8話 特別あつかい
15万Gで運送手配業務を請けたペレス。
さっそくいつものマルク商会に電話した。
「ああペレスさんですか。久々っすね」
「よお。今はエスコベドって新ギルドにいるんだぜ僕。
それじゃピメールに馬車2台よこしといて。10万Gで」
しかしマルク商会の担当者はこう言った。
「それだと見積金額20万Gです。8掛け16万Gでどうですか」
「は?何言ってんのお前?16万Gとかボッタクリだろ」
「そうですか、ではこの話は無かったということで」
電話を切られてしまった。
かけ直したら担当者は外出中と言われた。
「何考えてんだあの野郎・・・くそっ。
もうあいつには絶対仕事やらねーからな」
ペレスはそう言ってボット運送に電話した。
ところがこちらも見積22万G、仕切り17万Gとふっかけてきた。
メモ帳に書いてた業者全部に電話したが、16万Gより安いとこは無かった。
何でそんなに高いんだとペレスが言うとひとりの担当者が言った。
「こっちから大手に営業してるなら別ですけど、新規ギルドからの依頼で安値は出せないです。今は大体18万Gが相場ですね」
「び、備品も2万G分買ってやるからさあ・・・」
「その内容だと2万では売れません。2万3千ぐらいが相場です」
朝から電話をしまくってやっと馬車17万9千G、備品2万3千G、計20万2千Gで決めた。
5万2千Gも赤字だった。
なのにまた困ったことがおきた。
当日になって現金でその日に払えと言われた。
「払えないなら馬車に備品のせて引き返します」
「ま、まってくれよ!ちゃんとギルド協会から金もらったら払うから・・・」
「お電話で言ったじゃないですか。新規取引の場合は即金だって」
結局、協会から15万Gをもらう権利を他の商人にゆずって、その商人から現金14万2000Gを現金でもらうことになった。
1日潰して電話代自腹で、おまけに6万Gの大赤字になってしまった。
+ + + + +
「2位の4人組ギルドが3泊4日でトンデラまで行く。7万Gでどうだ」
「4人なら1台でそれ4日だから・・・む、むりです7万じゃ赤字です」
事務員のナチョからの依頼にペレスはあわてて言った。
ナチョはしかめっ面で言った。
「1万ギルドポイントをやると言っているんだぞ。いらないのか」
「だ、だけどぜったい赤字になるし・・・」
うだうだ言うペレスを見てさすがにこの馬鹿も気づいたかとナチョは思った。
なら次の手を打つだけだ。
「よおし、今回のをやるなら20位、いや18位にねじ込んでやる。
どうだランキング入り確定だぞ?それとも他に奴に任せていいのか?」
ペレスは困った。18位に入れるならやった方がいい。
でもまた赤字は困る。どうしよう。
「おまけに今回は当日現金払いだ。こんな支払条件いいのは特別だぞ」
「と、特別・・・や、やります!」
ギルド協会から特別視されたことにペレスは喜んでOKを出した。
ナチョはにやっとした。