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4/20

一夜明け

事件発生です


4話です

 さていきなりですが問題です。年頃の男女が一人ずついて、布団が一つのみ。さてあなたはどうしますか。

 ……っていやいや、難問過ぎるでしょ!? 何? 新手のIQテストかな?

 布団を敷いて気づく辺り、僕は相変わらず考えがあまいなー……。

 今彼女は風呂に入っている。それまでに作戦を考えねばっ!

 20分後。


「ふー、気持ちよかった~~。……どうしたの? そんなに落ち込んで?」

「……いや、別に」


 考えがまとまらなかった。


「あ、それより服貸してくれてありがとう。少しぶかいけど温かいわ」


 彼女は着替えの服を持ってきてなかったので、僕の服を貸してそれを着ている。

 あまりおしゃれじゃなく少しぶかぶかの服だが、それがかえって彼シャツみたいで破壊力抜群だ。

 僕はぶはっとなる。

(危ない危ない……。危うく興奮して心拍数が上がるところだったぜ)


「まだ寝るには早いから何かする?」

「いや、その前に……」


 かくかくしかじか。


「え? 布団が一つだけ……」


 流石の彼女もか~っと赤面した。


「それは流石にまずいだろ?」

「そ、そうね……流石にそれはまずいわね……」


 う~んと、二人で考えるが妙案が浮かばない。春とはいえ夜は少し冷える。


「毛布はある?」

「あぁ、けど冬はもう終わったから納戸に閉まったよ?」

「あるなら良いわ。こうしましょう」

「?」

「この部屋に暖房器具があるから、それを閉めて毛布に包まる。そして布団の方はこっちの(暖房器具のない)部屋で寝る」

「あー、それなら風邪はひかないかな?」

「じゃあ貴方はどっちにする?」

「え? 僕が決めて良いのかい?」

「えぇ。やっぱり部屋の家長が決めないと」

「……」


 うーん。僕は……やっぱり布団で寝たいな。


「じゃ、じゃあ布団で」

「分かったわ。私はこっちね」


 とりあえず方向性は決まった。さてまだ22時前か。寝るにはまだ早いな。……本でも読むか。

 僕は本棚から本を取り、本を読み始めた。


「……私もどれか本読んで良い?」

「……構わないさ」

「ありがとう」


 そして僕は本を読み耽る。今読んでいるのは時代小説だが難しい文字はほとんどなく、結構ライトな内容だ。読みやすいからどんどん読んでしまう。

 静かな時間は好きだ。誰にも邪魔されず、落ち着ける。平穏に過ぎる日々が僕を心地よくさせる。

 彼女はどうかと思って見たら、彼女も静かに本を読んでいた。


「本は好きなの?」

「え?」


 不意に僕は呼びかけてしまった。自分で少しびっくりしたが、気になったのでそのまま訊いてみる。


「そうね。本が好きというよりか……その世界に入ってその人の気持ちになりきるのが好きね」

「なるほど?」


 僕にはない発想だったが、まぁありそうな話か。

 僕はそこまで深く考えずそのまままた小説の世界に入った。


「……君、……君ってば」

「え?」

「もうずーっと呼んでいたのに、読んでいて全然気づかないんだから」

「あぁ、ゴメン。何?」

「夜中まで起きているのは美容の敵だからそろそろ寝ない?」

「え?」


 時計を見るともう23時50分を回っていた。もうこんな時間か。早いな。


「よし、そろそろ寝るか」

「うん」


 そして僕はドアを閉めて、電気を消した。


「おー、冷えるな」


 閉めたら暖房の暖かみがきにくくなったので、さっと布団の中に入った。

 しばらくスマホをいじっているとドアの向こうから、


「ねぇ、遠藤君。まだ起きてる?」

「……え? どうかしたの?」

「私のこと……見ててね」

「え? それってどういう……」


 しかし彼女はこれ以上返事をせず、もう今日の一日は終わった。


「ぶあーーっくしゅんっ!!」


 寒さを感じながら目が覚める。部屋の中は少し明るくなっていた。もう朝だろうか。外にはチュンチュンと小鳥のさえずりが聞こえる。

 もう少し寝ようかな。……布団布団、あれ……ない……? 何で…?

 寝ぼけながら布団を探しにキョロキョロ見ていると、誰かがそこで寝ている。

 …え!? なん……、

 よくよく見ると長めの綺麗な黒髪が少し乱れて、

(……え? もしかして……神城さん?)

 ドアの方を見ると閉まっていて、ノックして部屋の中を見ると、いるはずの彼女がいなかった。

(……)

 呆れて言葉も出なかった。

 制服に着替えて、僕は朝ごはんを作り始めた。冷蔵庫に入っている物を少し拝借して、味噌汁と卵焼きとごはんを作る。

 それから1時間経っただろうか。


「ん~~~~……あら、やけに暖かい……え!?」


 彼女は声をあげて驚いた。寝ぼけて入ったのか……。

 彼女はぼさぼさの髪に寝ぼけた顔でキョロキョロしていた。


「え? 私……」

「おはよう。早く起きて着替えてきて」

「え!? あ、遠藤君!? あ……はい……」


 そして彼女は洗面所に行ったり、トイレに行ったりとばたばた色々準備をしていた。ご飯が出来上がってもまだ終わってなかった。


「出来たよー」

「ゴメーン。後5分」


 そして制服に着替えてきた彼女は相変わらず綺麗だった。姿勢はピンと伸ばし、腰まで長い艶やかな黒髪に目はぱっちりして、さっきとはまったく別人だった。


「どうかした? そんなに口をあんぐりして?」

「いや、別に?」


 可愛いと思ってしまったなんて口が裂けても言えるかっ!

 そして僕達は朝ごはんを食べていると、彼女がもじもじし始めた。


「……あ、あのね?」

「ん?」

「同じ布団で……」

「いや、何のことか知らないな~」

「え?」

「僕は何も気づかなかった」


 彼女は顔を赤らめたままだったが、


「……そ」


 とだけ言ってそれ以上の言及はなかった。そしてご飯を食べ終え、洗い物を済ませると、もう登校の時間になっており僕達は部屋の外に出て日光に当たる。


「うーん、気持ち良いわ~~」


 彼女は伸びをしながら、腰を円を描くように回す。そうしたら短めのスカートがふわっとなびく。

 ったく男心をくすぐる動きを……ん?


「な、なぁ……。そう言えば替えの下着は?」

「え? 持ってきてないけど?」


 事件発生。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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