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32話 タイミング

「影操作!」


「はっ!」


 私たちが今いるのは5階層だ。

 涼っちが影操作でスケルトンの動きを止め、それをことりさんが【キングアックス】で薙ぎ払う。

 それだけでスケルトンもスケルトンホースも一撃で倒せてしまう。


「あれ? やっぱり私要らなくない?」


「そんなことないよ。魔石とか持っててくれるし。はい、今倒したスケルトンたちの魔石っ!」


「そう? なら良かったよ――ってそれ私じゃなくても【アイテムポーチ】持ってたら誰でもいいやつじゃんか!」


 悲しいよりも経験値だけ貰って申し訳ないって思いが強い。

 でも全く悲しくないわけじゃないからね?

 そりゃー私だって、2人みたいにスケルトンを斧とかハンマーでぶっ叩いて役に立ちたいよ。

 でも、そんな巨大な武器とか持てるほど力があるわけでもないし、スキルの効果で持てたりとしないし……


 これでも身体強化のスキル持ってるんだよ。

 だけど、元の力がミジンコ並だからどうしようもないんだよね……

 帰ったら筋トレでもしようかな……



「この調子ならモンスタートラップが来ても大丈夫そうですね!」


「この調子なら大丈夫そうだけど、あんなに出てきたら涼っちの魔力が先に無くなっちゃうんじゃない?」


 ゴブリンダンジョンで【ルーンネックレス】に溜まってる魔力も使い切っていたし、そろそろ魔力切れになってもおかしくない頃だと思う。

 そこにモンスタートラップなんて来たら絶対魔力が足りなくなる。


「魔力は体感残り半分くらいだから、無駄遣いしない限り無くならないはずだよー! ところでさっきから2人が言っているモンスタートラップって何?」


 涼っちにモンスタートラップのこと教えたら、絶対にだめな気がする……

 私の全細胞がそう言ってるよ……


「モンスタートラップというのはダンジョンの床に設置されているトラップで、押してしまうと大量のモンスターが出現するトラップですよ」


 そうだよね……

 ことりさんは優しいから教えてあげるに決まってるよね……

 最初からこうなる気しかしてなかったよ……


「その出現するモンスターってスケルトンだけなの?」


「今回が前と同じかは分かりませんが、前はスケルトンとスケルトンホースとゴールデンスケルトンが出現しましたよ。まあトラップを押さないことに越したことはないですが……」


「え、なんで押さないの? 経験値うまうまだよ?」


 ほらやっぱりこうなるー。

 だから私は最初から涼っちに教えない方がいいよって言ってたのに。

 いや、言ってはなかったけど。


 どうしよう。

 このままだったら絶対涼っちがモンスタートラップを探し始めてしまう。

 やばい、それだけは絶対に阻止しないと!


「実はモンスタートラップで出現するモンスターってね。倒しても経験値貰えないんだー」


 無理矢理感が半端ないけど、ダンジョンについてあんまり詳しくない涼っちなら騙せるはず。


「そうなの? なら別に押さなくていいやー」


 ふぅ、まずは第一関門突破だよ。

 あとはことりさんが察してくれるかどうかだけ……


「そそそ、そうです……! 経験値なんて全く、全然、ひとつも貰えませんよ……!!」


 うわぁ……ことりさん嘘下手すぎ……

 こんなの絶対バレたよ……最悪だぁ……


「ことりん急にどうしたの? 焦ってる?」


「そそそ、そんなこと、ななな、ないですよ……? 焦ってなんていません……!!?」


 これはもう絶対バレた……

 私涼っちに殺されちゃうよ絶対……


「そう? ならいいや」


 嘘? バレてないの? あれで?

 涼っちって実は鈍い?

 でもいつも鋭いよね……?

 まあバレなかったし、結果オーライってことで!


「2人とも早く進もうよー!」


「ごめんごめん!」


 私は謝りながら一足先に進み始めた涼っちの後を追って進み始める。


 ――カチッ!


「「あっ」」


 どうして今!?

 タイミング悪すぎない!?


「2人ともどうしたの?」


 涼っちは私たちの方を振り返ってそう言った。


「モンスタートラップ押しちゃったから今すぐこっち来て!! 早く!!」


「ん、分かった!」


 そう言うと涼っちはすぐに走ってこっちに来た。


 離れている時に魔力が無くなったりしたら大変だからね。

 こうして3人で固まっている方が安全だ。


「2人とも。そろそろ来るよ!!」


 私がそう言ったのと同時に、私たちの周りに大量の魔法陣が現れた。

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