42話 ついにクエストクリア
「だいじょーぶ?」
「大丈夫ですか?」
私たちは影でスケルトンたちを抑えている涼っちに声をかける。
「全然だいじょばない! 声かけれる暇あるんだったらちょっとは抑えるの手伝ってよ!」
傍から見ると結構余裕そうに見えるけど、実際はそんなことないらしい。
「そのことなんだけどさ。もう抑えなくていいよ」
「抑えなくていいの? ならこいつら倒しちゃうよ?」
「あっ、それもしなくて大丈夫だよ。逃げることにしたから」
「ほえ?」
ほえ? って何?
どういうリアクションなの?
「早く逃げるよ!」
私はことりさんと手を繋いでいない方の手で涼っち手を掴み、スケルトンたちのいない方向に走り出した。
「ほかりん逃げるってどういうこと? 経験値勿体ない……」
「いいから逃げるよ! ことりさん、 さっき渡したあれ投げて!」
「OKです! 」
ことりさんは手に持っている白くて小さい玉をスケルトンたち目掛けて投げつけた。
次の瞬間、投げつけた白くて小さい玉は爆発し、大量の煙を辺りに噴出した。
「煙!? ことりん今投げたの何?」
「あれはこの前骨のダンジョンのクエストクリア報酬で貰った【けむり玉】です。「モンスターが嫌う煙をまき散らすから逃げるのにはもってこいのアイテムだよ!」ってことねさんが言ってました!」
「私の真似のクオリティが無駄に高い」
「ありがとうございます!」
別に褒めたわけじゃないんだけどなぁ……
素直すぎるというか、どこか抜けてるというか、ことりさんはいつもそんな感じだ。
かわいい。
「そういやスケルトンたち追ってこないねー」
「【けむり玉】の効果もあるし、私の隠密の効果もあるからね!」
「ほかりんが嬉しそうで何よりだよ」
それはよかった……?
「あっ、階段見えてきましたよ!」
「次は9階層だっけ?」
「そうです! 気を引き締めていきましょう!」
「「おー!」」
9階層に移動した私たちはすぐに階段を見つけ、10階層に移動した。
「ついにボスだよ!」
「とか言ってもここのボス弱いじゃん! なんであんなのボスにしたんだ?」
「時間がもったいないので、私がサクッと終わらせますね!」
確かに弱いとは思うけど、扱いが酷すぎてちょっと可哀想になってくる。
ボス! 少しは頑張って!
☆
『ダンジョンクリア報酬:【治癒ポーション(小)】』
『ダンジョンクエストのクリアを確認』
『ノーマルモンスター全種討伐 クリア報酬:【魔断薬】』
『1分後、ダンジョン入口に転移します』
「今回もボス弱かったねー」
「弱すぎましたね。あれだったらリッチの方がまだ強いですよ」
倒されたあとにも言われるなんて可哀想すぎるボス。
死体蹴りはよくないよ……
それから、私たちは報酬を受け取ってからしばらくして、ダンジョンの外に転移した。
「それじゃあ戦利品を見ていこー!」
ダンジョンの入口から少し離れた木陰に移動した私たちは戦利品の確認を始めた。
と言っても鑑定スキルを持っているのは私しかいないから、全部私が確認するんだけどね。
「まずは【魔断薬】から鑑定するよ。鑑定っ!」
――――――――――――――――――――――――
【魔断薬】:飲んでから30秒間、魔法によるダメージを50%軽減する。
――――――――――――――――――――――――
「かなり使えそうな効果ですね!」
「でも、30秒って短すぎない? せめて1分は欲しいなー」
「こういうアイテムで30秒で結構長いと思うよ。【猛撃薬】なんて10秒しか持たなかったし」
さらにHPが1になるというおまけ付きでね。
「よし、次のやついくよー!」
私は【アイテムポーチ】から【リッチのローブ】を取り出して鑑定する。
――――――――――――――――――――――――
【リッチのローブ】:リッチがいつも着ているローブ。材質は不明。魔法によるダメージを軽減し、浮遊効果を付与する。
――――――――――――――――――――――――
「これも【魔断薬】と同じで魔法のダメージを軽減するみたいだね!」
「それは分かったけど、浮遊って何? 浮遊って」
「試しに着てみたらいいんじゃないですか?」
「えぇ、これ私が着るの……? こんなコスプレみたいなやつを?」
涼っちはあからさまに嫌そうな顔をした。
「嫌なら代わりに私が着ましょうか?」
「さすがことりん! ありがとねー!」
という感じでことりさんが着てみることになったので、【リッチのローブ】をことりさんに渡した。
「ど、どうでしょうか……? 変じゃないですか……?」
黒いローブで身を包んだことりさんは少し恥ずかしそうにしながら聞いてきた。
「………………か、かわいい」
「写真撮ってもいいかな……? このかわいさは絶対残すべきだと思うの……!」
「え、あ、ええっ……!? しゃ、写真はちょっと恥ずかしいですぅ…………」
ことりさんの顔がみるみる真っ赤になっていく。
かわいすぎる!
フードの隙間から漏れる水色の髪がめちゃくちゃ綺麗だし、もうやばいよ! 尊すぎる…………
「1枚だけ! 1枚だけでいいから! ね? お願い!」
「私からもお願い!!」
「…………い、1枚だけですよ? 絶対ですよ?」
「うん! 約束するよ! それじゃ、この鎌持って構えて!」
私はことりさんの手に【ソウルイーター】を握らせる。
「えっ、鎌……? どうしてですか?」
「いいからいいから! いくよ! はいチーズ!」
――カシャッ!
私と涼っちはすぐに撮った写真を確認する。
「私、この写真家宝にするよ……」
「SNSにあげたらめちゃくちゃバズりそう……あげないけど……」
涼っちのことだからほんとにあげそうでちょっとこわい。
「ありがと、ことりさん! ってもう脱いでる……」
「恥ずかしいのでもう着たくありません…………! 今度はことねさんが着てください!」
「私は似合わないと思うし、写真にも写らないからやめておきたいなぁ……………」
「えっ、ほかりんも着るの? 着るよね? 着ろ!」
涼っちの圧がすごい、というか最後は命令になってるし……
「絶対に着ないから!!」
「ほかりんのケチ!」
「ケチでもいいもん! というか涼っちは早く学校行け!」
私がそう言うと涼っちが固まった。
「ほかりん、今何時……?」
「今はね、10時30分だよ!」
「………………実は今日は学校休みなんだ……」
「そんなこと言ってないで早く学校行け!」
「最悪だぁ……遅刻だぁ……」
「頑張ってねー!」
この後、涼っちは学校まで走って向かった。




