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30話 バイオなハザード

 私たちは突然地面から出てきたゾンビらしきモンスターから走って逃げている真っ最中だ。


「ねぇほかりん! ゾンビって足遅いんじゃないの? あいつら普通に走って追いかけてきているんだけど!」


「そんなの私に聞かれても知らないよー! ゾンビだって走りたい時もあるんじゃない?」


 そう言って後ろの方をチラッと見てみると大量のゾンビが走って追いかけてきていた。

 私の知ってるゾンビの動きじゃない。

 私の知ってるゾンビの動きはもっとのろのろとしていて、追いかける気あるの? って言いたくなるような動きだ。

 もし、このゾンビでバイオなハザードをしたら一瞬で噛まれて終わりだよ!


「ていうかさー、1階層なのになんでモンスター出てきてるの? ほかりん出てこないって言ってたよね?」


「私が知りたいよぉ!! 前来た時はスケルトン以外見てないもん!」


 前は出てこなかったのにどうして今回は出てくるの?

 涼っちが美人すぎてゾンビを引き寄せたとか?




 …………そういう冗談は置いといて、真面目に考えよう。

 だいたい、それが正しかったらことりさんもゾンビを引き寄せてしまうことになるからね?


「あのー、ゾンビの数がさっきよりも多くなっている気がするんですが……」


 ことりさんにそう言われ、もう一度後ろを見てみる。


「多っ!? 何体いるの? てかいつの間に増えたの?」


 最初は5体くらいしかいなかった。

 さっき見た時は10体くらい。

 そして、今見たら数えられないくらいいた。


「さっきチラって見えたんだけど、私たちが通った道からどんどん新しいのが出てきてるみたいだよー。腐っているけど、新しいってね!」


 この状況でよくそんかしょうもないこと言えるね……

 止まったら追いつかれるけど、走って逃げれば逃げる程、どんどんゾンビの数が増えていくって状況だよ?

 鬼畜すぎだよ!


 でもでもでも、こんなにいるのにどうして前来た時は1回も見なかったんだろう?

 前と今回の違いって言ったら人数とか? って思ったけど、あんまり関係なさそう。


 そういえば前来た時って手を繋いでた気がする。

 手を繋いでたってことは隠密が発動していたってことになるから、なら今回も手を繋いだら逃げ切れるかも?

 でも、今から繋いでも遅かったりしないかな……

 まあ悩んでいても仕方ないし、やれるだけやってみよう。


「2人とも手を繋いで! それと、この先にある十字路を右に曲がるよ!」


「よく分からないけど、ほかりんがそう言うなら!」


「分かりました!」


 私たちはすぐに手を繋いで、隠密を全員に発動させる。

 そして、手を繋いだまま十字路を曲がる。


 それから、少し走ったところで後ろを振り返ってみるとゾンビたちの姿は見えなくなっていた。


「ふー、なんとか逃げきれたみたいだね!」


「疲れたぁ……もう1歩も動けない……」


「私もこんなに走ったのは久しぶりで、少し疲れました……」


 2人とも息が上がっている。

 まあ、これだけ走ったら誰だって疲れる、私も疲れる。


「なら少しだけ休憩しよっか! あ、でも手は繋いでてね! そうしないとまたゾンビが出てきちゃうはずだから」


「逃げきったから大丈夫なんじゃないの?」


「たぶんだけど、私たちが今立っているところの下にもゾンビがいるはず」


「あなたの足元には死体が埋まっているみたいな感じ?」


「言っていることの意味は全然分からないけど、そういうことでいいよ……とりあえず、地面に音とか振動を与えたらだめってこと」


「なるほど、だから前来た時、ゾンビは出てこなかったんですね!」


「そーいうことー!」


 私の予想だけど、ソンビは砂の上を歩いた音とか、振動とかを感知して、地面から出てきているんだと思う。

 前来た時に出てこなかったのは、たぶんこういう理由だから。たぶん。


「3階層からはゾンビたちいないんでしょ?」


「前はそうだったよ」


  「だったら早く3階層に行こうよ。もうアイツらの腐った顔なんて見たくないよ……」


 3階層に移動したら、たぶんゾンビたちも出てこなくなるから、手を繋ぎっぱなしにする必要もなくなっていいかもしれない。


「なら休憩は3階層に着いてからにしよっか!」


「やったぁー! さすがほかりん! 分かってるねー!」


「階段なら逃げている時に見つけましたよ!」


「ほんとに!?」


「でも、さっき通った道を戻らないといけないので、ゾンビたちがめちゃくちゃいると思いますよ………………」


 やっぱり、そうだよねー……


「ほかりん、やっぱりここで休憩しない……?」


「私も今それ言おうと思ったよ……」


 結局私たちはゾンビたちがいなくなるまで1階層で休憩することにした。

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