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43話 恥ずか死

 涼っちを見送った後、私は【リッチのローブ】の効果である浮遊の確認をしていなかったことに気づいた。

 とりあえず、さっきまで着ていたことりさんにどんな感じだったか聞いてみよう。


「浮遊ってどんな感じだった?」


「ほんの少しだけ浮くだけでしたよ。高く浮いてみようとはしましたが30cmが限界で、逆に浮かないようにもしてみたんですがどれだけ頑張っても10cmは浮いてしまいました」


「ほんとだ。ちょっと浮いてるね」


 さっき撮った写真を確認してみたら少しだけ浮いていた。

 撮ってた時はことりさんに見とれていて、全然気づかなかったよ。


「ことねさんも一度着てみましょうよ。そして、あわよくば自撮りも……」


「全力で拒否させていただきます……」


「そうですか……ことねさんは人には着せて、自分は着ない人だったんですね……」


「うっ…………」


「ことねさんがそんなズルい人だなんて思ってませんでした……」


「うぐっ…………」


 追い討ちをかけるようにことりさんがジト目で見つめてきた。

 こわいからやめて…………




「はぁ……分かったよ! 着ればいいんでしょ、着れば!」


 このままだと1日中見つめてきそうだったので、私は諦めた。

 てか、隠密あるのにどうして私の位置が分かるの……?

 ことりさんこわっ……!


「さっすがことねさん、私は信じてましたよ!」


「信じてたってほとんど強制じゃん! あと、自撮りはしないからね……!」


「ほえ?」


 出た、ほえ?

 最近これ流行ってるの?

 私も今度使おうかな……


「ほえ? じゃないから!」


「自撮りしないって、それ着る意味あります? ありませんよね? ネ?」


 圧がすごいです、ことりさん…………


「い、1枚だけだよ…………」


「言質取りましたよ! あと、これ使ってください!」


 渡されたのは先っぽにスマホを取り付けれる長い棒。


「これって自撮り棒?」


「そうです! 是非使ってください!」


「あ、ありがとう……?」


 どうしてダンジョンにこんな物を持ってきてるのかは聞かないことにした。




 それから、私は【リッチのローブ】を着て、自撮りした。

 1枚目はブレブレで、2枚目はなんか納得がいかなかった。

 そして、3枚目。


「まあ、こんなもんでしょ」


 私にしてはまだマシなやつが撮れた。

 けど、人に見せたくはない。

 こんなコスプレっぽい格好は恥ずかしい。


 それと、効果のことなんだけど、なんかフワフワしてちょっと変な感じがした。

 でも、あんまし使い道はなさそう。

 使えるとすれば足の骨を折った時とかかな。

 それもポーション飲んだら治るから微妙だけどね。



「送るけど、涼っちには内緒だよ……」


「もちろんです! これは私とことねさんだけの秘密です!」


 ことねさんはいつも以上に楽しそう。

 私は全然楽しくないけど……

 今すぐ写真を消して、ごみ箱の中も消して、復元すらできないようにしたい気分。


「はい送信っと。送ったよ」


「来ました来ました! ひゃぁっ!!?」


「急に大声出してどうしたの?」


「小がk…………中学生ですか? ペットとして飼いたいです……!」


 今小学生って言おうとしなかった!?

 てか中学生でもペットでもないから!

 私は立派な高校生だから!


「これが噂の顔面国宝級ってやつですか…………」


「そ、それはどうも……?」


 さっき写真を取られたことりさんの気持ちが分かった気がする……


「あと、もうひとつ言いたいことがあるんですが、言ってもいいですか?」


「いいよ……」


「写真間違えてグループに送ってますよ」


「………………私は何も聞いてない、私は何も聞いてない……」


「まだ涼花さん見てないみたいなので消すなら今のうちです!」


 そうだ、その手があった!

 涼っちが今日学校で良かった!

 月曜日に初めて感謝したよ。


 よしよし、ここは落ち着いて送信消…………


 ――既読


「あっ……終わった…………」


『今休み時間なんだ〜! あ、保存したからね〜!』


 涼っちの返信が早すぎる!


「ことねさん…………どんまいです! 元気だしてください!」


 そんなキラキラした目で言わないで……

 私のライフはもう0を突き破ってマイナス500くらいだから……!


「私もスケルトンと同じように骨になってこようかな…………」


「ことねさん? 気をしっかりしてください!!?」

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