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一緒に登校したい

スクールカーストの闇(?)です


19話です

「一緒に登校したいわ」


 明理はそんなことを言う。確かに今まで彼女の配慮で別々に学校へ登校してきた。やはり彼女は学校で注目の的で、一緒に登校して下手したら一緒に住んでいることがバレたら、僕への周りからのやっかみは必至だからだ。

 しかし彼女はそれでも僕と登校したくなったみたいだ。


「いやいや、そんなことしたら周りからの嫉妬の目が僕に集中するじゃないかっ」

「……」


 彼女はしばらく閉口するが、珍しく固持する。


「……けどやっぱり貴方と一緒に仲良く登校したいから」


 気持ちは嬉しいが……、


「いやいやアパートでも一緒にいるじゃん。別行動なんて登校と授業中の時ぐらいじゃないか」

「…………」

「もう時間ないから先に学校へ行っているぞ」

「あ」


 僕は明理をほっといて急いで学校へと向かった。

(スクールカーストの厄介な所だな……)


「遠藤ーっ」


 カズキが手を振ってこっちに来る。相変わらずあっけらかんとしている。その明るい性格は羨ましい限りだ。僕も見習いたいほどだ。


「どうしたカズキ?」

「もしかしてお前、今悩み事とかないか?」


 僕はギクッとする。僕の心を見抜かれた気分になった。

 何で分かる!? 超能力か? カズキはニコニコしているし。もしこいつに事情を話したら、相談にのってくれるようになるだろうか…………分かれ道だな。


「カズキ」

「ん?」

「話がある」


 ここは購買へ渡る廊下で、休み時間になるとある程度の人だかりが出来る。僕は歩きながらカズキに事情を話す。


「……なるほど、そうだったのか」

「それで明理…神城さんは僕とどうしても登校したいと」

「俺の前では無理に呼び方を変える必要はないよ。明理のこと普段何て呼んでいるんだ?」

「あ…明理」

「何だ俺と同じかよっ。つまんねーーっ」

「それでどうしたら良いか僕には分からなくて……」

「うーん、そうだなー。俺はスクールカーストとかはいまいちよく分からんが、周りより二人の問題じゃないのか?」

「え?」

「二人が一緒にいるかどうかに周りなんて関係ないだろ?」

「いや、それは違うぞ!? 彼女は人気者で僕は只のモブだ。不釣り合いの者同士がこういう関係だと分かったら、周りから妬みが生まれるものだ」

「俺から見たらお似合いと思うがな」

「……え?」


 そうなのか? 僕と彼女は釣り合いの取れた関係なのか? 僕は自分の評価を見誤っているのか?

 カズキにそう言われた僕は初めて自分について見つめ直してみた。しかしよく分からない。


「まあ俺に任せとけっ」


 イケメンの男がなんか突然威勢の良いことを言う。

 自信がありそうだが、なぜだろう。結構不安だったりする。

 そして昼休みに入るとご飯を食べる準備をする。


「あれ? カズキはご飯食べないのか?」

「そう慌てるなって。実はもう一人呼んでいるんだ」

「?」


 誰かと思いもう少し待ってみると明理だった。そして彼女は僕とカズキの間に座る。


「どうしたの一喜? 珍しくご飯に呼んだりして」

「まぁまぁ、偶には幼馴染みのよしみとして一緒に食べようじゃないか」

「まぁ、私は別に良いけど……」

「……」


 彼女は僕の方をちらっと見てくる。

 うぅ、なんか気まずい。……しかしアパートにいる時と違って、やっぱりその立ち振る舞いは相変わらず綺麗だ。惚れ惚れするほどに。

 そして一方で己の自惚れを恥じた。僕のあまりにも彼女との不釣り合い具合に。


「本当にお似合いな二人よね~」

「やっぱり美男美女か~っ」


 傍から見たらやっぱりカズキと明理がお似合いだよな。

 僕はため息を吐く。カズキにヤキモチすら湧かなかった。黙々とひたすら弁当を食べる。


「あのさー、明理」

「何よ、一喜?」

「お前好きな人いるんだって~?」

「ちょっ!?」

「!!」


 周りは騒然とした。

 え? 彼女の好きな人って真宮君 (カズキ)じゃないの!? え? 誰!? もしかして俺か!? などとそれ以来学校で噂が飛び交り、彼女に注目が集まる。


「カ~ズ~キ~っ」

「どうした遠藤?」

「そんなことしてっ、彼女に迷惑がかからないか!?」

「あいつにとって()()注目されるのは屁でもねーよ」

「! それは~……」

「それにその状況をそのまま野放しにしない奴が出てくるだろ?」

「え? それって……」


 誰のことだ?

 彼は笑いながらその場から去って行った。しばらく告白が続いたらしい。サッカー部のエースやバスケ部の部長が明理に告白したが案の定玉砕した。アパートに戻ると明理は帰って早々に愚痴を言う。


「今日もさーっ、陸上部の人に告白されてさーっ、もう困ったわっ! 全く一喜にはしてやられたわ!」

「……」

「昨日も言ったけど、昨日は昨日で二人も告白されて……」


 彼女の不満話が長々と続く。


「聞いてる?」

「え? うん、聞いてるさ…」


 僕は彼女の対面に座りながら聞く側に永遠と徹した。そしたらドアからノックが聞こえてくる。


「やっほーっ、おっ久ーっ」


 光ちゃんだった。


「おー、光ちゃんっ!」

「……どうしたのよ? 光」

「え? 何よ明理。怖~いww」


 彼女はニヤニヤしながら言って僕の隣にどかっと寄り添うように座ってくる。


「あ、ちょっ……」

「だって洋君言ってくれたんだもんっ。『仕事がない時は第二の我が家だと思っていつでも来いよ』って」

「!?」

「あ……、それは……」


 確かに言った、言ったがこの状況で言うとかなりまずい気がする。


「遠藤く~ん、光にそんな優しいこと言ったんだ~っ」

「え……、いや……その……」

「ねーっ♡」

「このっ、すけこましがーーーっ!!」

「わ~っ、待って…ギャーーッ!!」

「えへへっ!」

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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