19話 ノミ屋
ギメ会の係長ペレスはやっぱりお金に困っていた。
切手とパソコンの横領に失敗して3000円でゴミを買うはめになった。
建設現場には副支部長の目、灯台下暗しの本部でもうまくいかない。
こうなったら業務上横領ではなくプライベートで頑張るしかない。
「つうかマジやばいんだけど。あと一週間で30万円・・・」
「馬鹿なんjy・・・きゃ、きゃあ。かっこいい」
地の出た青髪普乳美少女のバリタが慌てて取り繕った。
主人公の会話文が書かれた直後に定型文でほめてこそなろうヒロインである。
「ペレスさまあ。私すごいお金稼げる方法知っているんですう。
もちろんペレスさまはとっくに知ってることなんですけどお」
金髪巨乳美少女のグリタが言った。
ペレスはグリタの両肩を掴んでガタガタゆらした。貯金箱じゃあるまいし揺すって金が出るわけでもあるまいに・・・。
「も、もちろん僕は知っている。でも敢えて聞いてやってもいいぞ」
「はあい。その方法というのはあ・・・」
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ペレスはお昼休憩になると喫煙室に向かった。
タバコの値段は上がったが今でも喫煙者は多くいた。
そしてタバコ好きはあるものも好きなのだ。
ペレスはそれを狙うことにした。
「ウォーグ部長代理!それにキラス課長!週末のレースはどれが来ますか!」
「なんだペレスか。おまえ競馬やるようになったのか?」
ぷかぷか煙を吐いてウォーグが言った。キラスも意外そうにしている。
二人は一服終えるとレース展望について語った。
「距離2000だからなあ。ゴールドカモンに決まりだろ」
「いやいや前日雨になりそうだからデーブチンポコトですって」
五分近く一方的に話を聞いて一息ついたところでペレスは切り出した。
これぞ必殺の30万円一発で稼ぐテク!
「あのお。その馬券、僕が買ってきますよ」
「ほお。いいのか?今週忙しいから助かるんだが」
「いいっすよ!ついでに換金までしてきます」
「マジか。じゃあ頼むぞ」
ニヤけそうになるのを我慢した。本当にこんな簡単にひっかかるとは。
結局10分後、ウォーグから5万円、キラスから3万円を預かった。
他の喫煙者にも同じように持ち掛けてペレスはなんと120万円もお金を預かることになった。
すぐに消費者金融に行って30万円を返してきた。
これでは50万円分しか馬券を買うことができない。
だが困らない。そもそも馬券は1枚も買うつもりなかったからだ。
「賭けは胴元が勝つんだよーだ。だったら胴元の真似すりゃいいじゃん」
指定された馬券の中には当たりも少しはあるかもしれない。
だが120万円も馬券を買ったところで返ってくるのは90~100万円ぐらいだ。
最悪100万円分が当たってしまっても借金は30万円から10万円に減るし返済期限も延ばせる。
90万円でおさまれば借金チャラだ。
あまりに天才すぎてペレスは自分でもびっくりした。
グリタがなんか似たようなこと言っていたがあれは僕のオリジナルをぱくったに違いなかった。
「よっしゃあああ!!!これで来週からはすごい稼げるぞおおお!!!」
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ペレスはハム法典第30条でつかまった。罰金100万円の判決を受けた。
赤髪爆乳美少女のドリタが傍聴席で判決を聞きながら爆笑していた。




