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19話 妹ちゃん

 それから、私たち3人は一旦涼っちの家に行って、そこから涼っちのお母さんが運転する車で妹が入院している病院に向かった。


 妹が入院している病院は涼っちのお母さんが働いている病院で、呪いがある人でも受け入れてくる珍しい病院だよ。

 そのことを知ったのは中学生になってからで涼っちから聞いた。

 逆にそれまでの間、私は妹が入院していることは知っていたけど、どこの病院に入院しているのかすら知らなかった。




 そして、車に揺られること20分。

 私たちは病院に到着した。

 早く妹に会いたくて私はずっとそわそわしていた。


 受付で名前を書いてから妹がいる病室に向かう。

 私は書かなくても良かったかもしれないけど、書いておいて困ることはたぶんないはずだ。


 静かな廊下に私たちの足音だけが響く。


 あの時のことを忘れた日はない。

 ずっと私は後悔していた。

 私が守ってあげていれば、妹がこんな目にあわずに済んだのに。

 私に力があれば、妹を助けることができていたのに。

 そのことを謝りたい。


 それから、他にもいろんな話をしたい。

 楽しかったことや嬉しかったこと。

 涼っちたちのことやこれからのこと。


 そんなことを考えているうちに妹のいる病室の前に着いた。

 隠密のせいで、直接話すことはできないから電話で話せるように準備をする。

 そして、深呼吸をしてからゆっくりと扉を開ける。


 扉を開けた先にはベッドがあり、妹はいつもそこで静かに眠っている。

 だけど、今日はベッドに座って絵を描いていた。

 月明かりに照らされて、真っ白な髪はいつもよりも綺麗に見える。


 私たちが入ってきたことに気づいた妹は絵を描いている手を止めて、私の方を見てこう言った。


「おねーちゃん……?」


 私は最初、聞き間違いだと思った。

 隠密スキルを持っている私に気づくことなんてありえないからだ。


「琴音おねーちゃんだよね?」


 でも、この言葉を聞いて、聞き間違いなんかじゃないことに気づいた。

 隠密スキルがあるのにどうして気づいているのかは分からない。

 だけど、そんなことどうだっていい。


「よかった! ほんとによかったよ…っ!」


 私はそう言って妹に抱きついた。

 小さかった妹の体は昔よりずっとずっと大きくなっていた。


「おねーちゃん、泣きすぎだよ…っ」


琴奈(ことな)だって…っ、泣いてる……」


「だって、だってぇっ…………」


 琴奈の声を聞いてほっとしたのか、目から溢れる涙が止まってくれない。

 謝りたいことも、話したいこともいっぱいあるのに止まってくれない。




 数分間泣き続けて、ようやく私の涙は止まってくれた。

 泣きすぎて疲れた私は部屋に置いてある椅子に座った。


「おねーちゃん。久しぶりだね!」


 琴奈の声が聞こえただけで私はまた泣きそうになったけど、何とか堪える。


「そうだね! 琴奈の意識が戻ってほんとに良かったよ! ありがとう! それとね……」


 謝りたいけど、もしかしたら琴奈に嫌われるかもしれない。

 そんなことを考えたら言葉が詰まってしまった。


「それと……?」


 琴奈は不思議そうな顔をして私の方を見ている。


 嫌われたくはないけど、このまま何も言わずに隠し続けたくはない。

 覚悟を決めた私はあの日にあったことを全て妹に伝えた。


 私が怖くて隠れていたこと。

 そのせいで私の代わりに琴奈が殴られたこと。

 それに気づいたけど、恐怖に負けて助けに行かなかったこと。

 お父さんがいなくなったこと。

 その後も涼っちが来てくれるまで何もできなかったこと。


「ほんとにごめんね……私のせいでこんなことになって……」


 全てを伝え終えた私は嫌われるだろう、軽蔑されるだろうと思っていた。


「おねーちゃんは悪くないよ。だから謝らないで」


 だけど、琴奈は私を怒ったり、嫌ったりなんてしなかった。


「でも、私のせいで…………」


「大丈夫だよ! 気にしないで!」


 琴奈は笑顔でそう言ってくれた。


「琴奈……ありがとう!」


 私はその後、もう1回泣いた。

 だって嬉しくて涙が勝手に出てきちゃうんだもん!






 ★






「こっちの人が涼香さんで、こっちの人が小鳥さんだよ」


「初めまして。穂刈琴奈です。姉がいつもお世話になってます」


 なんか余計なこと言ってない?


「初めまして! 宮倉小鳥です」


 ことりさんは歳下でもすごい丁寧な挨拶だ。


「涼っちだよー! 仲良くしてね、ほかりんの妹ちゃん!」


 涼っちはいつもの涼っちだ。


「あれ? 涼っちのお母さんは?」


 さっきまでいたはずの涼っちのお母さんがいなくなっていた。


「ママならちょっと仕事がなんとかって言ってどっか行ったよ。少ししたら戻ってくると思うから気にしないでー」


「ん、分かったよ」


「それとは関係ないんだけど、なんで妹ちゃんはほかりんと普通に話せてるの?」


「それは私も気になってたよ」


 愛の力とかだったり?


「あ、それは多分呪いの効果だと思いますよ」


「「呪いの効果?」」


 私と涼っちは声を揃えてそう言った。


「多分ですよ、多分。私の身体強化みたいな感じだと……」


 ということは隠密が効かないスキルを持っているって感じかな?


「妹よ、なんかスキル持ってたりしない?」


「スキルってなんのこと?」


 スキルのことすら知らなかった。

 そりゃ何年も寝てたら仕方ないか。

 それから、私は琴奈に1からスキルについて教えた。

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