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妹・光、登場!

神城光登場です!


8話です

「明理!?」

「え……? 光!?」


 二人は互いを見合って驚いている。そしてもちろん僕は同じ顔が二人もいるのでもっと驚く。


「……え!? どうして神城さんが二人も……」

「あの……それは……」

「それは私達が双子だからよ。“遠藤”君!」


 イスに座ってさっきまでたらふく食べた彼女が横柄な口ぶりで言う。

 なるほど、双子か。マンガで良くある五つ子ではないのか……。それにしても瓜二つだな。普通はどこか多少は違ったりするもんだが……。


「何じろじろ見ているのキモッ」

「え? キ、キモッ……」


 可愛い顔して(しかも神城さんと同じ顔で)きついこと言われると結構凹むなぁ……。日頃の神城さんが優しい分、そのギャップで心臓に悪い。


「ちょっと光っ、遠藤君になんてこと言うのよ!?」

「だって本当のことだもんっ」


 そう言えば神城さん妹がいると言っていたな。つまり彼女が妹なのか……。まさか双子の妹だとは……。そしてかなりわがままだな。


「で、光は何でここにいるの?」

「えとーっ、それは……」

「……この近くの道路で空腹になってうずくまっていたんだよ」

「あ……ちょっ、馬鹿っ」

「……呆れた。何よそれ?」

「うっさい。バカ明理っ!」

「何ですって!?」


 二人は喧々囂々(けんけんごうごう)と言い合いを始める。

 わー、近所迷惑だって!!


「神城さん、ドアを閉めてくれないか?」

「“神城さん”はどっちもいるんだけど、どっちのことかしら?」

「え? えーとっ、あ、明理さんの方で」

「え? えぇ、分かったわ……」

「……」


 それで彼女がドアを閉めた後、神城妹が彼女に尋ねる。


「で、明理はどうしてわざわざこんなちっさなアパートに来てる訳?」

「え? それは……」

「……」


 僕はその訳が気になって黙って神城さんの話に耳を傾ける。僕が金欠の理由以外に何か訳があるのかな?


「ひもじい思いをしている人が近くにいるから気になっただけよ…」


 僕は少し期待していたのと違う回答だったので少し落胆してしまった。


「ふーん、そ……。それで『友達のところに泊まりに行く』って言って、うちのマンションに来なくなったんだ」

「!」

「?」


 神城さん……明理さんは目を見開いて表情が止まる。そして口を横一文字にして光さんに睨む。硬直状態が続き、嫌な雰囲気が漂う。とりあえず僕は二人の中に入る。


「まだ神城さん…明理さんはご飯をまだ食べていないから、言い合うのはまず彼女が食べてからにしない?」

「遠藤君……」

「ふんっ!」


 神城妹はぷいっと顔を逸らす。

(まぁ、一応は分かってくれたかな?)

 そして彼女が買ってきた食材で僕が料理を作る。


「わ、私も手伝うわ」

「え? いいよ別に」

「盛り付けは自分でするから」


 そう言って盛り付けは彼女が行い、ぱくぱくと食べていた。そして僕は料理を作る時、色々と考える。

 まったくーっ。何なんだ一体ーっ。姉妹げんかは構わんが、僕の部屋ですんなよなーっ! ったく、一体どうすれば収拾がつくだろうか? まぁ、とりあえず彼女のことを知ることから始めるか。

 そして僕は明理さんの隣の席に座り、光さんと対面する形を取る。


「……なんであんたがこっちに座る訳?」

「え? 台所から近いし、それに……」

「ふんっ」


 な、何だ一体……? 相変わらずツンケンした態度だ。落ち着け。話すにはまず冷静にだ。


「私服みたいだけど、光さんはどこの高校に通っているの?」

「? 明理やあんたと同じ高校だけど?」


 え? けど彼女がいるの見たことないぞ?


「この子芸能活動しているから、学校にあまり顔を出さないの」

「え?」

「ちょっとあんた、私が女優やってるの知らないの?」

「へ?」

「私、売り出し中の神山江美よ!!」


 えーーーーー!? とはならず、あまり女優に興味のない僕は坦々と答えてしまった。


「…………へ~、そうなんだ」


 それが彼女の逆鱗に触れたようで、


「ちょっとなんで私のこと知らないのよ!?」

「えっとーー、それは……」


 かなり責め立てるように言ってくる。

 いちいち怒るなよ~、勘弁してくれ。


「彼、テレビほとんど見ないのよ」


 明理さんがフォローを入れてくれたお陰で、光は僕と彼女をじろじろと見てふんっと言って腕を組む。

(な、何なんだ。気性の荒い……)


「で、君は何が明理さんに対して不満なんだ?」

「不満だらけよ! 最近うちのマンションに来て、料理を作らない、掃除をしない! 洗濯もしてくれない!」

「私はあんたの家政婦じゃないわよ!」


 えっとそれって……。

 彼女はギロッと僕を見て威嚇する。


「何よ!? 悪い!?」

「いえ、別に悪くはないです……」


 なんだよ、威張っている割には生活力はないのか。……あれ?


「ご家族と暮らしているなら、誰か他にしそうな人がいそうだけど…」

「光は別のマンションで暮らしているの」


 なんでそんなこと……あ、そう言えば女優さんでしたね。そういう離れ技が出来るのか。なるほど、凄いっ。


「それで自宅からマンションの間にこの道を通る訳?」

「いえ、それは通らないはずだけど?」

「え? じゃあなんで光…さんはこの近くに来ていたんだ?」

「え……それは……」


 彼女は恥ずかしがって顔を下に向けもじもじする。そしてわなわなとなり、勢いよく立ち上がる。


「もう良い! 帰る!」

「そ、そう。……お疲れ様っ!」

「後、ご飯美味しかったわ……。ありがとう…」


 ツンな彼女にそう言われ、僕はついキュンとときめいてしまった。


「近くまで送るわ」

「え? 明理、帰らないの!?」

「帰らないけど?」


 そして光はわなわなと震えだして、とんでもないことを言いだした。


「私も泊まるわっ!」


 えーー!? な、何でだよ~~~~!?!?

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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