48話 違和感
転移した私たちは地上にいた。
もう外は暗くなっていて、森に囲まれていた。
だけど、モンスターに囲まれていたり、密室に閉じ込められたりしなくて私はほっと胸を撫で下ろし、繋いでいる手を離す。
そこまではまだよかった。
「ねぇ、2人とも……ここってどこ……?」
私は恐る恐る2人に尋ねる。
「私にも分かりませんよ……ただここが日本、いや地球じゃないことは分かります…………」
「月きれー! 2つとも絶対地球のよりきれーだよこれ!」
ことりさんは不安そうな顔をし、涼っちは初めて月を見た子供のようにはしゃいでいた。
ことりさんが言った通り、ここは地球じゃない。
どこかも言われても私には分からないけど、地球じゃないことは確かだ。
その理由はとっても簡単。
空に月が2つ見えるからだ。
1つ黄色い満月で、もう1つは赤っぽい三日月。
これを見てここは地球だって言う人はないと思うし、はしゃげる人もいないと思う。
いや、いるんだけど、あれはノーカンね。
「ことねさん、私たちこれからどうなっちゃうんですか……」
ことりさんは今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「とりあえず、誰か助けを呼ぼうよ! スマホで誰か――って圏外だ…………」
「そりゃあそうでしょ。異世界でスマホなんて使えるわけないじゃん!」
涼っちはどうしてそんなことも分からないの? と呆れた顔をしている。
「だってここ一応地上だし……」
「地上でもこんな森のど真ん中だと普通に圏外だからね? 異世界とか関係なくても圏外だから!」
正論だけど、さっきまではしゃいでいた人に言われるとなんか腹立つ。
「そんなこと言ってるけど、涼っちにはなんかあてとかあるの?」
「無いよ。でも、とりあえず森から抜けて街とかに移動した方がいいとは思う。人がいないとこっちの世界の情報手に入らないからね!」
なんも考えていないと思っていた涼っちが1番ちゃんと考えていて悔しい。
「でも、街がどっちにあるとか分かるの?」
「それはことりんに任せる!」
「私? ですか?」
ことりさんは自分に指をさしながら首を傾げた。
「そうだよ。明るくなってる方向があったら教えてねー!」
そう言って涼っちはことりさんの足を影で掴み、そのまま高くまで持ち上げた。
「ひゃあっっ!!?」
10mくらい上からことりさんの悲鳴が聞こえた。
いきなりそんな高くまで持ち上げられたら誰だってびっくりするよ。
「ことりん、なんか見えたー?」
「えぇっと…………さ、先に下ろしてください…………怖いです……」
「分かったー」
そう言うと涼っちはことりさんが上にいる状態のまま影操作を解いた。
当たり前のように上から降ってくることりさん。
そして、それをキャッチする涼っち。
プルプルと震えてさっきよりも泣き出しそうな顔をしていることりさん。
「最低です! めちゃくちゃ怖かったんですよ………………!」
そう言ったことりさんから放たれたグーパンで涼っちはノックアウトした。
これは痛そう。すごく痛そう
でもしょうがない。
涼っちが100%悪いから。
「いてててて…………ごめんよことりん。ちょっとふざけすぎちゃった……」
「分かったならいいんです。次からこういうことをするのはことねさんだけにしてくださいね! それと、あっちの方向に街が見えました」
そう言ってことりさんは前を指さした。
「それは分かったけど、しれっと私巻き込むのやめてね?」
「何のことでしょう? それより、早く出発しましょうよ!」
「そうだよほかりん! 早く出発しようよ!」
この2人さっきまで喧嘩してたよね……?
それでもう仲直りして、組んでるって考えたらなんかこわいんだけど……
「早くしないと置いてくよー!」
そんなことを考えていたら、いつの間にか2人は出発していた。
「私を置いていかないでよ! というか2人とも歩くの早すぎだよ!」
私は妙に落ち着きを払った涼っちに少し違和感を覚えつつも、まあいつもこんな感じか、と思いすぐに2人の後を追った。
変なタイミングだとは思いますが、これで2章は終わりです。特に戦いとかもなく終わったぁ……
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