焦げたフライパン
焦げ付いたフライパン、寒い朝。
失敗を嘆くのは、テレビの誰か。
空腹なら時計の針が重ならない時がいい。
煮えたぎるのは何?
知らない誰かが失敗を罵倒している。
綺麗なことばで、誰かのせいにして。
お湯が沸いたからコーヒーを作ってみましょう。
秘密があるの。
そんなに大袈裟なものじゃないけど、秘密があるの。
苦いコーヒーで何を誤魔化す?
知らない言葉で、いつも誰かのせいにして。
約束があるの。
そんなに軽薄なものじゃないけど、約束があるの。
背中を向けているのは、焦げたフライパンを洗っているから。
なんにも知らないくせに。
黒焦げの水で手を汚し、洗い流したのは嫌悪の涙。
深爪の指先をいたぶるのは、誰のせい?
冷めたコーヒーで何を押し流す?
なんにも知らないくせに!
予想と違う醜い朝に、水墨の涙が滴り落ちる。