28話 地面からなんか生えてきた
ゴブリンダンジョンをもう1周したあと、私たちは荷物を取りに一旦家に帰った。
「ふぁ〜、疲れたぁ。朝早かったから眠たいし、体中痛いし最悪だよぉ……」
今日はずっと痛いまんまな気がする。
こんな状態で骨のダンジョンに行ったら迷惑になるかも……
でも隠密がなかったら涼っちが危ないし……
「ポーションでも飲んどけばいいんじゃない? さすがに眠気覚ましにはならないと思うけど、痛いのくらいなら治るでしょ?」
「でも、こんなことでポーション使うのは勿体ない気がする……」
「だったら次からはちゃんとベッドで寝るようにしなよー。分かったー?」
「…………分かったー」
あれ、涼っちだったらてっきり「だったら我慢しろ!」みたいなこと言ってくると思ってた。
涼っちにも慈悲の心があったんだね。
「なんかほかりんを無性に殴りたくなってきた」
「んひゃっ!!?」
驚いて変な声が出た。
正確に言うと変な念話だけど……
「あれーほかりん? どうしてそんなに驚いてるのー?」
やばい、逃げ、逃げ……!!
「ことりさん助け――」
「わ、私はお昼ご飯を作ってきますねー……」
薄情者だぁ……!
「ならほかりんっ♪ 私たちはほかりんの部屋に行こっか♪」
「ひゃ、ひゃい………………」
この後、めちゃくちゃ殴られてポーションを飲まされた。
「回復したら同じだよねー」
とか言ってたけど、殴られた時は普通に痛いからね!?
サイコパ涼っちだよ……
その後、昼ご飯を食べてから準備を済ませ、私たちは骨のダンジョンに向かった。
ポーションを飲んだから体の痛みもないし、体調もばっちしだよ。
★
「着いたよー!」
今の時刻は1:30だから、何も無かったら2周はできそう。
あっ、なんかフラグになりそうだからやっぱり今のナシ!
私は何も言っていないさ……
「ここが骨のダンジョンかー。ゴブリンダンジョンよりも人が少ないんだねー」
「一応Cランクダンジョンですからね。ゴブリンダンジョンとは出てくるモンスターの強さが桁違いですよ」
とか言ってるけど、前来た時ことりさんがほとんどのスケルトンをボコボコにしてなかったけ……?
「前置きみたいなことはこれくらいにしといて早速行こっか! 涼っちが待ちきれなさそうだし……って、涼っちどこ?」
さっきまで隣にいたはずの涼っちがいない。
先に1人で入ったなんてことないよね!?
「2人とも早くー!」
いつの間にか入口の前まで移動していた涼っちがこっちに向かって叫んでいた。
人が少ないって言ってもこんなところで叫ぶなよ……
叫ぶならせめて念話でしてほしい。
「では、行きましょうか。涼花さんが1人で入っちゃう前に!」
「そーだねっ!」
私たちはくすくすと笑いながら涼っちがいるダンジョンの入口に移動した。
「骨のダンジョンにれっつごー!」
「「おー!」」
掛け声に合わせて、私たちはダンジョンに足を踏み入れた。
★
「なんだろう。砂って感じがする……」
「そのまんますぎない?」
「だって砂なんだもん。歩きにくいし、靴に入るし、鬱陶しいんだけど」
涼っち様がご立腹な様子。
靴に砂が入った時のイライラは分かる気がする。
「そのうち慣れてくるから気にしてもしょうがないよ」
「こなったら影で靴に砂入ってこなくしてやる」
「あんまり無駄遣いしないでよー」
「分かってるって。だいたい3階層まではモンスター出てこないんじゃないの? だから手も繋いでないし」
昼ご飯を食べてる時にそんなこと言ったような気がする。
私の記憶力はゴミレベルみたいだよ……
「そうだけど、なんかあるかもしれないじゃん!」
「なんかって、例えば?」
「急にモンスターが出てきたりとか?」
「そんなこと滅多にないって。心配しすぎー!」
「涼花さん足元!! 足元に何かいます!!」
「ぎゃぁ!? 何これ!? 手!? きもいきもいきもい!!」
涼っちの足の下から血色の悪い手が生えてきた。
いや、もう血色の悪いとかのレベルじゃない! 腐ってるよ!
「はっ、ちょっと、足掴まないでよ!? 冷たっ!? ほかりん助けてぇぇぇー!」
「はあっ!!」
私は【紫毒の短剣】で涼っちの足を掴んでいる手を攻撃する。
腐ってるから豆腐を切るくらい簡単に切断できた。
「ひゃぁ……たすかったぁ……ありがとほかりん。あれ、ほかりん?」
「涼っち後ろ! 手がいっぱい生えてきてる!! ってなんか出てきてない?」
「これってもしかして、ゾンビ……?」
地面から出てきて腐ってるってゾンビ以外いないでしょ!?
「とりあえず2人とも逃げるよー!!!!」




