16話 会計係長
ギルドランキング1位になったペレスは会計係になった。
バリタ、グリタ、ドリタが平社員でペレスは係長、つまり管理職だった。
「これで僕のハンコひとつでギルドのお金が使いたい放題だ」
「でも三ヶ月ごとにギルド長直属組織の監査があるみたいだよ」
チッ・・・青髪普乳美少女のバリタに言われてペレスは舌打ちした。
これじゃあ単純に金庫の中身や預金を横領したらバレてしまう。
せっかく上り詰めた地位なんだ。どうせ他の奴らだってやっている。
どうにかして金を手にできないかペレスは考えた。
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「いやあ飲んだ飲んだ。そろそろお会計だな、おおい店員さん・・・」
「副支部長、ここは僕が立て替えておきます!」
ギルドの飲み会でペレスたちは居酒屋にきていた。
ひとり税抜き5000円で今日は10人が参加している。
「おお、さすが会計係長じゃねえか」
「きゃあ!かっこいい!」
ペレスはクレジットカードで支払い領収書をもらった。
宛名にちゃんと新人ギルド設立協会ピメール支部と書いてもらった。
翌日ペレスは伝票を起こした。所定の用紙に領収書を貼って回覧する。
これで三営業日後には立て替えたお金が入ってくる。
「ペレス様、どうして最近ギルドの費用を立て替えてばかりなんですか?」
金髪巨乳美少女のグリタに言われてペレスは言った。
「ふっ、誰も知らないすごいテクニックだが特別に教えてやるぜ。
クレジットカードで立て替えるとお金が増えるんだ」
「ええー!どうして増えるんですかぁー!?」
ペレスは腕組みして鼻高々に胸を張った。
ゴーグル検索でのってたテクニックをパク、自己流にアレンジしたのだ。
「いいか、立て替えてから費用精算したら三営業日後にはお金がもらえる。
でもクレジットカードの支払いは月末締の翌月25日払いだ」
「それでそれで?」
「ということは昨日カードで払った5万円をすぐ現金でもらえるのに実際払うのは来月ってことだ」
「それでそれで?」
「なら翌月払う前までに別の費用を立て替えて5万円もらえばそれで払える。
最初にもらった5万円は好きに使えるんだ!どうだすごいだろう!」
1か月ずれるから費用精算してお金をもらい続ければ最初の1回分はずっと払わなくていい。
あまりに天才すぎて自分のすごさにペレスはびっくりした。
「僕は今月カード限度額の50万円を立て替えた。来月からもそうする。
ということは50万円がただでもらえるってことだ!」
「ペレス様、さっき副支部長からの通達で立て替え払いは電車代とかだけ、あとは全部ギルドの法人カードを使えと言われました」
赤髪爆乳美少女のドリタが言った。ペレスは腕組みしたまま固まった。
なんだって?立て替えがだめ?そしたら来月の支払いどうしたらいいんだ。
「ちょ、俺もう50万のうち20万競艇でパァにして20万で豪遊して10万で駄菓子大人買いしたんだぞ!?」
ペレスはあわてて50万円すぐ手に入れる方法をゴーグル検索した。
消費者金融の宣伝しか出てこなかった。




