27話 涼っちの力
涼っちが「ボスは私が倒す!」みたいなことを言っているので、私とことりさんは手を繋いで部屋の隅に移動する。
これでようやく、さっき見れなかった涼っちの戦いが見れるね。
まず初めに涼っちは首にぶら下げている【ルーンネックレス】に手を当てた。
私とことりさんが誕生日プレゼントであげたやつだね。
【ルーンネックレス】はなんか月の光に当てると魔力? みたいなものを貯めれるらしく、魔力貯めた【ルーンネックレス】に手で触れるとその貯めた分の魔力を回復できるらしい。 (貯められる上限あり)
私は見た目で選んだだけだから、涼っちに教えてもらうまで、そんな効果があるなんて知らなかった。
そもそも魔力なんていうものがあることも知らなかった。
魔法を使って疲れてくるのは体力の限界とかじゃなくて魔力が減るからなんだって。
涼っちが影操作を初めて使った時に倒れたのも、私が魔法を使って倒れたのも魔力が無くなったからだったらしい。
そしてそして、魔力を回復した涼っちはすぐに影を全身に纏った。
けど、そんなことをしている涼っちを待ってくれるわけもなく、ゴブリンナイトは持っている剣で涼っちに一撃。
――キンッ!
剣が涼っちに直撃した瞬間、部屋の中に金属音が鳴り響いた。
「ことねさん!! こっちに何か飛んできています!!」
そう言ってことりさんは私の手を思いっきり引っ張った。
「――――うわぁっっ!!?」
私がさっきまで立っていたところに何かが降ってきた。
ことりさんが引っ張ってくれなかったら直撃しているところだったよ。
「ありがとう、ことりさん。おかげで助かったよ。ところで今飛んできたのって何?」
「折れた剣の先っぽ? でしょうか?」
「これって誰の剣? 涼っち今日剣なんて使ってなかったよね……?」
「そういえば使ってませんでしたね」
ということは――
「あれー? 大事な剣が折れちゃったねー。そんな剣で私の影の鎧を破れるとでも思ったのー?」
ゴブリンナイトを煽っても言葉通じないから意味ないと思う――ってそんなことはどうでもいいんだった。
それより、涼っちの影頑丈過ぎない?
鉄製なのか何製なのかは知らないけど、金属でできてるゴブリンナイトの剣が負けるって、相当だよ……
「今度は私からいっくよー!」
そう言うと体に纏わせていた鎧の影を今度は手に集め、剣の形に変えた。
大きさは1mくらいあるから私じゃ持てそうにないね。
だいたい涼っちのスキルで作った剣だから、涼っちしか使えないと思う。
「はあっ!」
一閃。
ゴブリンナイトの腹を鎧の上から真っ二つに切り裂いた。
鎧が豆腐を切るくらい簡単に切っていたから、切れ味もかなり良さそう。
「ふー、疲れたぁ。影ちょっと使いすぎたよ……」
「お疲れ涼っち。すごかったよ、あの鎧と剣。あれがあるんだったら骨のダンジョンにも行けるかもしれないよ!」
「ほんと? ならこの後すぐ行こう!」
さっきまで疲れて元気なさそうにしてたのに、すぐこれだよ。
「すぐだめ! だけど、少し休んでからだったらいいよ。でも無茶はしないでね」
「でた、ほかりんの心配性!」
今日だけでその言葉何回目だってくらい聞いた気がする。
「そんなこと言ってないで早く報酬貰いに行くよ」
「はーい。あ、これ魔石ね」
私は涼っちから受け取った魔石を【アイテムポーチ】に仕舞いながら報酬部屋に向かった。
『ダンジョンクリア 報酬:【魔石(大)】』
『ダンジョンクエストのクリアを確認』
『剣類未使用 クリア報酬:【ウッドリング】』
『1分後、ダンジョン入口に転移します』
どうやら涼っちの影で作った剣は剣類には含まれないらしい。
まあ、あれってどっちかと言えば魔法だもんね。
「これってもしかして、2人がはめてるのと同じやつ?」
「そうですよー!」
「てことは3人でお揃いってことだよね? 最高すぎないそれ?」
「さっすが涼花さん! 分かってますね!」
お揃いってだけでそんなに盛り上がる? ってくらい2人が盛り上がっている途中、それを遮る感じで部屋が光に包まれて、入口まで転移した。
「よーし、それじゃあ骨のダンジョンに行こー!」
「だから、まだ行かないってー!! 早すぎだよ! それよりもっと確認しなくちゃいけないことあるでしょ!」
「確認ってあれのこと?」
「そうそう、あれのことだよ!」
「そうだよねー! ダンジョンをクリアした後にすることといえばやっぱレベルの確認だよねー!」
「ちがーう!!! ゴブリンロードのクエストのこととか、ゴブリンロードのクエストのこととかいっぱいあるでしょ!!」
ことりさんも何の話ですか? みたいな顔してるけど、なんで忘れてるの!!
頭でも打ったの?
「はぁ……しょうがないなぁ……」
「仕方ないですね……」
なんで2人ともそんな上から目線なのかは知らないけど、確認してくれるならまあいっか……




