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04 なんだコイツ?

 ミリヤとララミィがカフェで寛いでいた頃、ドラムラ大陸に上陸した勇者サイトウの一行は、魔王の居城であるシュトロホーンの魔城に向かっていた。


「ここが魔界か……って、ずいぶんイメージと違うなぁ。見渡す限りの森と山々、港だって整備されているし、普通に人間も暮らしているじゃないか」


 勇者サイトウは一年前、トラックにひかれて異世界に転移してきた転生勇者である。

 彼に同行しているのは、女僧侶のアリス、女騎士のデミ、魔女のカミルだった。


「サイトウ様、ドラムラ大陸は魔王シュトロホーンが住んでいるから魔界であって、この世界では緑豊かな肥沃な大地なんですよ」

「ふむふむ、魔王というものは、もっと前人未踏のおどろしい環境に住んでいるものかと思ったが、世界の支配者が、わざわざ生活環境の悪い土地に住む道理がないな」

「そうですよ」


 サイトウと船を降りたアリスは、先に下船して荷馬車を手配したデミとカミルに手招きされた。


「ほらサイトウ様、デミたちがシュトロホーンの城下町まで移動する馬車を調達してますよ」

「俺たちの冒険も、いよいよ終盤戦だな!」

「はい!」

「ここまでの冒険で、各地に蔓延る中ボスを討伐してきたが、ラスボスまではあと一息だ。アリス、デミ、カミル、俺みたいなゲームオタクに着いてきてくれて、今までありがとう!」


 馬車の手綱を握る女騎士は『こらからが本番だぞ』と、感極まって涙を袖で拭くサイトウを鼓舞した。


「城下町では魔王シュトロホーンの情報収集のために、魔王と交易を求める地方の領主を偽りますわ。貴族の衣装は馬車に用意しておりますので、みなさん街に到着するまでに着替えておいてくださいませ」

「おうッ、カミルは手回しが良いね!」

「サイトウ様、誉めても何もでませんわ」


 馬車に乗った勇者サイトウは、歴代勇者の愛刀だった聖剣エクスカリバの切っ先をシュトロホーンの城下町に向けた。


「お師匠様より譲り受けた聖剣で、魔王シュトロホーンを討ち取ってやるぜ! 首を洗って待っていろよッ、魔王シュトロホーン!」


 勇者サイトウの師匠とは、先代の魔王、ミリヤのパパに大敗を期して逃走した腰抜け勇者だった。

 サイトウの師匠の大敗により、魔王シュトロホーンの悪名が広まったために、他の勇者も尻込みして誰も魔王に闘いを挑まなくなったのだ。

 サイトウは師匠の雪辱を晴らすため、魔界と恐れられるドラムラ大陸にやってきた。

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