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最強ギルドを追放された荷物持ちの成り上がり~最強兵站能力で無双~  作者: ボブサッポ
3章 輪廻編「女子大生がマヨネーズで議員になります」
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29話 マヨネーズ・ハラスメントを是正する会

 博士課程に進んだ私は、どちらにせよ数年は不況が続くことから、公務員の道を選ぶことにしました。


 こちらも面接はありますが試験の比重が大きいのです。試験ほど評価基準が客観的なものはなく、こんなもの少々努力すればほぼ確実に報われます。ですので内定辞退の翌日から勉強を続けてきましたが、進学した二ヶ月後、25歳を迎えたばかりの私に転機が訪れました。


 衆議院が解散したのです。理由は毎度のことなので省略。普段ならそこでおしまい、あとはどこに投票しようかマニュフェストをぱらぱら捲るだけなのですが、その時の私は前年の就職活動のノリが抜け切れていませんでした。そう、募集があるととりあえずエントリーシートを放り投げる癖が残っていたのです。


 わぁ、400人以上も募集してるー、えいっ!くらいの感じで。


 他の国では供託金に300万円もとられるのですが、ヤーパンは10万円ですみました。安い。5人募集の説明会に行くために往復3万円をかけていましたから(面接は交通費出ますけど説明会は滅多に出ないんです)、募集人数の多さを考えれば躊躇う理由もありません。


 ただ立候補してから困りました。主義主張も何もないんです。というより政治家になりたいなんて一度も思ったことありません。お給料くれるなら求められている仕事を相応にこなします、程度にしか考えていませんでしたので。


 「貴社……でなく貴国では、サークルの副代表の経験を活かし」なんてESテンプレをマニュフェストに書くのは流石の私もまずいと気づきました。大体私、大学ではサークルには入らず勉強と個人契約の家庭教師しかしていません。組織に所属するのは積極的に避けてきました。面接ならともかく公約に虚偽を書くのは……んーでも誰も守らないし別にいいような気もする。


 困っていたところ、ウェブニュースにこんな記事が載っていました。とある大学生の方が「チャーミングに異を唱えよ」という課題で「ストップ・マヨネーズハラスメント党」というパロディーポスターを作製されていたのです。


 同様のジョークは以前も何度か目にしましたが、私も丁度マヨネーズが苦手でしたので「あっ、これにしよ」とパク……訂正、オマージュ、インスパイアさせていただくことにしました。まんまだとアレなので「マヨハラを是正する会」と名付け、同年代で似たような境遇の知人に伝えたところ、立候補を検討しているという声が相次ぎました。


「わたしでも立候補したら少しは見込みあるかなぁ」

「大丈夫です。募集465人、比例だけで見ても176人もあるんですから。しかも競争相手は同じ水準の大学の学部卒男子ではなく、出来損ないの二世三世なんですよ」


「僕、圧迫面接がどうも苦手で……人前で演説なんてできるかな」

「狭い面接部屋と違って選挙カーは圧迫感など何もありません。野次なんか無視、耳栓して一方的に捲し立てればいいんです」


 半分冗談で勧誘したところ、あっさり乗ってこられました。あっという間に党員は10名まで膨れてしまいました。


 そして冒頭のシーンです。比例代表で勝負に出ましたらわんさか票が入りました。8時の速報の時点で比例一位の私が当選確実、瞬く間に桜が並び、今9人目、いえ最後の10人目のところにも桜が咲きました。


「やった!全員当選だよ!」

「なんだよ就活よりよっぽど楽じゃん。これで初年度から高給取りだろ?すげえ」


 全員浮かれていました。どの方も私と同様に夏場まで黙々と就職活動を続けていましたので、車の上でぺらぺら喋っているだけで内定が出たことに拍子抜けし、それから大喜びでした。

 四年以内にまた同じ活動をしなければならないという現実からは勿論全員目を背けておりました。


 こうしてマヨ是会10名の政治家生活がスタートしたのです。

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