色々とピンチ!
ピンチ到来!?
17話です
ど、どうしたら……、心臓がやけにバクバクする。それに体が熱いっ。
「……ご、ごめん。退くよっ!」
「え…………?」
「え?」
そして彼女は眉を下げて少しつらそうな表情になる。
……止めてくれ。そんな可愛い顔を僕に向けないでくれ。
「私……」
とその時、ピンポーンとチャイムが鳴る。僕達はついびくっとする。
「だ、誰だ……?!」
「もう、誰よ……折角……だったのに……」
彼女はぶつぶつと不満そうにしながらドアの方に向かっていく。そしたら、
「…あっ!!」
「どうかしたか?」
「大変!! ママよ!!」
「え!?」
な、何だって!? それは大変だっ! 僕はタオルを巻いている以外すっぽんぽんだぞ!? これじゃあまるで間男みたいじゃないか!?
「どこか隠れる所……ど、どうかしたか?」
彼女の顔は紅く染め上げながら、じーっと僕を、というか僕の下の方を凝視している。
「タ、タオル…………」
「タオルがどうかしたか?」
ひょいっと下を向くと腰に巻いていたはずのタオルがない。
「わっ!? え!? ……タ、タオルは!?」
周辺を見渡すとタオルが少し離れた場所に落ちており、急いで取りに行き腰に巻く。
「……えとっ、で、隠れる場所は!? ……ってなに止まってんだ!? 僕が隠れられる所だよ!?」
「……え? あ、うん……、こっちに部屋があるから隠れてて?」
そしてまたしてもピンポーンとチャイムが鳴る。僕は慌ててその部屋に急いで隠れ、その部屋から二人の様子を知るために聞き耳をたてる。
「……ママ、どうしたの?」
「何言っているのよ? 仕事の時はマネージャーっていつも言ってるでしょ?」
「あー、ゴメンゴメン……」
え? お母さんが光ちゃんのマネージャーをしているのか?
そしてしばらくの間、二人でごちゃごちゃと仕事の話をしていた。
「……じゃ、来月までの仕事は大体こんな感じだから宜しくね」
「分かったわ」
「じゃあ私は家に帰る……あら? どうして服を干しているの?」
しまったーっ!! 服をそのまま干しといたままだった!
「なんかしかも一回り大きい気が……」
そして向こうの部屋は沈黙する。まずい! このままだとバレる!?
ピロリロリロリン~♪
「あら、電話。あ、はい、もしもし。……あ、はい分かりました。光っ、仕事が入ったから帰るわ」
「あ、うん。分かったわ」
そう言ってお母さんの足音はパタパタと遠くの方に消えていった。
「……大丈夫。ママは帰ったわ」
「……はぁ、一時はどうなるかと……」
「う、うん……」
「…なにじろじろ見ているんだよ。この変態っ」
「は!? だ、誰が変態よ!! 誰が!?」
彼女はぽかぽかと僕を軽く叩いてきた。そして僕はさっさと乾かした服を着て、帰り支度をする。
「もう帰るの?」
「当たり前だろ? 明理が待っている」
「……そ」
やたら彼女は悲しそうな顔をする。僕はふっと息を吐き、彼女の肩をぽんと軽く叩き、笑いかける。
「ま、仕事がない時は第二の我が家だと思っていつでも来いよ」
「…うん。分かった」
僕は色々とドキドキハラハラした光ちゃんのアパートを後にした。
「ただいまー」
「お帰り~、もう料理出来るから。先に風呂入ってて?」
「うーんっ、分かった」
そして本日二度目の風呂に入り、明理と一緒にご飯を食べる。
「どうだった。掃除は?」
「かなり大変だった。ゴミが至る所に散乱してたよ」
「やっぱりそう」
「うん」
「それにしてもやけに帰ってくるまで時間かかってたわね。どうかしたの?」
「え?」
光ちゃんのアパートでの出来事を様々と思い出す。
「……いや、何もなかったよ?」
「……女に嘘はバレるわよ?」
「え?」
「本当のこと言わないと次の期末テストの対策の解き方を教えてあげないから」
「わーー! それは勘弁してくれ!!」
そうしないと母さんからの生活費が減らされる!!
「分かったよ、言うよ……。実は」
掃除のこと、風呂のこと、洗濯のことそして二人のお母さんのこと。
「そう、そんなことがあったの……」
お母さんの話をしたら、少し重い空気になる。彼女と彼女のご両親とは一体何か確執でもあるのか。そこに触れても良いものなのか僕には分からない。けどそのことについて少しだけ僕は気になり始めていた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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