、伴星の名はアルコルと言う。
かつてアラビアでは、ミザールとアルコルが分離して見えるかどうかで視力テストをしていたとされているそうだ。
また、日本では、アルコルのことを寿命星と呼ぶ地方もあり、某漫画と異なり、アルコルが見えなくなると年内に死ぬとの言い伝えがあったらしい。
もっとも、見えなくなるのは老眼のせいと思われるが……、ただ、年内とは言い過ぎな気がする。
先手必勝!
タクトは、
「連関の計!」
三大龍王達を葬った時と同じように、大七星達の身体を魔力で発生させた光の鎖で繋いで動きを封じた……はずだった。
しかし、三大龍王より格上なだけはある。
「ファイヤーランス!」
「ファイヤーアロー!」
「ファイヤーボール!」
「衝撃波!」
「ファイヤーバレット!」
「電撃!」
「火炎放射!」
威力相殺しない合体魔法で光の鎖を簡単に打ち砕いた。
つまり、コイツ等は、少なくとも四天王とか大三元……じゃなくて、三大龍王よりは利口と言うことだ。
そして、連関の計を破った直後、タクトに向けて一斉に火炎魔法で攻撃してきた。




