31話 涼っち特製
10分くらい休憩した後、ゾンビたちがいなくなっているのを確認してから、私たちはささっと3階層まで移動した。
ソンビたちがいなくなったのは、砂の中に戻ったからだと思う。
戻った瞬間を見てないから絶対とは言えないけどね。
3階層に移動した私たちは、まず繋いでいる手を離した。
やっとあの歩きにくさから解放された。
これで私は自由だ!
「ねぇ、スケルトンどこ? 早くレベル上げたいんだけど!」
「まだ3階層に着いたばっかりだよ。そんなすぐ出てくるわけ――」
「涼花さん、スケルトンが出てきましたよ。普通のやつが3体です!」
え、もう出てきたの!?
早くない!?
「3体くらいならよゆーよゆー! 私に任せてー!」
「そいつら頭砕かないと死なないから!」
「りょーかい、ほかりん! 影操作っ!」
そう言うと涼っちから影が伸びて、スケルトンたちの両足を拘束した。
どうやら涼っちの影の拘束はスケルトンの力でもほどけないみたい。
というかスケルトンって筋肉あるのか……? 筋骨……?
まあ武器とかも持ててるし、力が0ってことは無さそう。
でもゴブリンたちよりも弱そう。
実際は強いんだろうけど。
「拘束完了! からのー、どーんっ!」
涼っちはいつの間にか持っていた巨大な影で作ったハンマーでスケルトンの頭蓋骨を順番にかち割っていた。
「えっ、もうレベルアップ? スケルトンたち弱いのに経験値美味しすぎない?」
「スケルトンが弱い訳じゃなくて、涼花さんが強すぎるだけですよ……」
「そうだよ涼っち。スケルトンは弱くないよ……」
私たちがそう言うと涼っちはラノベとかによく出てくるの無自覚で無双する主人公みたいな顔をした。
ちなみに私はそういう物語はちょっと苦手だよ。
「冗談とかじゃなくて?」
「冗談とかじゃなくて! あと気になってたんだけど、そのハンマー何?」
「これ? これはね、涼っち特製のシャドウハンマーだよ! 粉砕する時とかにおすすめ。お値段今なら3980円!」
涼っちはシャドウハンマーを掲げてそう言った。
「安い! だけどいらないかな。というかそれって私使えるの?」
「私の影に繋がってないと形が崩れるから無理だよー!」
「なら売るなよ! それともう1つ質問」
「まだあるの?」
まだまだある。
だけど、時間がかかりすぎるからもう1つだけ。
「そのハンマー影使いすぎじゃない?」
「あーやっぱりそう思う? でも実はこのハンマー、ハリボテなんだー」
「てことは中身まで影たっぷりじゃないってこと? でもそれだったら威力低くならない?」
「それは大丈夫。中に砂を詰めてるから。ほら」
そう言った涼っちが掲げているシャドウハンマーを普通の影に戻すと、大量の砂が落ちてきた。
節水ならぬ、節影ってことだね。
「あの、話しているところ悪いんですが、魔石がどこにいったか知りませんか?」
「私は知らないよ。涼っちが拾ったんじゃないの?」
「私? 私スケルトン倒したけど、魔石なんて拾ってないよ?」
てことは魔石が消えた?
どうして……?
「まさか、涼っちがシャドウハンマーで魔石も砕いちゃったとか?」
「え、嘘、私砕いちゃった? ていうか魔石ってそんな簡単に砕けるもんなの?」
「私落としたりしたけど、ヒビすら入ったことないよ。でもそのハンマーだったら――」
「あ、ありました! 砂の中に埋まっちゃってたみたいで気づきませんでした……ごめんなさい……」
ことりさんは砂に埋まりそうな勢いで土下座している。
綺麗すぎる土下座だ。
「ことりさん!? そんなことしたら服砂まみれになっちゃうよ!?」
「そうだよ! だいたい、元はと言えばスケルトンを強く叩きすぎた私のせいだし……ごめんよ、ことりん……」
「なんか変な感じの空気になってない? そろそろ出発するよ?」
「そうですね。そろそろ出発しましょう! あ、これさっきの魔石です」
すっかり魔石持ち係になってしまった私は【アイテムポーチ】に魔石を仕舞い、2人の後を追いかける。
てか2人とも、魔石仕舞ってる間くらい待ってくれてもいいじゃんかー!




