26話 嫌な予感……
私たちは楽しそうに前を歩いている涼っちの後ろについていく。
「あれでしょ。ゴブリンキングじゃない方だったらいいアイテムが貰えるんでしょ?。楽しみだね〜♪」
うん、1人だけテンションがおかしい。
「そっちの部屋に行けたらいいんだけどね……」
「正直言って私怖いですよ……ことねさん助けてくださいぃぃ…………!!」
ピクニック気分の涼っちと違ってことりさんは進むにつれて泣きそうになっていってる。
私も泣きたいよ……
「着いた〜! ほんとにほかりんが言ってた通り階段が2つあるね〜!」
私たちは一本道をひたすら進んで階段が2つある部屋に到着した。
「早くおうち帰りたいよ……」
「私も今すぐ帰りたいですぅ……」
なんか気分も悪くなってきた気がするし、嫌な予感しかしないよ……
「2人はどっちにする? 私は右がいい!」
「私は涼っちに合わせるよ」
「だったら私もそうします……」
「なんか私に責任押し付けようとしてない?」
あ、バレちゃった……
「…………早く行くよ」
「そうですね。怖いですがここでじっとしてても仕方ありません。 早く行きましょう……!」
「あれ、2人とも私の話聞いてたー? って待ってよー!!!」
私たちは涼っちの話をスルーして、右の階段を降りていく。
少し暗くて狭い階段を。
「ゴブリンキングじゃありませんように……ゴブリンキングじゃなありませんよう……」
私はそう呟きながら階段を降りていく。
ほんとにゴブリンキングにだけは会いたくないよ……
「ゴブリンキングってどんな感じなんだろー。ちょっと見てみたいけど、ほかりんたちがそんなに怖がってるって考えたらかなり危険なんだろうなー」
「かなりどころじゃありませんよ。ことねさんのスキルがなかったら、私もことねさんも絶対に死んでましたよ……」
「そんなに危ないのかぁ……それだったらさすがに会いたくないなー……」
涼っちがそんな呑気なことを言ってるおかげで、少しだけ恐怖が和らいだ気がする。
「おー、着いたー!」
「こ、この扉を見ただけで震えが止まらないです…………」
「私もさっきよりもこわくなってきたかも……」
「ねぇ、開けていいよねー? 開けちゃうよー?」
「待って!! せめて手だけ繋いで開けよう……ね?」
「なら右手が私で左手がことりんで! 繋いだねー? なら開けるよー! ひらけーごまっ!!」
そんなことを言いながら、涼っちは手で扉を開けた。
涼っちってなんか喋ってないと死んじゃうのかな……
「部屋は結構暗いんだねー。ところで宝箱はどこ? 見当たらないんだけど……」
部屋には階段も宝箱もない見当たらない。
「てことは…………」
「私あんなのと戦いたくありませんよ!?」
私もこわい。
だけど、こうなったのも私のせいだ。
「ほんとにごめんよ……!!」
「別にほかりんだけのせいじゃないよ……たぶん。ていうかゴブリンキングまだ来ないの?」
「ほんとですね……もうアナウンスがあってもいい頃だと思うのですが……」
「また期待させといて、少し遅れてアナウンスがあったりし――――」
私がそんなことを言ったと同時にアナウンスが響いた。
『エクストラボス ゴブリンキングの討伐 制限時間は30分です』
やっぱりだよ!
今回はゴブリンキングが出て来ないかも? と思わせてからのこう。
このダンジョンを作ったやつがいたら涼っちくらい性格が悪いと思う。
「2人とも絶対手離しちゃだめだから!! 分かった?」
「うーん……分かったけど、ゴブリンキング出て来てないよ?」
「えっ……? 今アナウンスあったんじゃ――――」
私の声を遮るようにもう一度アナウンスが響いた。
『過去のゴブリンキングの討伐を確認しました』
『クエスト:【ゴブリンロードの討伐】の挑戦権を与えます』
『【ゴブリンロードの討伐】の挑戦権はゴブリンダンジョンの内で1度のみ使用できます』
『10階層に転移します』
アナウンスが聞こえなくなった瞬間、部屋が光に包まれたと思ったら、いつの間にか10階層に転移していた。
「ちょっとちょっとちょっと! 今何が起きたの!? ゴブリンロードの討伐とか聞こえたんだけど、気のせい!?」
「私も聞こえた。クエストとか言ってたねー」
「ゴブリンダンジョン内で1度のみ使用できるとかも言ってましたね」
みんな聞こえたってことは夢じゃない。
てかなんで2人ともそんなに落ち着いてるの? こわいんだけど……
「まあ何はともあれ助かってよかったねー。隠し部屋のアイテムが手に入らなかったのは悲しかったけど……」
私はパニックで隠し部屋のアイテムのことなんてすっかり忘れてたよ。
「ゴブリンキングともう一度戦わずに済んでホッとしましたよ。ここで話していてもなんですし、とりあえずボスを倒しちゃいましょうか!」
「そうだねー! ほかりんもぼーっとしてないで早く行くよー!」
そう言って2人はボス部屋に入っていく。
「え、あっ、置いてかないでよー!!!」
私は急いで2人を追いかけた。




